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作品のリンク集 【四次元STAGE】 [読み物・作品]

※戯曲の使用に関して

作品使用料は
 ●短編=3000円
 ●中編=4000円
 ●長編=6000円

公演の有料・無料を問わず、団体の学生・社会人を問わず、一律とさせていただいてます。

【振込先】
三井住友銀行 西宮北口支店 普通4858481
ヨジゲンステージ オカノ ヨウヘイ

(振込んでからの事後ご連絡でも構いません)

当日パンフレットなどに
「台本:劇団 四次元STAGE 岡野 陽平」と記載ください。
パンフレットがない公演では、口頭あるいはHPなどで周知できる形をお願いします。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
脚本検索サイト「はりこのとらの穴」でも公開しています。
https://haritora.net/script.cgi?writer=6001
データでダウンロードできて読みやすいです。
&台本使用許可の申込も、こちらを参考に。「短編」「中編」「長編」の分類をしてあります。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

玉石混合(+_+)Φ   ネタバレ注意!
2009y.jpg

「演劇 四次元STAGE その6」 読み物・作品
● 落語『宿屋仇』
●『心もヨシ子なら』
●『少し未来の自分』
●『こちら山猫探偵事務所です!』
●『空き巣道』
●『桃から生まれた訳じゃない』


「演劇 四次元STAGE その4」 読み物・作品
 ●『宇宙魅たことか』百景① =序盤
 ●『宇宙魅たことか』百景② =中盤
 ●『宇宙魅たことか』百景③ =終盤
   →台本ダウンロード(外部リンク)

「演劇 四次元STAGE その3.5」 読み物・作品
 ● 物語 『3匹の子豚』
 ●『パンクロッカー・インタビュー』
 ●『小さな村の郵便屋さん』 
 ●『オリンピック選手の筋トレ』
 ● 鹿の思い出:『毛玉ライフ』
 ●『自分日記帳』
 ●『待ち合わせは、あの木の前で』
 ●『四十路の恋、はじまっちゃいました。』
 ●『花も散るらむ、美しく。』
 ●『中東の小さな尊厳』
 ●『半歩譲ってみてごらん♪』
 ●『空港はいつもドラマ』
 ●『最強のタコ焼き』
 ●『死の壷』
 ●『月明かりの下の鎖骨』
 ●『空き巣道』
 ●『ありきたりな、靴下の話』
 ●『甘酸っぱい、靴下の話』(第2話)←公開休止中


「演劇 四次元STAGE その3」 読み物・作品
 ●『ヤーバに祈れば』→台本ダウンロード(外部リンク)


「演劇 四次元STAGE その1.5」 読み物・作品
 ● Actor・Actress募集!2010
 ●『女郎屋』 あらすじ
 ●【ラジオドラマ】 第1弾 『エスパー義和』
 ●【ラジオドラマ】 第2弾 『友達100人できるかな?』
 ●【ラジオドラマ】 第3弾 『おじいちゃんのゆめ』


「演劇 四次元STAGE その1」 読み物・作品
 ●『交差するトランク(仮)』
 ●『Fight in it』
 ●『ホラーハウス』
 ●『肉じゃが日本一』



ホームページにて動画を多数公開!( ̄▽ ̄)b
http://charmunda2.wix.com/4d-stage#!video/c10tw
面白かったら「評価」と「チャンネル登録」をして下さい。
お願いします!

動画

https://youtu.be/3-dVWr-iFto
『少し未来の自分』


https://youtu.be/OHZQTy-MKLA
『あっちでもこっちでもない戦場』

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『桃から生まれた訳じゃない』 [読み物・作品]

2014年5月作成
台本ではありません。ただの読み物です。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
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『桃から生まれた訳じゃない』


昔々、あるところに、一組の老夫婦が。
老夫婦は仲良く河へ洗濯へ。

大きな桃が流れてきた。いや、「桃」の段ボール箱が。
喜んでそれを拾うと、中からじいさん。
桃から生まれた桃爺。

おぎゃーおぎゃーじゃなくて、
ふがーふがーと生まれてくる。入れ歯が外れている。

拾った老夫婦よりも年寄り。
高齢者が高齢者を介護。
現代社会のよう。今や当たり前の世の中じゃ。


何年か世話をした後、
桃爺は「旅に出る」という。
老夫婦は思う「天国へ?」「お迎えが近いってことかい?」

ちがう!鬼退治に行ってきます。
とりあえず何でも良いから出て行ってくれるなら嬉しいと、
喜んで送り出す老夫婦。
手に吉備団子を持たせようとするが、
「要らない。のどに団子が詰まると死ぬから。
  あと、入れ歯じゃ噛み切れないから」
代わりに梅干しの壷を持っていく。

桃爺はかなり曖昧な記憶を頼りに鬼が島へ
ぼーっとした時は梅干しで頭スッキリ!


途中で出会う老人3人。
米屋。お茶屋。漬け物屋。
将棋と囲碁とゲートボールで打ち負かし、
さらに梅干しを与えると喜んで仲間になった。


鬼が島の鬼は鬼ばばあ。
桃爺の元妻。
実は、熟年離婚で桃爺は追い出された。
何てこった現代社会。

鬼が島に攻め込むんか?
どうするんじゃい。

4人は鬼が島には攻め込まず、
何と鬼が島の向かいの土地に「お茶漬け屋」を開く。
お茶漬け専門店。

すぐさま評判になり、
元妻の鬼ばばあも食べに来て、
炊事をするようになった桃爺を許してくれる。
でも桃爺は、お金もちゃんと巻き上げられる。

とはいえ、何とか仲直りしたらしい。
めでたしめでたし。


老夫婦のもとに一通の手紙が届く。
桃爺から、現金3万円と
梅干しの注文書が。3万円はただの代金。

おしまい。

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『空き巣道』 [読み物・作品]

2012年の年始ころに書いた作品。
一人芝居用の台本です。
    2012年 初頭(?) 作:岡野陽平

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※2014年の上演では《ホリベエ》が
「なんでだよぉ」と独特の方言と口調を加え、
オリジナルの「石川タダミチ(42歳)」が生まれました。
「いやいや、あのよぉ、お巡りさんよぉ、この際ぶっちゃけて言うけどよぉ」
  ★印=《ホリベエ》追加のネタです。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

2012-12-23 19.44.19.jpg

『空き巣道』(あきすどう)

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★石川タダミチ。
 俺の祖先はよぉ、かの有名な石川ごえ・・・あ、聞いてない。

★42。厄年・・・(あ、余計!)

いやいや、あのさ、おまわりさん、
この際ぶっちゃけて言うけどさ、
俺も、空き巣なんて仕事を何十年もしてるワケだけどさ、
いや、ちょっとぶっちゃけすぎだけどさ、
でもよ、
その空き巣歴うん十年の俺でさえもこんなこと初めてだよ。

部屋に入ったら、もう、とっ散らかってて、荒らし放題。
すぐに「被った」ってのは分かったよ。
だから、同業者とだよ。空き巣の先客がいたんだよ。
同じ日に同じ家にさ。
いや、被るのは初めてじゃないんだよ。何度かあったよ、空き巣歴うん十年のうちにさ。
入ってみると「こりゃーどうも誰かが仕事した後だな」って。

でも今回は、もうヒデー散らかってた。
ぐっちゃぐっちゃ。足の踏み場もないくらいに。

「入った家のタンスだーなんだひっくり返して、散らかして物を盗っていく」
そんな仕事する空き巣野郎は、おれは大っ嫌いだね!な!
そんなのは俺の空き巣道に反するね。
空き巣道だよ。
要するにパリスィー(ポリシー)だよ。

★え、長所とってるからちゃんと発音してくれって?
 『ポァリスィー』? え、違う?
 ・・・。あ、もういい?
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盗むならこっそり。空き巣に入ったのも気づかれないくらいさりげなくやるのよ。

何事にも『道』はあるものだよ?

俺は別に贅沢したくてこんな仕事してるんじゃないんだよ。
汗水たらして真面目に働いてらっしゃる人たちから、根こそぎ奪うようなマネは嫌いだね。
その家の奥さんが「だんなのお小遣い減らせばいいか」くらいで埋め合わせれる金額で。
まぁ確かに、数こなさなきゃならないけどね。

それが、部屋中ひっくり返して散らかして、余計な迷惑かけるようなヤツはダメだ。
ホント気にいらねぇ。同業者として恥ずかしい。
でも俺は、その荒らされた部屋に、出くわしちまったもんだから仕方がない。
黙って見過ごせないと思ったね。

で、オレは始めたわけよ。掃除を。
一大、大掃除よ。

もう、とりあえずもうちょっとマシな状態にしようと、まずは床から。
服があっちこっちに広がってるから、ガサーっと拾い集めて、一個一個アイロンかけて畳んでタンスにしまって、あんまり汚れてるのは洗濯籠の中に放り込んで。
床に落ちてるカップ麺とか食料は袋に詰めて棚に載せて。マンガや雑誌は積み上げたり本棚にしまったり。
読んでないよ、確かに漫画や雑誌を片付けてると、あれこれ読みたくなっちゃうもんだけどさ、読んでたら掃除終わらないじゃない。


で、ざっとだけど綺麗になったし、こんなもんでいいかなって思ったんだけど、
目に付いちまったんだ。
汚れた服で洗濯籠が一杯になってるのが。さっき俺が片付けて放り込んだヤツなんだけどさ。

それ見て、「こりゃもうどうしようもない」と思ったね。
で、回したわけよ。洗濯機を。


床も箒や掃除機で綺麗にしたよ。ゴミや埃が結構あってね。
まぁ、家中を掃いて、掃除機かけて、ずいぶん綺麗になった。
で、一通り綺麗になったし、こんなもんでいいかなって思ったんだけど、
目に付いちまったんだ。
床についた汚れがひどいんだよ。
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どうも空き巣野郎はさ、土足で上がってやがったんだろうな、
人様の家に土足で上がりこむなんて、とんでもないヤツだ!
でも、オレはピンと来たね。犯人は外国人だ。
そこで、俺は汚れた床を見ながら、
「同じ日本人が困ってたら助けてやらなきゃ」って思ったね。
だから、俺はやったよ、雑巾で水拭き。
ゴシゴシゴシと。

で、家中の床が綺麗になったし、ちょっと休憩に水を一杯といただこうと、
台所に行ったんだ。
そしたら、目に付いちまったんだよ。
食べた後の食器がそのまま残ってるのが。
スパゲティーだった。そこで俺は思ったよ。もしかして、犯人はイタリア人?

いや、まさか空き巣野郎が、お腹が空いたからって、ちゃちゃっと料理してサッと食ってから出てったなんて、
悠長なヤツじゃないと思うんだけどさ、
でも、もし万が一、そうだったら?

って、思ったらもうほっとけなくてさ。
で、始めたわけよ。洗い物を。

食器洗うだけのつもりが、蛇口周りやシンクの汚れが気になっちゃって、
小道具の針金やブラシなんか使って綺麗に磨いてさ。
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  ★これが良く落ちるんだよ〜♪
へへ、そうまぁ使い方間違ってるけど。

で、一通り綺麗になったし、もういいだろうと、もう十分掃除しただろうと。
で、終わりにしようかなと思ったところで、洗濯機のアラームが鳴って「洗い終わりました」と。
そりゃーもう、ほっといたら大変だよ。
洗って干さずに置いといた洗濯物って、なんか独特の臭いがするじゃない。
だから、要は臭いんだよ。
洗濯機まわしたの俺だし。責任あるわけだよ。
だから干したよ、洗濯物を。
全部、皺にならないように伸ばして。叩いて。

で、全部干して、よしよし、ふ~、だいぶ疲れた。と、ちょっとトイレに行ったんだ。
そしたら、目に付いちまったんだよ。
空き巣野郎がトイレを流し忘れてるのが!
で、汚いんだよ。あちこち飛び散った後があるし。もう最悪。
あー、まぁ、ばばっちい話はやめとこか。
でも俺は思ったよ。水洗トイレを使い慣れてないなんて、もしかして犯人はインド人?

まぁとにかく始めたわけよ、トイレ掃除を。


あとはもういろいろ。今考えてみたら家中の掃除してるね。
机の上、棚の上、玄関まわり。窓も拭いて、サッシに入り込んだゴミも取って。風呂を磨いて、洗面所も磨いて。


よし、これでもう空き巣野郎が入った痕跡は完璧に残ってないぞ、っとなって
最後に、一杯になったゴミの袋を、外のゴミ捨て場にボンボンっと捨てて、
さぁ、ようやくここから、俺の仕事に取り掛かろう。とね。だから、本業のね。えへへ。
  ★(聞いてるお巡りさんに) 分かってるくせによぉ〜

ところが、このゴミ出しに行ったのがいけなかった。
その地区のゴミの日でもないのにパンパンに詰まったゴミの袋を二つ抱えた男。
PIC_0257.JPG
怪しい。っていうか、迷惑。
昼間にゴミを出すのも迷惑だしよ。
これが、運悪く非番のおまわりさんの目に付いて、あれよあれよで、御用となりました。
で、現在にいたると。
そこら辺はあなたのご存知のとおりですよ、おまわりさん。
非番の日に急な仕事入れちゃって悪いね。

なぁ、おまわりさん、頼みがあるんだけどさ。
取り調べなら後でたっぷり受けるし、留置所に一晩入れられたっていい。
でも今、今からさ、
洗濯物、取り込ましてくんない? な、後生だからさ。お願い!
アイロンかけさせてとか言わないからよ。
急な夕立で濡れちゃったりしないように、取り込むだけでいいんだよ。な?
え? うん、確かに分かんねぇ。分かんねぇな。
取り込んでみたら、やっぱりたたみたくなるかもしんねぇ。
たたまずにはおけないかもしれない。うん。それが人情ってもんだ。
確かに分かんねぇけど、ま、そこら辺、臨機応変にどうよ?

え、ダメ?
もう。しゃーない、取り込むだけにしとくわ。たたまない。
え、ダメなの? 何でよ? 雨降ったらどうすんのさ。
じゃぁ、あんた代わりにやってくれない?
俺とあんたの仲だろ。
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(そこへ別の警官が入ってきたらしい)
 ★あ、あんたからも言ってやってよぉ、俺の代わりに洗濯物とりこんできてくれって。
  別にあんたが取り込んできてくれてもいいんだけどよぉ。

あ、家主が帰ってきたの?
え、「ゴミ屋敷が片付いた」って、俺に感謝してる・・・?
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(おわり)

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『こちら山猫探偵事務所です!』 [読み物・作品]

2014年 納涼演劇祭のために書き下ろした作品。
  作:岡野陽平
出演《古さん》のアレンジも加わっています★


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

『こちら山猫探偵事務所です!』


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◆誰かを尾行している。時々カメラ、メモ
(舞台上手奥から登揚し、舞台を広く、上手から下手へ移動等)

◆相手が振り向いた!? すかさず誤魔化す。
(建物の影に隠れる。様子を確かめ、尾行再開)

◆又、相手が振り向いた!?
(慌てて手に持ったメモをスマホにして誤魔化す。)

◆そこへ誰かに声を掛けられ

「えっ!何?おばあちゃん、どこ行きたいの?あぁ、コンビニ!?」
「それは、あっち、あっち、ずーっとあっち。わかんなくなったら交番あるからお巡りさんに聞いて」
「はい、おばあちゃん気を付けてね」

◆おばあちゃんを心配そうに見送って、尾行中だった事を思い出し、慌てて周囲を確認。

「あっ!!」

◆周囲をキョロキョロ見回す。前に進んでみる。いない!?あっちか!?

◆尾行相手を探しに下手へはけるが見失ってとぼとぼと戻って来てあーあ、見失っちゃった。尾行失敗!! 

「今日はもうダメだ。事務所戻ろう」

◆場転

「ただいま! 調査から戻ってきました。って誰もいないけどね~」

◆下手のホワイトボードの予定表を消し、

「現在抱えている案件は、いち!浮気調査!に!なし!
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次の案件はない」

◆コップを手に持って椅子に座る

「さあて、依頼の電話を待つことにしよう。全身全霊を注ぎ込で」
「はぁぁぁっー!」電話に向かって念を送る。
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◆そこで [電話]電話が鳴る。
 お茶を飲んで咳払いをしてから出る。

「はい、山猫探偵事務所。秘書の古谷でございます。
新規のご相談ですね。どういった?
はい、身辺調査ですね。
では、詳しいお話は先生と…なんですが、先生は今、別の調査に出ておりまして。
何せお忙しい方ですので申し訳ありません。
戻り次第、ご連絡致しますのでお名前と連絡先をお聞かせ下さい。
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はい、はい、復唱致します。
綾小路様、電話は、090-123-4567ですね。失礼致します。」

◆電話を切る

「やったあー!来たよ。来たよ。来ましたよ!乾杯~!」
(「ばんざーい!」)

◆お茶をぐび~!と飲み、ホワイトボードに予定を記入する

「よっしゃー!綾小路って何だかお金持ちって感じがする。とれは、期待出来る!」

◆すぐに電話を掛ける。威厳がある感じで

「さあて、電話、電話っと」
「もしもし、綾小路さん。
私、山猫探偵事務所所長の猫田と申します。
いやー!調査が完了しましてたった今、戻って来たところなんですよー。あなたは運の良い方です。手強い相手でしたが、私に掛かれば、スピード解決。いやいや大したことじゃないんですよ。」
「で、綾小路さんご依頼の件ですが?
はいはい、なるほどお嬢さまの結婚相手の身辺調査ですね。
では、更に詳しいお話は、事務所に来て頂いて。調査内容や費用の事もありますからね。
後、調査対象人物の住所、氏名、年齢、職業、年収、借金の有無とその金額。あと、過去の女性遍歴など・・・。
PIC_0246.JPG
え、ええ、もちろんそれを調べるのが私の仕事です。
でも、情報は多いに越したことはないので、
既にご存知の事がありましたら余す所なくお教え下さい。
えー、それでは、打合せ今日は如何ですか?3時?
(少し間を置いて)
すみません!あいにくその時間は別のアポが入っておりましてー!
何分売れっ子なもんで。4時ではいかがですか?では、4時はいかがですか?
はい、では4時にお待ちしております。」

◆大事そうに電話を切る

「いい歳した娘の結婚相手の調査。はあー、過保護だね~!まあ、こっちも贅沢言ってい
られないか」

◆お茶を飲み、立ち上がって下手のホワイトボードを見る

「現在抱えている案件は2件!」
「はあ、やばいなあ。仕事少なすぎる。
今月の家賃分もまだ稼げてないんだよねー。何とか仕事取らなくちゃ。
それには、スキルアップ。トレーニシグしよう」

◆一人で尾行の練習を始める
次々と見つかった場合のカムフラージュを試みる

「松の木!電信柱!犬!猫!ニワトリ!」
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「よし!完壁!!」

◆道具を出してダウジングを始める

「埋蔵金、埋蔵金、あっ!」「1円玉めっけ!」

◆満足して次へ虫眼鏡を出す

「髪の毛一本も見逃さない!」「_ほこり溜まってるなぁ」

◆カメラで隠し撮り変なポーズで

「パシャパシャ」「よ一し!パーフェクト」

◆そこで [電話]電話が鳴る

「おっ、新たな依頼か1?」

◆秘書の声色で

「はい、山猫探偵事務所でございます。あぁ、先ほどの、先生に変わります。」

◆声を替えて

「もしもし、綾小路さん、身辺調査ですよね。えっ、別れた!?さっき!」
「あらー、残念ですね~、いえいえ、お気になさらずに」 残念そうに!
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「また、お嬢さんに恋人が出来たらすぐにお電話下さい」
「なんなら良い人紹介するんで。それで、私がその人を調査するんで!
はい。では、失礼致します。」

◆電話を切って

「はあ~、別れるにしてももうちょっと待って欲しいよねえぇ。
せめて一回は調査させてよお~!」

◆また、[電話]電話が鳴る

「おっ、今度こそ新たな依頼か!」
「はい、もしもし、山猫探偵事務所、あぁ、浮気調査の!えっ!もういい?いいって?
現場押えた?いつ?えっ、今!!今、修羅場!!」
「ちょ、ちょちょちょちょっと待って~!それ見なかった事にしてあげて!」
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 ストップモーション

(おしまい)

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『少し未来の自分』 [読み物・作品]

2014年 納涼演劇祭にて上演。
 一人芝居  作:岡野陽平

〜〜〜〜〜〜〜〜〜

『少し未来の自分』
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やぁボク。あ、落ち着いて!慌てるな。
驚くのも無理は無い。
でも、説明しなくてもこの顔を見たら分かるよな?
僕は君だ。君は僕自身だ。
僕はね、明日の君なんだ。
いや、僕には明日がなかったのだから、今日の君、なんだろうか。


話が唐突かもしれない。(共に歩き出す)
でも、未来の自分が過去の自分に会いに行く、
そこには理由は一つしかないと思わないか?
そう、「未来を変えたい」
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これから君は信じられない出来事に遭遇する。
いや、とんでもない女に出会う。
そいつのせいで、僕には明日が来なかった。
あ、心配はいらない。死んじゃいない。生きてるよ。この通り!


あ!おい!前!電信柱!
あ!!
(ほら、僕の言うことを聞かないから。)
前見ろってー。バカなの?
お、怒るなよ。

危ない!(さえぎる)
うんこ!犬のうんこ!(足もとを指差して)
ほ。良かった。踏まなくて。
いや、そんな、良いよ、大したことじゃないよ。
土下座までしなくていいって。
うんこの隣で土下座するなって。危ないだろ。
な、ほら、立って。
ウンコ踏んだって、電車で周りの乗客からあからさまに避けられるだけだから。それだけだから。

これから君に起こることとは全く関係がないことだからさ。

でも、これで僕の言うことを信じてくれただろ?


話を本題に戻そう。

君は今日、もの凄い、美人で、グラマーな女性に声をかけられる。
どれくらい?どれぐらいって??(胸?)
・・・F?
PIC_0231.JPG
もんだか? はい、もみました。ちょっとだけ♪

いや、待て待て!!
あのな、交換条件だったんだよ。
そう、交換条件。

そのたったちょっと、ちょっとXXX(もみっ)ってしたら、
とんでもないことになったんだ!
だから行くな!

うそじゃないって。うそじゃないって!
確かめなくっていいって!!
行くなーーーー!

(走り出す)
まてーーー!


無理だ!自分自身に追いつけるはずがない!
お互い同じ速さだから。。。この距離はずっと・・・
走り.png
!! なぜだ! 離されていく!
速い!!なんなのあの速さ!?
そんなに揉みたいか!!

ダメだ。。。はぁはぁ。
あいつ、めっちゃ速いな。
ヒトって、夢のためには120%の力が出せるんだね。

仕方ない。女に出会う前に防ぐのは、諦めよう。
あいつは偶然の出会いを求めて、ただ闇雲に走ってるだけ。
僕は、現場へ先回りだ。


(そして現場)

待て!
こいつだ。この女だ。この女は信じちゃならん。
PIC_0234.JPG
ご覧の通りのすごい美女で、グラマーだが、
こいつはイカレた科学者だ。
自分で作ったタイムホールの実験台を探してるんだ!

おい、この詐欺女!!
(バキ!!=自分に殴られる)
お前・・・僕だろ!僕が僕を殴るの?
自分で自分を裏切るの?
PIC_0235.JPG
え、自分の心に素直に従っただけ?
お前のはただの下心だろ!
(ドカ!=自分に腹を蹴られる)グゥ!

やめろ・・・。耳を貸すな。
その実験のモルモットにされるだけだ。
やめろ!!
もむなーーーー!!!! 揉んじゃダメだ!!!
PIC_0236.JPG
あぁ、バカ!このどスケベ野郎!

やめろ! タイムホールなんて嘘だ!
いや、それは嘘じゃなかったけど。
だから!とんでもないことになるからやめろ!

やめろーーーーー!!
(自分の腕を掴む)
(その瞬間に、タイムホールが!!)
!あーーーー!
PIC_0237.JPG
(とめようとして巻き込まれ)
(二人とも飛ばされる)


やぁボク。あ、落ち着いて!慌てるな。
驚くのも無理は無い。
でも、説明しなくてもこの顔を見たら分かるよな?
僕は君だ。君は僕自身だ。
僕の隣にいるのも、僕だ。
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(暗転)

やぁボク。あ、落ち着いて!慌てるな。
驚くのも無理は無い。
でも、説明しなくてもこの顔を見たら分かるよな?
僕は君だ。君は僕自身だ。
僕の周りにいるのも、みーんな僕だ。
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(おわり)
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『心もヨシ子なら』 [読み物・作品]

2014年 納涼演劇祭のために書き下ろした作品。
何度か、大きく書き直されているので、
  ◎原案《岡野陽平》
  ◎あらすじ《ちゃんこ》&《つるにゃん》
  ◎脚色《岡野陽平》
という感じで完成しました。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜

『心もヨシ子なら』

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 道具:椅子、小机、電気コード、バナナ、珈琲カップ
 衣装:白衣、うさみみ、メイド服
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■紙くずが散らばった部屋。
 明け方、外で鳥がチュンチュン鳴き始めている


博士 「・・・ついに完成したぞ! さあ目覚めよ! 殺人アンドロイドよ!」
■スイッチON(ウサ耳左)
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■アンドロイド、立ち上がり、なめらかに動き出す。

アン 「おはようございます、博士」
博士 「うむ!早速テストだ! お前の名前は!?」
アン 「良子です」
博士 「今日の日付は!?」
アン 「2014年8月20日水曜日」
博士 「今の時間は!?」
アン 「午前5時32分40秒です」
博士 「今日の天気は!?」
アン 「晴れ時々曇り、最低気温●℃、最高気温は●℃」
博士 「うむ。素晴らしい」
アン 「そんなの携帯見ても分かりますよ」
博士 「そ、そうだな。じゃぁ、良子は占いが好きだったし
     …今日の私の運勢は!」
アン 「小吉。今日は何もしないで家で寝ていましょう。…微妙ですね」
博士 「ラッキーカラーは?」
アン 「黄色です」
博士 「黄色か」
アン 「博士、何か黄色い物はありますか?」
博士 「あ!バナナ買ってある!!よし!! これで今日は上手くいく!」
アン 「ですね♪」

博士 「よし!顔も良子、見た目も声も良子、思考回路もまるごと良子♪
     すばらしい!!」
アン 「炊事、洗濯、掃除、何でもご命令を」
博士 「そんなのはいい!! 復讐を、してもらおう」
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アン 「復讐?」
博士 「そう、良子のための復讐だ! お前はただの良子じゃない!殺人アンドロイドなんだ!」

■照明切り替わり、暗闇にスポットライト。
 場所がズレてて良い。アンドロイドがスポットに入ってくる。
 入ってから、
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アン 「ガガーーーーン!! なぜ良子にそんな機能付けたし!
    ・・・ダメ、絶対」

■照明戻る。

アン 「ガガガ・・・フクシュウ・・・フクシュウ」
博士 「そうだ!(むふふ)復讐だ!!(むふふ)」
アン 「昨日の授業は132ページから154ページの10行目まででした」
博士 「そうそう。スゴく難しかったよね。ていうか、何の授業だったっけ?」
アン 「数学です。っていうかそれすらも分かってなかったんですか」
博士 「てへー★ って! その復讐じゃない!学生でもない!
    ていうかネタがベタ過ぎ!」

■無視して、アンドロイドが床に落ちてる服をたたみ出す。

アン 「博士、この服はどこに収納しましょうか?」
博士 「ああ、そこに置いといて。いや~綺麗に片付けてくれてほんと助かるな~って、え、何?服の収納?」
アン 「はい、服の収納でフク・シュウです」
博士 「服の収納はそんな約し方しません!」


アン 「ふっくしゅん、ふっくしゅん・・・」
博士 「え? それ、くしゃみなの??」
アン 「誰かが私の噂をしてる…」
博士 「てか、アンドロイドもくしゃみするの??」
アン 「アンドロイドもくしゃみするの?」
博士 「私が聞いてるんだ!」
アン 「私がきいてるんだ!」
博士 「え?」
アン 「え?」
博士 「なんでマネするんだ!?」
アン 「博士、復唱しろって言ったじゃないですか」
博士 「復唱じゃない!ふくしゅう!」
アン 「・・・」

アン 「ホウホウ・・・ホウホウ・・・ホウホウ・・・」
博士 「何それ? 何、急に??」
アン 「ホウホウ・・・ホウホウ」
博士 「ふくろう?」
アン 「正解です!博士、スゴい!」
博士 「やったー、って、なんでや!!
PIC_0223.JPG
   フクロウとフクシュウって、フクしか同じじゃないじゃん!ヒド過ぎ!
   フク・シュウだ! シュウ!シュウ!シュウ!」

アン  「しゅう・しゅう・しゅう!」

博士 「いい加減にしろ! おまえはなんのために作られたんだ?」
アン 「私は良子として、博士のそばに居るために・・・」
博士 「それだけじゃない!! お前は殺人アンドロイドなんだ!」
アン 「私は良子です。アイム・ヨシコ」

■照明切り替わり、暗闇にスポットライト。
 場所がズレてて良い。博士がスポットに入ってくる。
 入ってから、

博士 「・・・やっぱり、私が作ったものはこんなもんなのか・・・」
  
■アンドロイドも入ってきて、
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アン 「博士は天才ですよ。・・・昔から天才です」
博士 「良子・・・」


博士 「いや!! お前は殺人アンドロイドだ!復讐のために作ったんだ!」

■博士が良子を払いのける。 照明戻る。

■ウルトラマンの3分経った時のような音が鳴り出す

アン 「バッテリー残り10パーセント!!!」
博士 「ええ? 電池もちわるーー!」
アン 「バッテリーを交換してください」
博士 「そんなのないよー!!」
アン 「電源ダウンまであと3分」
博士 「あと3分!?・・・あ!コンセント!コンセント!!」
PIC_0224.JPG
■博士、アンドロイドからコードをひっぱりだして、コンセントへ刺す

アン 「充電開始しました」
博士 「ほっ。・・・? ってか、コンセント刺してたら外出れないじゃん!!」

博士 「しょうがない、こうなったら、必殺!ミサイルだ。えい!」

■博士、アンドロイドのウサ耳右のスイッチON!

アン 「ミサイルモードになりました」
     うぃーん、がしょん。うぃーん、がしょん。
     ミサイル発射30秒前」(口からミサイルがでる)
博士 「これで一気にふっ飛ばしてやる」

アン 「20秒前・・・目的地はどちらでしょう?」
博士 「あれ?ちょっとまって。どっちだっけ?」

アン 「10秒前・・・目的地はどちらでしょう?」
博士 「こっち向くな!あっちあっち!」
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アン 「住所をお願いします!」
博士 「え!? えっと、兵庫県…あ~(尼崎市)」
アン 「郵便番号からお願いします」
博士 「そんなの知らんし!」
アン 「5、4、3・・・」
博士 「うわ! バカ! 止まれーーー!」

■博士アンドロイドの顔を勢いよく殴ってしまう
 バチバチバチバチ!!!ぴかちゅうの電気のような音。

アン 「ミサイルを停止しました。」

博士 「ふう・・・助かった・・・。ていうか、大丈夫か? 壊れてない?」
アン 「何ともないですけど…」
博士 「そうか。…はぁ、なんか疲れたな。ちょっと休憩しよう。良子、コーヒーでも淹れてくれ。」
アン 「は、はい、分かりました」


博士「はぁ。やっぱり私はダメだ。
   幼稚園のお受験でもスキップができずに失敗して、
   小学校入試でも落ちて、中学校入試ではインフルかかるし、
   動物園行けばゴリラにフン投げられるし、
   レタス買ったらだいだい腐ってるし、
   電車並んでてもだいたいおばちゃんに割り込まれるし・・・

■アンドロイドがバナナと珈琲を持ってくる。

アン 「はい、どうぞ」
博士 「…ぶつぶつ」

■アンドロイドがバナナをかじる。

アン 「あ!
博士 「え?」
アン 「博士、朝ごはんも食べてない!」

■バナナを博士のくちにねじ込む

博士 「おい!?」
アン 「あ、博士、顔色がよくない!」
博士 「そうか?てか、バナナそんなにつっこまれたら顔色も悪くなるわ!」
アン 「博士、寝たほうがいい、寝ろ、寝ろ(無理やり)」
博士 「寝てなんていられるか!長年の夢が叶うという時に!!
    てかなんか怒ってない!?」
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アン 「オマエ、さっきアタマ、殴ったやろ!」
博士 「え!? さっきの?」
アン 「ヨクモ、ナグッタナ、女はな、顔がイノチや!!」
博士 「ごめん!わざとじゃないんだ、・・・てかお前ロボットだろ!!」

アン 「私は良子や!!ネロ、ネロ!永遠にネテロ!!」おそいかかる
博士 「恐い!恐い! めっちゃ良子!! 恐さも良子!」
アン  「そうやでーー!!」

■博士が押し倒される
 アンドロイドが謎の子守唄歌い始める。

アン 「♪(唄)」
博士 「これはっ!催眠攻撃・・グ・・・ぐがー・・・」

■博士そのまま入眠。

博士  「良子・・・絶対、仇は取るからな・・・(むにゃむにゃ)」

■やさしい子守歌のようなオルゴールの音

アン 「ふふふふふ・・・上手くいった。 復讐なんてダメよ、信夫さん」
■上着をかける。散乱した紙くずなどを片付ける

アン 「信夫さん、あなたは本当に天才ね。私、良子だわ。
     まんま良子。心も良子。アイム・良子」
     これからもずっ~と一緒よ」

■照明、F.O。 その消え際に、正面を向いて

アン  「アイム・良子」
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 ★公演では、暗転後に再びスポットが点いて「アイム・ヨシ子」でした。

(終わり)

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落語『宿屋仇』 [読み物・作品]

落語は同じ作品でも、長く30分以上やったり、10分程度に縮めたり、
演者によっても大きく展開が変わったりします。

《まっそ》が10分程度にまとめました。
落語に大切な冒頭「まくら」は省略。
まくらは毎回、季節なんかによっても変わりますしね(´▽`)
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〜〜〜〜〜〜〜
★語り
◎侍
○伊八

清●
喜▲
源やん■

★宿場町というものは面白いものでございます。
昼間はちょろちょろっと旅人が見えるくらいですが、夕方ころになるとあっちゃこっちゃから宿の客引きが出てきてあちらこちらでわあわあとしております。
そんなところ、ある宿の前にお侍さんが一人。

◎紀州屋源助とはそのほう宅であるかな?
○へえ、手前どもでございます。
◎その方が主の源助であるか?
○いえいえ、手前は当家の若いもんでございます。
◎若いもの?若いものにしては頭が剥げておるが
○こんなところに奉公しておりますと、いくつになりましても若いものとこう申しますのんで
◎さようか、あー、名は?なんと申す
○伊八と申します。
◎では伊八、ここに二朱入っておる。これを遣わす
○へえこれはありがとうございます
◎うむ 昨晩の宿では詠歌(えいか)じゃ経じゃ歯ぎしりや果ては駆け落ちものがいちゃいちゃ申すやら、なんともやかましゅうで一睡もできなんだ。今宵は狭くてもかまわん、静かな部屋へ案内してもらいたい。
○かしこまってございます。八番さんへご案内ー!
★と、このお侍を二階の角部屋へと案内したのでございます。

★さてそのあとからやってまいりましたのは若い男の三人連れ。
伊勢参りの帰りと見えまして、景気よくわあわあ言いながら上がってまいりました。
やれ酒だ刺身だ芸者だと、上がるなりどんちゃんどんちゃんの大騒ぎ。

●おーいもっとじゃんじゃん持ってきてくれ!今日はぱーっといくでー!
★一方、隣のお侍、旅日記でもつけて休もうかと筆を執ったところでこの騒ぎ。

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◎(手を打ち)伊八ー!伊八ー!
○へい、お呼びで。
◎伊八、部屋を頼んだ折、その方に二朱遣わしたな。
○へえ、確かにちょうだいいたしました。
◎その折りその方になんと申した。狭くても構わん、静かな部屋へ案内してくれというたであろう。それなのに何じゃ隣のあの騒ぎは。どんちゃんどんちゃん騒がしい。即刻、静かな部屋へ変えてもらいたい。
○まことにすまんこってございます、あいにく満室でして…騒ぎを鎮めてまいりますゆえ、どおぞこれにてご辛抱願います。
◎では はようしてくれ。
○かしこまりましてございます。

○ええ、ちょっとごめんを
■おお伊八、ええとこきた まあお前さんもぐーっと一杯
○頂きたいのは山々でございますが、ちょっとお願いしたいことがございまして
源■おおなんやなんや?
○あのお、もう少々お静かにお願いしたいのでございます
清●静かに願いたい?何をいうてるんや、酒、魚におなごと並べて静かになんかできるかい。お静かがよかったらお前、さいしょっからあきまへん とこう言わんかい
○手前ども、賑やかなんはまっこと大歓迎なんですけども、隣のお客さんが「もうちょっと静かにするように」とこう申しますもんで
●なんじゃい。隣の客がいいいよるんか。ほんならこう言うてやれ、お静かにがよかったらそれだけの金出して貸切せんかい!ってなあ
○ええ、言わしてもらわんことないんですけど、実は隣のお客さん、お侍でございまして…
●え 侍 お、おまえそれ先言わんかい!でかい声で言うてしもたわ聞こえてへんやろな…おお~こわ!わい侍嫌いやねん、なんや人斬り包丁持ってごめーんズバーってな…ごめんて誰が許すかってんだ。わかったわかった、しゃーない。もお帰らすしあんじょぉ言うといて…
○スンマセン、おありがとうございます

○えー、あの通り静めて参りましたのでどおぞこれにてご辛抱を
◎ん。手間をかけたな。そちも早く休んでまいれ
★一方、「お静かに」言われた三人組は。
清●あほらしなってきたなー、ちょっと騒いだだけやないかい。今日は夜通し騒ごーおもとったんに…しゃーない、もお寝よか
喜▲なんや、飯食わんのか?
源■まああんだけ食うたんや、もおええやないか。おーい、
○へい、お呼びで
■おお伊八っとん、布団ひいてんか
○もおおやすみでっか
●しゃーないがな、また「お静かに」言われたらかなわんからな
○こりゃまことにあいすまんこってす、すぐにお布団をお敷きいたします

●あーあ、ホンマあほらしなってきたなあ。ちょーっとわあわあ言うただけやで
▲清やん、まあそお言いなや、すんなり行った旅なんかオモロないで、気分よおぱーっとやってたら隣のお侍に「お静かに」食ろてさっさと布団もぐったなんて話のタネんなっておもろいやないか
■しかし、今回の旅はおもろかったなあ
▲おもろかったなあ、今回は特に、どこいっても兵庫のもんや、いうたらおぉ、兵庫かいな、いうて兵庫ちゅうとこ知っててくれたやろ、あれがうれしかったねえ
●当たり前やないか、兵庫は有名なとこやで。なんたってええ相撲取りが出てるからなあ
▲そんなもんか?
●当たり前やないか。みーんな出身地の名前頭に頂いて日本中旅しとおねんで、ええ相撲取りが出たら有名にもなるがな
■わいが一番好きなんはあれや、相撲が好きで好きで、坊さんやめてもおた…
▲捨衣やな、見たでえ、あれは体は小さいけどなかなかのもんや、こないしてグっと持ってな
●こらこらこら、わいのフンドシ引っ張ってどおすんねん、ちょちょちょ待ち…そおい
▲おお、やんのんか、そっちがその気なら
■待った待った、布団の中で相撲取りな、お、お、立った!立った!のこったのこった!なかなかやるやないか、八卦良い、八卦、お、勝負あったー!!
●いたーい!

◎(手を打ち)伊八ー!伊八ー!
○またかいな。へい、お呼びで。
◎伊八、部屋を頼んだ折、その方に二朱遣わしたな。
○へえ、確かにちょうだいいたしました。
◎その折りその方になんと申した。狭くても構わん、静かな部屋へ案内してくれというたであろう。それなのに何じゃ隣のあの騒ぎは。今度は相撲か、どったんばったんいたあーいとは何事か。即刻、静かな部屋へ変えてもらいたい。
○まことにすまんこってございます、先ほども申し上げました通り、あいにく満室でして…騒ぎを鎮めてまいりますゆえ、どおぞこれにてご辛抱願います。
◎では はようしてくれ。
○かしこまりましてございます。

★急いでとなりの部屋を覗いてみますと、のこったのこった布団の上で大立回り。綿も飛び出しそうな勢いでございます。
○うわー、こりゃえらい騒ぎや。ちょっとご免を
▲よおーっしゃあ、ほんならもっぺんおまんと勝負やあ!
○あのー、隣のお侍
●うわ!すっかり忘れとった、ご免、もう寝る、堪忍や!
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○こっちも寝さしてもらえませんで、どおぞお静かにお休みくださいますよう…

○あの通り静めて参りました故、どおぞこれにてご辛抱を
◎たびたび手間をかけたな、そちも早く休んでくれ

★またまたお静かに、言われた三人組。今度こそおとなしく布団にもぐりこみました。
●いやーいかん。相撲の話はどうしても力が入る。なんか力の入らん話にしよ、力の入らん話ちゅうたら…あれか
■あれやな
▲なんや
●色事の話に決まってるがな、
▲んなもんあるかいな、この顔触れで
■ある
▲源やん、あるんか
●ほんまかいな
■ほんまも何も、俺は間男したぞ、それもそこらの子守女やない、侍の嫁はん間男して、人ふたあり殺して五十両もって逃げて、見ての通りいまだに捕まらんっちゅうねん
▲ひゃー、ホンマかいな、いつの話や?
■もう八年ほど前になるか、オジキの手伝いで行ったお侍の屋敷でな、ごっつい綺麗どころやで、ええー感じになって…まあそこでゴジャゴジャあったと思いンか。そしたらや、運悪く侍の弟にみつかってもうて、こりゃどうしょうもない、逃げるが勝ちやとおもうてバーッと出よったら、向こうさんの廊下があんまりピッカピカに磨いてあるもんやから、つーっと滑って刀がつるり、ワイのほうへ飛んできよった。もうそれ、そこは無我夢中でカタナ引っ掴んでわぁーっと突いた突いた
▲えらい勢いや
■えらいことなったいうて奥方真っ青や、かくなる上は「わらわを連れて逃げてくれ」ときたもんだ。せやかて、女連れでそない逃げられるわけがない。しゃあない、路銀やいうてもろた五十両はありがたーく頂いてズバー
●奥さんまで斬ったんかい
■そないせな逃げられんやろおが。どや、これくらいの話はあるか
▲はあー源やんやるなあ、聞いたか清やん
●聞いた聞いた、どえらい色事師や
▲よっ!源やん色男!イケメン!モテ男!

◎(手を打ち)伊八ー!伊八ー!

○またかいな、寝さしよらんなこら。お次はなんざんしょ… へい、お呼びで

◎伊八、喜んでくれ
○へえ、それはおめでとうございます なんでございましょ
◎実はな、八年ほど前、藩許(くにもと)において妻、弟を討たれ、仇討ちのために諸国を巡っておったのだが、今宵その仇のありかがわかったのじゃ
○それはそれは、して その仇と申しますのは?
◎隣の部屋に泊まりおる男衆、その源やんとかいうやつじゃ。たった今、おのが口からぺらぺらと白状しおった。かくなるうえは直ぐにでも討つ!と言いたいところじゃが、その方らに迷惑を掛けるのも気が引ける。明朝店を出てすぐ、出会い頭に討つことにいたす。それまでの間、しかと見張っておけよ。あとのふたりは友であれば助太刀をするであろうが、ついでじゃ、助太刀せずともついでにズバッといてまお。
よいか、一人たりとも逃がすでないぞ。そのときは宿じゅう連帯責任じゃ、ズバッといく
★きつーく伊八に申し付けると、お侍は刀の手入れを始めてしまいました
○どえらいことになったでえ。ええ、ええ、ではしっかりと縛りつけておきますで…

○というわけでございまして失礼をば
■うえええコワあああ、嘘じゃ、嘘じゃ、聞いた話をワシのことみたいに言うただけやて
○ああこら、暴れんで下さいませ、縛りにくうございます。そう申されましてもね、お侍も偉い剣幕で おかわいそうですがズバッと
■そんなあほな
●待て待て、なんでわしらまで一緒にしばられてんねん!
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○お二人さんも、ついでにずばーっといくいうてましたんで、ご一緒に
▲ついでぇ!?ついでに斬られてまうのんか

★もう宿中がしずかーに大騒ぎでございます。
柱に括られた三人組は、塩かけた菜っ葉みたいにシューン。
そうしていよいよ朝がやってまいりました。

◎(手を打ち)伊八―!伊八―!
○あーもうトラウマや、当分この声聞こえてくるわ。へえ、お呼びで
◎おお、伊八か。昨夜はずいぶん手間を掛けさせたな、これは礼じゃ、とっておけ
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○ありがとうございます…。で、あの三人はいかように
◎そうじゃな、泊まるなり発つなりさせてやれ。
○へ?仇討ちの件は
◎仇? はっはっは!伊八、許せ。ありゃ嘘じゃ
○嘘ぉ! おかげでだーれも寝てませんねんで、なんでまたそんな大層な嘘を

◎伊八、許せ。ああでも申さんと、また夜通し寝かしおらんわい。


(おわり)
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元『女郎屋』あらすじ 作:岡野陽平 [読み物・作品]

古い作品(あらすじ)を見つけたので載せておきます。
日付が「2009.11.12」とありました(°д°)
ピッコロ(本科)の卒業公演のため。
初めに考えたストーリー。
真面目な、史実に沿った感じのお話です。
今読み返すと、拙い。

※これに、皆のアイデアを混ぜて、
転じて『女郎屋』あらすじ となりました。
全然違う!!Σ(°д°)φ

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

タイトルなし

【一場】ここは花街の小見世     ※見世=店。
太夫(※高級遊女)のいる大見世より劣るが、
廓の中にあるので岡場所よりよっぽどマシ。  ※岡場所=非公認の女郎屋。
この見世にも十年前に太夫が一人いて、とてもにぎわっていた。
その太夫が死んでから客足が遠のき、今や閑古鳥。

昨夜、一人の禿(かむろ)が水揚げして新造となった。
この妓が見世の看板になってくれたらなぁ。
        ※禿=若い女郎見習い。12~13歳。姉女郎について習う。
        ※水揚げ=一人前の女郎になるための、夜の儀式。
次の禿は廓生まれの廓育ち。
禿は姉女郎たちにあこがれて、
早く客を取りたいと言う無邪気。

この見世には他にも多くの女郎がいて、
座敷持ち、部屋持ち、新造と格が下がる。
太夫はいない。
座敷持ちが今の看板女郎。大見世の太夫に対抗心。
部屋持ちは座敷持ちに対抗心。
       ※新造=新米の女郎。 番頭新造は年配の、元女郎。


見世は女将(内儀)と牛太郎(妓夫太郎)がきりもりしている。
他にも番頭新造、女衒(ぜげん)などがいる。
       ※牛太郎=遊郭で働く男。遊女への取次などをする。
       ※女衒=人売り。各地から女郎となる女の子を集めてくる。
客としては、
見世一番のだんなは人格者で、ほとんどの水揚げはこの人物が相手をしてきた。
若い男は新造の色男。身揚げしてもらってる。
       ※身揚げ=女郎がお金を出して客を取ること。

他にも病持ちの女郎のために医者が出入りし、
坊主も遊びにくる(水子供養と言って)。
警察官(役人)も。




【二場】明治という時代を迎えて。

内戦は終った(明治2年)けれど、どうしたって落ち着かないご時世。
客の種類は変わってきた。
昔の田舎侍が庄屋のせがれに。
でも、いつの時代も女郎屋は女郎屋。
都が京から東京に移っても(明治4年)
市民の服装が変わっても、
四民平等も、女郎屋には関係ない。

小見世の経営はそこそこ。
大見世からスカウトが来る。禿の娘を売ってくれ。
太夫の資質。喜ぶ禿。
反応する他の女郎たち、客たち。

結局、禿は大見世に移ることに。
いざお金のやり取りをしようとしたその時、
駆け込んできた報せ。
「娼妓解放令」
遊女は奴隷だ、と外国から非難される。
「娼妓は牛馬と同じものである。よって借金というものは無い」
女郎の前借金を全て無効とし、ただちに年季を終らせる、というもの。
     ※年季=前借金などとともに、労働者を一定年数しばるもの。基本的に住み込みで、給料などはない。

国の外交戦略の余波であり、
民主化、文明化への流れでもある。

こんな布令に従う必要ない!
しかし、役人が強引に押し通す。
大見世との話は当然なかったことに。



【三場】娼妓解放令という難題。

「これで晴れて自由の身だ!!」と、単純に喜べるモノではない。
●里に帰ると喜ぶ者はさっさと旅支度を始める。
●いや、里に帰ってもつまはじきにされるだけだと、残る者もいる。帰る場所はない。
●残ったって、もうここでは商売できないよ。食い扶持に困る。
●娼妓をやめて芸妓として立身しようとする者。
●廓育ちの禿には帰る里がない。→女紅場へ。
     ※女紅場=政府が作った、遊女の更正場。
●新造は若い男に、嫁にしてくれとせがむ。→逃げる男。
●病の女は死を望む。→堕ちていく医者。
●キリスト教のシスターが救いの手を差し伸べる。→ついていく女郎。
●座敷持ちと牛太郎の恋。ただの女になったのだから。

それぞれの道。それぞれの行き場所。
見えない未来。

さぁ、今夜はこの見世最後の宴といこうじゃないか!!




【四場】1年後。それぞれの道の先に。

非公認で細々と女郎屋を営む、残った者たち。
去った者たちの噂を聞く。
幸せな者もあれば、不幸な者、死んだ者もいる。

私達はいつだって、おエラいさん方の政治とやらに振り回されて。
これからどうなっていくんだろうねぇ。

そこへ新たな布令が。
「貸座敷渡世制度」など。

置屋が女郎を拘束するのではなく、女郎の自由意志によって商売をしても良い、とする。
       ※置屋=女郎屋。(今で言うところの所属事務所)
       ※渡世制度=営業規則。
つまり、遊郭・女郎を再び公認するもの。
娼妓解放令の無実化。

喜ぶ女将や女郎。
戻ってくる女郎たち。禿の水揚げを行う。
それぞれの今。それぞれの笑顔。
去った者の、女の幸せ。

女の扱いが変わるわけじゃないけれど、
それでも未来はある。
安心してご飯が食べられる。
そんな幸せ。

終わり。

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『宇宙魅たことか』百景③ [読み物・作品]

終盤

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↑夫人に会わせて、と頼む3人。菅原、鴇田、若。
 セバス「帰れ」

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↑若「ヤクザって仕事を知ってるかい?」
 セバス「ほう。私とやろうというのか。
  ならば、『棺桶』が一つ必要になるな…」
 若とセバスの対決!?

 セバス「私のな!」
 2人「お前のかよ!!」

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↑若「ロケットをぶん捕って宇宙へ行く。あんたも乗らないか」
 3人は夫人に提案する。
 新政府が押さえている元・移民省のロケットを奪って宇宙へ行く、と。
 夫人「面白そうね」

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↑またロケットに乗れる、宇宙に行ける、
 と聞いて大喜びする2人。長女と彼氏。

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↑地球において行く子供達(次女,弟,妹)を心配する母。
 母「私が生きてるうちに、またあの子達に会えるかしら。
 これが最後にならないことを祈るわ…
 おじいちゃん以外」

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↑テロリストの2人。
 「飛ぶだー、飛ばないだー、やっぱり飛ぶだー」
 「いい加減にしろっての!」
 テロK「よっしゃ、今度こそ行ってまいります」
 テロC「…行っちゃうの?」

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↑実は宇宙に行きたかったと言うテロC(♀)。
 テロC「宇宙に行く人達が羨ましかったの。だからテロなんてしてたの!」
 テロK「妹よ」 テロC「あ、妹だったのか。忘れてた」
 テロK「行こう!」
 ヽ(´▽`)ノ 2人「こけーーーー!」


再び【闇夜】
 オープニングと同じシーンが繰り返されます。
PIC_0161.JPG
↑警戒しながら鴇田が現れる。
 鴇田「こっちです」

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↑ロケットに乗り込む人々。
 撃ち殺されるスパイ。
 鴇田「何も殺さなくても!」
 菅原「なに悠長なこと言ってんだ!」

 そこへ走ってくるリュウ。「乗せて下さい!お願いします!」
 菅原「恋人じゃぁダメなんだよ」
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↑ここからがオープニングの続き!ヽ(´▽`)ノ
 リア「待って!」と『婚姻届』を出す。
 リア「彼と結婚します!夫婦ならいいんでしょ!配偶者なら!」
 鴇田「役所に出さないと結婚は成立しないですが」
 菅原「大丈夫。もう移民省のロケットじゃありませんから。彼も乗れます」
 リュウとリアは手をつないで乗って行く。。。

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↑そこへ夫人が到着。
 警察が追ってきている。
 夫人「あと、よろしくね」
 若「あいつらは俺に任せろ!」と、戦いに行く若。
 菅原「急ぐぞ」 次々と乗客が乗って行く。

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↑大家族。
 鴇田「4人ですか?」
 「赤ちゃんがいます」
 乗り込んでいく。。。

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↑鴇田「あれ、おじいさん、行かれるって言ってませんでした?」
 母「死にました」
 Σ(°д°)

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↑教祖も破れたリーフを持って(テープでつなげて)。
 教祖「さらば、アースよ!」

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↑『ニワトリ』の2人も。
 鴇田が見ると、スッと顔を背ける( °д°)( °д°)
 嬉しそうに乗り込む2人「こけーー!」

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↑そして、今回一番楽しんでいただいたのはここ。
 鴇田「ロケットに乗られる方はいませんか!!」
 観客の皆さんにロケットに乗っていただきました♪
 そう、観劇チケットが『イエローリーフ』なんです。
 鴇田「先ほど入り口でモギッとしたヤツです」
 「地球には戻って来れませんが、座席には戻って来れます」
 他にも《おはま》のアドリブが冴えわたり★=
 ご搭乗ありがとうございました(´▽`)

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↑玄武組の兄貴が女連れで乗りにくる。
 兄貴「これ、あたいの、いや、俺の新しい女、マチコってんだ」
 マチコ「よろしくね★」
 鴇田「お乗り下さい(さっさと)」

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↑玄武組の舎弟は…性転換!Σ(°д°)

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↑菅原「時間だ!」
 鴇田「朱雀の若がまだ戻ってません!」
 お頭「私らに任せな」
 女組長と付人が走って行いく。

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↑若が戻ってくる。 鴇田「大丈夫ですか!?」
 若「俺は行く。気にはなるが、行かなきゃならねぇ。
  おふくろのためにも、あいつらのためにも」

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↑そして…
 鴇田「菅原さん、行かないんですか!?」
 菅原「俺は残るよ」
 初めから宇宙へ行くつもりのなかった菅原。。。

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↑エンディング。
 鴇田「菅原さん、ありがとうございました。行ってきます」
 菅原「じゃぁな」

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↑終わりの挨拶(´▽`)

 そして、再びダンス! (菅原と鴇田を加えて)
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ありがとうございました!!

(おしまい)

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『宇宙魅たことか』百景② [読み物・作品]

中盤

菅原は緊急停止ボタンを押して、宇宙へは飛ばされずにすんだらしい。。。
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↑大家族再び。赤ちゃんが生まれている。
母「その子が産まれて、家族みんなの気持ちが変わったのよ」
宇宙へ行くのは、父、母、長女、彼氏、赤ちゃん、の5人に。
他の子共たちは自立したり親戚に預けたり。
でも、じいちゃんは行く気満々!

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↑リアの一人語り。
今の地球の現状と、宇宙の豊かな生活と。
「宇宙へ行けるなんて、私は好運だ。
幸運で幸せすぎる。幸せすぎる、はずなんだけどな…」

友人からも言われてしまう。
「イエローリーフに当たったんだから、もっと嬉しそうにしなさいよ」

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↑嬉しそうなテロ2人。リーフが当選したので
「何の疑いも無くロケットに潜り込める」
「ロケットに潜り込んで自爆テロだ!」

移民省の2人。
鴇田「ロケットに爆破予告が」
革命集団『ニワトリ』!!
でも、こいつら予告ばかりで実行した事が無い。
菅原「だから言われてる、『チキン』って」

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↑若「だから!俺は行かねぇって言ってんだろが!!」
組のために地球に残ると言う若。
付人「行って下さい!若は行くべきなんです!」

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↑そこへ玄武組が。
兄貴が女の姿で登場!Σ(°д°)舎弟の女に!?
若「そうまでして、宇宙に行きたいとはねぇ」
兄貴「うるせえ!」

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↑女組長(若のおふくろ)が現れ、
お頭「行っといで。ああまでしても宇宙へ行く、っていうあの執念に負けんじゃないよ」
若「おふくろは行かねえのか?」
お頭「あの人の墓がこっちにあるからねぇ…」

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↑若の一人語り。
「自分が何者か分からないまま死ぬかもしれないってのは、
組のために命張って死んでもかまわねぇってのよりも不安で恐ろしい」

そこへ移民省の2人が走り込んで来て、
「ロケット飛ばなくなりました!」
若「何ーーー!」

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↑新教祖。(前教祖はとんずら〜)
「革命により新政府が樹立。地球の日本が、宇宙の日本からの独立を宣言しました!」
「新政府は宇宙移民の一時凍結を宣言しました!」

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↑移民省の2人。
2人も「移民省はなくなったも同然ですから…
「失業です」

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↑前教祖「ロケット飛ばなくなっちゃったんですか!?」
がっかり。。。
「だったら教祖やってれば良かったな〜」

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↑ロケットは飛ばなくなったけど、
長女と彼氏は結婚し、赤ちゃんを囲んで和やかな大家族。
父「これで良かったのかもな〜」
でも、じいちゃんだけ「宇宙に行くのが楽しみじゃ〜」
「じいちゃんどうしよ」「言えんな」「どうしよ〜(°д°;)」

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↑恋人たち。飛ばなくなって2人は…。
リュウ「またリアと一緒にいられるって、めちゃくちゃ嬉しーー!」
リア「バカ」

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↑リュウはリアに『婚姻届』を渡す。
リュウ「あとは君がハンコを」
リア「ほんと、バカ」

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↑友人「それで、あんた、より戻したんじゃないの?」
リア「できないよ。私の勝手で別れたのに」

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↑若「俺ぁ覚悟が足りなかった」
ロケットが飛ばなくなって逆に腹をくくった若。
そこへ…

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↑玄武組の2人が走り込んでくる。
兄貴「性転換までして、宇宙に行けねぇってのはどういうこった!」
舎弟「兄貴もまさかの乗り気だったじゃないっすか!」
兄貴「うるせぇ!お前も性転換しろやー!」

ヤクザっぽくない玄武2人を見て、
若「ヤクザが素直にお国の言うこと聞いててどうしようってんだ。
ヤクザにはヤクザのやり方がある」
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↑無言劇。
朱雀会の若が移民省2人をつかまえて、何かを。。。


(つづく)

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『宇宙魅たことか』百景① [読み物・作品]

序盤
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↑開演前。客入れの舞台には『植物さん』が。
 舞台エリアは三角形。中央奥に階段・高台・入り口。
 それだけの、シンプルな舞台。

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↑前説《まっそ》。未来から届いた植物。
 「この子が見て来た物語に、耳を傾けて」

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↑オープニング【闇夜】では、まず鴇田(ときた)が登場。
 イエローリーフを見せて、次々とロケットに乗り込む人達。
 撃ち殺されるスパイ。恋人たち。菅原「恋人じゃぁダメなんだよ」
 謎だらけのまま、終ります。。。
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↑ロボットダンス! キレとコミカルさを織り交ぜて★=
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↑最後は合体!巨大ロボ!
 (あれー、なんかバランス悪い?(´▽`) )

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↑移民省の2人、菅原と鴇田。 宇宙移民制度について。
 抽選によって届く、ロケットの搭乗チケット『イエローリーフ』。
 2人「イエローリーフをお待ち下さい!」

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↑母がリーフに当選!大喜びの大家族!!
 でも「5人しか行けないけん」「誰かをおいてかなきゃならん」
 父母こっそりと「じいちゃんは論外」

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↑家族会議。
 (写真の左から) 弟、妹、長女の彼氏(居候)、長女、じいちゃん、父、母、次女。
 父「そいつに権利はない!」と、長女の彼氏へ厳しくあたる。
 長女は妊娠している。 誰が乗るのか。

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↑教祖の熱弁。巨大隕石の影響でぼろぼろの地球環境。
 「人は母なる大地から離れて生きて行く事は出来ません!」
 って言ってたのに、リーフ当選で大喜び!!Σ(°д°)
  →直後に信者にリーフを破かれちゃいます…。

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↑テロリストの2人。ニワトリのかぶり物。「こけけけけ」と笑う。
 火炎瓶を作りながら、移民省の悪口を。
 ところが、リーダー・テロK(♂)が当選!
 テロK「待てよ、こいつは使えるぞ」

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↑カドクラ夫人と移民省2人。 夫人は移民省大臣の奥さん。
 夫人「誰かが意図的に、私が宇宙に行けないようにしているのよ!」
 夫人が去ると明かされる真実。
 菅原「夫人は絶対に宇宙へは行けない」
 鴇田「操作してるんですか?」
 菅原「当たり前だろ」
 鴇田「そんな!!」

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↑鴇田は色々と菅原を問いつめる。菅原自身の事を。
 移民省に3年勤めたらイエローリーフがもらえるのだが、
 鴇田「菅原さんは宇宙へ行かないんですか?」
 鴇田「なぜ移民省に8年もいるんですか?」
 秘密を語る菅原。
 鴇田「まさか、一般市民に席を譲って…」
 菅原「そう。これは移民省への密かな反抗だ」
 ところが、 菅原「全部ウソに決まってんだろ。単純バカ」

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 ↑ヤクザの朱雀会の2人。若と付人。
 若「オレがいなくなったらどうする?」
 付人「いなくなるとは?」
 若はイエローリーフに当選している。
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↑付人「ヤクザの跡取りが足洗うってなんですか!」
 付人「断言できる。若の血は黒い…」
 若「おい!!」 蹴り!
 何度も蹴られます(°д°;)

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↑そこへ対抗する玄武組の2人、兄貴と舎弟がやってきて。
 兄貴「いいねぇ。宇宙へ行って、
 ついでに危ないヤクザの世界からもとんずらできるって訳だ!」
 ところが、舎弟も当選している。
 兄貴「お前、当たってたのーーー!Σ(°д°)」

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↑恋人リアが当選して、
 結婚して彼女のリーフで宇宙へ行きます、と言うリュウ。
 ところが…
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↑リアは親の決めた相手(いとこ)と偽装結婚して宇宙へ行くと言う。
 怒って怒鳴るリュウ! 泣き出すリア。2人はどうなっちゃうの…。
  ※後ろで覗き見してるのは女マチコ。
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↑自家用ロケットで宇宙へ行こうと企てていたカドクラ夫人と執事セバス。
 出発直前に移民省の2人がやってきて阻止。対決する両者!
 菅原「ロケットの個人保有は違法だ!」

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↑ところが、移民省の不正が次々に語られ、動揺する鴇田。
 菅原「今言い争ってる場合か、バカ野郎!」
 鴇田「バカって言うなーー!!」
 鴇田「もう行っちゃえ!」
 夫人が当選しないように操作している事実を暴露してしまう鴇田。
 夫人「なんですって!?」
 行き詰まった菅原がロケットに駆け込んで、閉じこもる。

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↑夫人「もう一台用意すればいいだけよ」
 セバス「奥様。すでにあちらにご用意してございます!」
 鴇田「予備ロケットとか、金持ちすぎる!」
 セバス「ついでに発射を」
 夫人「ポチッとな」
 菅原「ああーーー!ちょっと待ってーーーー!!」


(つづく)

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『月明かりの下の鎖骨』 作:岡野陽平 [読み物・作品]

20分強のハイテンポでやること。エネルギーが落ちないこと。

〜〜〜〜〜〜〜〜
《台本作成の条件》
以下のキーワードと台詞を全て必ず使って、物語を作る。
場所の条件もあり。

【必須のキーワード】(10個)
あの人  爪先  ビー玉
カーブ  黒電話  光  嘘
誕生  鎖骨  バナナ

【必須の台詞】(5つ)
「普通ってなに?」
「みんな繋がってる」
「だからあのとき○○を選ぶべきだったんだ」
「それは君次第だよ」
「十円玉もってますか?」

【場所】
囚われた場所

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

『月明かりの下の鎖骨』 2012.10.28 作:岡野陽平

【登場人物】 (役者6人)
  ※衣装は全員が基本的に「白いワイシャツ」「ジーパン」「革靴」

①ナレーターの学生
②恋する学生
③ツッコミを入れる学生
④高山君=実家がバナナ農家な学生
⑤先輩
⑥学生

⑦学長 =⑤
⑧マリア様 =⑥
⑨月のウサギ =③

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↑上演時のメンバー★ 左から ⑥ ① ③ ⑤ ④ ②。
 2012年10月27、28日。中ホールにて。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
【本編】
  ※ターンは時間経過を表す。合図の音を入れ、皆「一回転する」など。

■少女二人が走って中央にやってくると、
■客席に向かって元気よく喋りだす。
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②「こんにちは」
③「こんにちは」
②「私達は今年3月、大学受験で桜咲く」
③「原始キリスト教国際大学の一年生になったの」
②「原始キリスト教」
③「国際大学」
②「そして私は今、恋をしている。桜咲き乱れる春にふさわしく、恋をしているの」
③「誰に?」
②「同級生の高山君に。私の心の中で、恋の桜は咲き乱れ、できれば体も乱れに乱れたい」
③「『汝、姦淫するなかれ』!」
②「その言葉の意味をよく理解するために、
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まずは十分に姦淫してみようと思うのです」
③「みだらです!」
②「彼は、私のこのピュアで純粋で桜ピンクな気持ちを、受け止めてくれるかしら!!」
■同級生がスッと現れ、
②「あ、高山君!おはよう!」
④「ごめんなさい、絶対無理です」深々と頭を下げてから、すたすたと去る。
②「・・・」
③「うわ~、まだ何も言ってないのに」
②「・・・私の恋、始まる前に終わっちゃった★」
③「早!!」

■オープニング曲が流れ出す。
と同時に舞台に入ってくる学生全員。シャベルを掲げて行進する(交差したり?ランダム?)。
それぞれに散らばって、しゃがみ込む。
(ヘルメットを被った④、①が行進して入場。シャベルを②、③に渡す。
 ④がシャベルを③に手渡し、②はショック!
 そこへ、大きなスコップを持った学長、マリア様が現れてバトルに!
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 学生達は破れて、しゃがみ込む。学長&マリア様の役者も学生に変わって)

■歌が始まる。リズミカルにシャベルで掘り続ける生徒達。(交互に)
④「ザックザック」 他「ザックザック」
④「ザックザック」 他「ザックザック」
④「ザックザック」 他「ザックザック」
④「ザックザック」 他「ザックザック」
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④「ザックザック」 他「ザックザック」
④「ザックザック」 他「ザックザック」
④「いっつまっで、つっづくっの」(いつまで続くの?)
他「ザックザック、ザックザック」

ストップ。
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①「炎天下のエルサレム。私達はただの大学生です。ただの大学生のはずです。
でも、もう一ヶ月以上、ここでこうやって掘り続けています。ここでこうやって探し続けています。
私達は別に考古学部じゃないんです」
①⑤⑥「私達(俺達)は文学部・聖書先攻です」
③④「私達は国際交流学部です」
②「私は柔道部です」
全員「私達は別に考古学部じゃないんです!」
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①「あぁ、何でこんなことになったんでしょう。
私達がなぜこんな遠い異国の地で、こんな途方もない作業に従事させられているのか。
その始まりは」

ターン。

■学長が皆の前に立っている。(⑤が『口ひげ』を付けると学長になる)
学長「原始キリスト教国際大学の学生諸君、おはようございます」
他「おはようございます学長」
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学長「いよいよ我が大学最大のイベントである留学遠足、『聖地巡礼』が始まります。
皆「わぁぁ~~~」歓声&拍手
大学総出で、聖地エルサレムをヨルダン河からゴルゴダの丘までひと月かけて、イエス・キリストの奇跡の軌跡を辿るのです!」
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皆「わぁぁぁ~~」歓声
学長「もちろん宿や食事などの心配は要りません、が!!・・・おやつは5百円まで持って行ってよろしい!」
皆「わぁぁぁ~~」歓声
④「学長!(挙手)バナナはおやつですか?」嬉しそうに
学長「おやつです」
皆「・・・嘘だ~~~!!(涙)」

ターン。

■シャベルを持って。
①「ところが着いてみれば、ただひたすらに『掘る』だけの毎日。『聖地巡礼』とは名ばかりです」
④「毎日、朝から晩まで掘ってるよ」
②「ただし三食昼寝付き」
④「三食昼寝以外の時間は全て掘っているじゃないか」
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③「トイレにも行くし」
④「あたりまえだ!」
②「移動もしてるよ」
⑤「掘っては移動。掘っては移動」
⑥「ヨルダン川からガリラヤまで、全部掘りました」
④「そして今はゴルゴダの丘」
③「一番最初にはヨルダン川で洗礼ごっこもしたし」
①「ちゃんと聖地巡礼していると、言えるかもしれないね!」
②「掘って掘って、聖地は穴ぼこだらけです」
皆「えぇぇぇ~~~~~!」 (言ったヤツを見たり、自分の掘ってる穴を見たり)

ストップ。

①「一体何を掘っているのか。それはあの人に聞いて。
掘り出して、一体どうするのか。それもあの人に聞いて。
あの人。大学の聖母マリア様」
男達④⑤「俺たちの、永遠の清純派乙女アイドル!」
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ターン。

■マリア様が皆の前に立っている。(⑥が『白い髪飾り』を付けるとマリア様になる)
マリア様「あの子の『鎖骨』を探すのです」
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④「何ですって?」
マリア様「あの子の『鎖骨』を探すのです」
②「恥骨?」
③「鎖骨!」
②「ここ?」(二の腕を指して)(肘でも良いかも)
③「ここだよ!」(胸の鎖骨をたたく)
④「探してどうするのですか?」
マリア様「月の光に晒(さら)すのです」
皆「え???」
マリア様「そうすれば、あの子はまた生まれ変わるのです」
学長「皆さ~ん!」(ターンで登場)
皆(マリア様も)「あ、学長!」
学長「今年はね、チャンスなのです!」
皆「チャンス?」
学長「満月がエネルギーを貯めるには長い年月がかかります。_MG_8023.jpg
満月が1000回夜空に浮かび、乙女座が700回夜空を駆け巡った年数に、十二使徒の12を足して、私の好きな数字の5を掛けた数の年、つまり今年! 今年こそが数百年に一度だけの、キリスト復活のチャンスなのです!」
皆「マジで~~!?」
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ストップ。

①「キリストの鎖骨を掘り出し、月明かりに晒して、蘇らす。
非現実的で、ふざけたような計画なのに、なぜか『すごい!』と思ったのです。
だって、キリスト様の復活ですよ? 神様に会えるんですよ?

ターン。

■黙々と掘り始める学生達。
②「そんな期待に脳みそがワクワクしたのはもうずっと前」
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④「聖地巡礼は一ヶ月のはずが、もうじき三ヶ月になるじゃん!」
③「やる気なんか、とうにお失せになられました」
①「海外滞在の限界って、三ヶ月までじゃなかった?」
④「じゃぁもうじき!?」(期待)
③「でも、見つからなきゃ帰してもらえないんじゃない?」
④「そんなこと・・・ないだろ」(不安)
■黙々と掘る。
①「見たことも無い物を探すのって、失くした物を探すより難しいね」
■それを聞いて、一人の学生が。
④「マリア様!」
マリア様「は~~い」 と立ち上がる。(ターンで)
④「マリア様。鎖骨はどんな形をしているのですか!?」
マリア様「美しいカーブを描いているのです」 空に弧を描く
皆「カーブ?」 皆もそろって空に弧を描く
マリア様「美しい鎖骨のカーブにこそフェティシズムがあるのです! さぁ脱いで」
④「え、俺!?」
各「脱げ~」「脱げ脱げ」「キャー」「よし、見ててやる!」「早くしろ~」「ほいほ~い」
④「え、いや、ちょ」
②「早く脱げオラ!!」 よだれ、じゅるり。手で拭う。
④「は、はい!」
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ストップ。

①「こうやって日は暮れて行くのです。過酷です」

ターン。

学長「みなさ~ん、今日の夕飯は、最後の晩餐風★ パンと、ワインと、バナナです」
皆「なぜバナナ?」
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学長「バナナ農家のご両親が、海外でがんばっている息子さんとそのご学友の皆さんにと、
た~くさんの、た~~くさんの、10万本のバナナを送ってくれたのですよ。ありがとう、高山君」
各「おぉぉ~~」「ありがとう高山君!」「ありがとう!」
④「どうも」
学長「さぁ、お祈りしましょう」
■皆、前で両手を組んで、目をつぶる。
学長「パンは主イエスの肉です」
学長「ワインは主イエスの血です」
学長「バナナは主イエスの・・・きゃ♪」
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皆「なんだ!?」
②「言ってみろ!」
③「言え!」
⑥「セクハラです!」
①「やだ~、バナナ食べられな~い」
④「何だお前ら!俺のバナナが喰えないってのか!」
②「破廉恥です!」(なぜか超嬉しそう)
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③「ていうか、『俺の』言ったし、『俺の』」
①「イエス・キリストの、じゃないんですか?」
学長「イエスのバナナ!? バッキャローー!!」    
■パーンチ! バキ!(近くにいた④を殴る)
皆「高山君!」④「俺!?」
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学長「歯を食いしばれー!」
④「もう殴ったし!」
学長「あ、それと、皆さんおめでとうございます。海外滞在の延長申請が認められ、一年に延びました」
皆「やっぱり~~~!!」 落胆

ストップ。
①「やっぱり帰してもらえないのです。_MG_8294.jpg
え? 逃げればいいのに、ですって?
それは無理なんです。お財布も携帯電話もパスポートも、ぜ~んぶ貴重品として学長に預けちゃいましたし、
何より、マリア様が」

■「ライフル」を持ったマリア様が現れる。
マリア様「鎖骨を、見つけて。ね★」
①「ね?」
_MG_8295.jpg
ターン。

マリア様「さぁ、すぐに片付けて。そして、掘って、掘って、掘りまくるのです!」
■皆がまた掘り始める。マリア様は監視している。
■監視しているマリア様が、脇に置いてある黒電話をかけ始める。
マリア様「もしも~~し。こちら、わたくし♪ 今晩もご苦労様★」
④「本日のおしゃべりタイムだ」
⑤「月明かりの下で、彼女は雄弁に語るのさ」
④「マリア様は毎晩、誰と話しているの?」
⑤「月のウサギとだよ(にやり)」
①「月のウサギ??」
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マリア様「ねぇ、思うんだけど、わたくし、そろそろスマホにしようかしら」
②「さっさとしろ」
③「今すぐしろ」
マリア様「でもこの黒電話、結構便利なのよ?携帯できるし」(移動~)
皆「携帯黒電話~~!?」
②「意味分からん」
③「偽マリアめ!」
⑤「お前ら、彼女は本物だぞ」
②「なんですって先輩、いえ、マリア・ファンクラブ会長」
⑤「彼女は本物の、復活したマリア様」
皆「は?」
⑤「学長が2年前に蘇らせた」
皆「えええ!!?」
④「ど、どうやって?」
⑤「学長の占いが、マリア様を掘り当てた」
②「学長の、あの、ビー玉占い!?」

■学長が(ターンで)立ち上がって、笑顔でビー玉を見せる。ニカッ!
学長「一回十円! 十円玉、持ってますかー?」
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②「安!」
■すぐ座る。

④「そんなの当たるかよ!」
⑤「みんなそう思ってた。でも、本当にヒト一人蘇らせた」
皆「・・」
⑤「信じるしかないだろ?」
③「じゃぁ本当に本物? あんな品のないのが?」
マリア様「わたくし、健気にがんばって、現在のことをお勉強してるのよ。音楽はマドンナが好き。特に『ライク・ア・ヴァージン』が」
②「偽物じゃないの?」
⑤「あれは不完全なの」
皆「不完全?」
⑤「彼女は『爪』から蘇ったんだ。爪先から」
④「キリストは鎖骨。マリア様は爪さき…」
②「全部学長の占い…」
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マリア様「今日はもう終わりで良いわ。ご苦労様、ウサギちゃん」
■受話器を置く。がちゃ (皆がマリア様を見つめる)

ストップ。

①「学長のビー玉占い。
復活した本物のマリア様。
月のウサギ。
私は、キリスト様も本当に復活する気がして、ドキドキしました。
そして、私達の聖地巡礼は半年を超え、今は主イエスの生まれ故郷『ベトレへム』に」

ターン。

マリア様「やっぱり最初からベトレヘムに来るべきだったのです!きっとここにありますわ。さぁ、今すぐ探して」
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④「マリア様、今はもう夜です! 明日にしましょうよ」へとへと
マリア様「いいえ。月のウサギに電話しましょう。もっと明るく照らすように」

■黒電話をかける。
マリア様「もしもし?」
■月のウサギ登場!(ターンして、うさ耳と黒電話)
ウサギ「もしも~し、月のウサギですけど」
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マリア様「ウサギさん。今夜をもっと明るくしていただける?」
ウサギ「なかなか難しい注文ですね」
マリア様「人参追加で」
ウサギ「よし。交渉成立!」

ウサギ「では、ビー玉を使いましょう」
マリア様「ビー玉?」
①「学長!ビー玉!」
学長「はい」じゃらり(ターンで登場)
②「めっちゃある!」
■皆が一個ずつ持つ。
ウサギ「ビー玉で月明かりを増幅させます」
マリア様「どうしたらいいの?」
ウサギ「ビー玉を夜空に掲げて」
■皆がビー玉を高く上げる。
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ウサギ「では。月ウサギの皆さん、お仕事ですよ~~~!」(照明さんに向かって言う)
■明かりが付く。(ピンスポお願いします!)ピカー!
全員「おおぉおぉ~~」歓声
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ウサギ「ありがとありがと、そんな感じ」
ウサギ「あ!もうちょい右。右。あ、ごめん、分からないよね。北極寄りで」
■グイッと明かりが動く。
ウサギ「そうそう、ありがと」
学長「あそこ!掘って!早く!」
④「よっしゃ!」
■今が『掘り時』とばかりに。学長はビー玉を掲げ続ける。
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マリア様「ありがと」
ウサギ「いいえ~」去る。

■そして発見。
①「あ!」
②「ああ!」
「あ!」「え!?」
各「あ~~!!」
「あったの!?あったの!?」「見つかった!?」
④「それ!?」
学長「これです!!間違いありません!ですよねマリア様?」
■マリア様の鼻に近づける。
マリア様「くんくんくんくん」
■嗅ぐ。
マリア様「イエス!!」
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皆「おおおおぉぉぉぉおぉ!!」
各「見つかった~~!!」「いえ~~い!」「やった、やった!」
④「やっと!そして!ようやく!ついに!」
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ストップ。

①「ついに! ついに鎖骨が見つかったのです!
大喜びの学長! 大喜びのマリア様!
私も興奮しました!『これで帰れる!』と皆が喜びました!
でも・・・でも、なぜだろう。
なぜだか急に、「あれ?」って思ったんです。
なぜだか急に、大人しかったはずの私の反逆精神に、火がついたのです」

ターン。

■わいわい。
④「いや~~、やっと帰れるな」
②「それに、キリスト様の復活だよ!」
③「すごいよ」
⑥「素敵!」

■一人深刻な顔をしていた①が、
①「やめよう」
皆「え?」
①「キリスト様の復活。良くない気がします」
③「何言い出すのよ」
④「おいおい」
⑥「皆が待ち望んでるのよ。私たちだけじゃなく、世界何十億のキリスト教徒がさ」
■皆、帰れる喜びから、もうどうでも良くなっている。楽観。しかし、
①「じゃぁ、尚更です」
⑤「何が~?」
①「考えてみてください。爪から復活したマリア様は不完全でした。じゃぁ、鎖骨から復活するキリスト様は?」
「・・・」沈黙
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①「良くない気がする」
「・・・」
①「これは、これは神への冒涜です!」
「・・・」
各「そうか」「そうかも」「う~ん」「確かに」
①「それに、このまま学長の言いなりだなんて、なんだか癪です!」
皆「言えてる!」 (ここで納得!)
⑤「よし、やるか!」
■皆が見る。
②「『儀式』を阻止しよう!」
各「やるか」「やろう」「うん、やろう」「よーし」
⑤「学長の邪魔をしてやろう!」
皆「おぉぉぉー!」  意気高揚
④「でも、どうやって?」
皆「う~ん」
②「鎖骨とバナナをすり替えるのよ!」
皆「はぁ!?」
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⑥「なぜバナナ?」
③「バナナは腐るほどあるけど?」
④「腐らせませんよ!」
①「ていうか私達にはバナナしかない」
③「あとシャベル!」
②「シャベルじゃダメ」
皆「え?」 皆が見る。
②「シャベルとバナナ。バナナは鎖骨に」
④「似てる??」
②「そう!似てる!」(高山君が当ててくれて超嬉しい!)
皆「って、オーイ!!」
_MG_8321.jpg
ストップ。

①「こうして、私達は反逆ののろしを上げた」

ターン。

■皆が黒電話のところに集まっている。
「電話!電話!」
■②が受話器を持って、電話をかける。

■つー、つー、つー。
②「あれ? ”ふつう”だ」
③「”ふつう”ってなに?」
②「繋がらないってことだよ」
④「じゃ、そう言えよ!」
①「なんだ~」
⑥「だめじゃん」
■がっかりして散る。(②はかけ直す)
②「待ってみんな!!」
他「?」
②「繋がってる!」
他「えぇえ!」
②「しっ!」(口に指を立てて沈黙の合図)
■月のウサギと連絡がつく。
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②「もしもし? もしもし月のうさぎさん?」
■ウサギ登場!(ターンして、うさ耳と黒電話)
ウサギ「もしも~し?」
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■②はマリア様のふりをする。
②「わたくし、マリア様ですけど」
他「『様』付けんな!」 ひそひそ声で。
ウサギ「あぁマリア様~、どうしたの~こんな時間に?」
他「セーフ!」「良かった~」
②「ケーキ入刀に言うわ」
他「単刀直入!」
ウサギ「なになに?」
他「通じたし!」
②「私の特別なお願い、聞いてくださる?」
ウサギ「どんなどんな?」
②「ご~にょご~にょの、ごにょりんこ」
ウサギ「う~~ん、それは人参次第だよ」
_MG_8027.jpg
②「何本? 言ってちょうだい」
ウサギ「人参、1万本」
皆「一万本~~~!!」
④「うん、って言え!」
②「え! う、うん、いいわ」
ウサギ「おっけー。交渉成立。じゃぁ儀式の夜にね~」がちゃ
③「人参1万本なんて用意できないよ! 人参農家じゃあるまいし」
■皆が高山君を責める。「ちょっと!」「何考えてんだ!」「アホか!」
②「どうするのよ~~!!?」
_MG_8328.jpg
④「バナナ一万本をオレンジ色に塗って送ってやる!」
皆「マジで~~~!?」
_MG_8330.jpg
ストップ。

①「それでうまくいきました。これできっと儀式は混乱するでしょう。
あとは・・・『誰が』一番危険な役をやるのか。『誰が』鎖骨をバナナとすり替えるか。命を賭けて」

②「誰がやるの?」
⑥「先輩?」
⑤「俺? あ~、うん、そうね。でもさ、その役目は失敗できないわけだからさ、人選はもっと慎重であるべきだよね。
ていうか俺、結構学長からマークされてるって言うか、あんまり目立つ役は・・・」もにょもにょ
④「俺がやります」
皆「高山君!」
⑤「よく言った高山!」
皆「・・・」 ちょっと白い目
①「高山君・・・バナナ」渡す。

■儀式の音楽が始まり(ターン)、それとともに、祭壇が組まれていく。
マリア様と学長を中心としたダンス。(短め。20秒以内)
■祭壇に鎖骨の入った箱が置かれる。
学長「イエス・キリストの復活です」
マリア様「新たなる誕生です!」
_MG_8029.jpg
マリア様「二千年の時を超え、あの子の愛が、今度こそ世界を救うのです!!」
■儀式の途中で、急にガチャン!っと月明かりが消える。
■慌てる学長とマリア様。
マリア様「え、え? 何?」
学長「あれ~~」
②「よし!」
皆「ナイス・月のウサギ!」
学長「あ、あ、明かりが!! 一体、どういうことでしょう!?」
■学長は慌ててあちこち走り回る。マリア様は祭壇をチェックするetc。
マリア様「ちょっと!どうなってるの!」
学長「電話しましょう!電話!月のウサギに!」

学長「全くあいつは何やってんだ!」
■黒電話でウサギに連絡。あたふた。
マリア様「もしもし!?」
■受話器を持っているはずが、『黒く塗られたバナナ』。
学長「あ、それ!バナナ!」 黒バナナを指差す。
マリア様「え? あ! バナナ!?」
■その隙に、暗闇に乗じて。
(学生達は計画的に配置に付く。②→①→③→④、と順番に合図が送られ・・・)
■④がバナナを持って祭壇に近づく。箱をごそごそ。
マリア様「もしもし! ちょっとウサギさん!どういうこと!? わたくしはそんなこと頼んでません! いいから直ちに月明かりを!」
マリア様「人参10万本で!!」
■その瞬間、ピカ! 明かりが点く。
■そして全てが明るみに。
学長「お前、そこで何をしている」
④「いえ、何も!」(失敗か!)
学長「嘘をつくな!」
④「あの、すみません、バナナを食べていました!」(振り向きながら素早く皮を剥く!ぴ!ぴ!ぴ!)
他の生徒は「あちゃ~~」「うわ~~」って顔でハラハラドキドキ。「高山君!」
■痛い沈黙。ごまかせるの? どうなるの?
マリア様「そこで?」
④「はい!」
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■バキューン! マリア様に銃で撃ち殺されてしまう!
皆「高山君!!」
■そして、元に戻った月明かりの元で儀式が再開される。
■急にまたダンスの音楽が鳴りだし、慌てて踊りだす学長とマリア様。
■ダンスは途中から。
学長「イエス・キリストの復活です!」
マリア様「新たなる誕生です!」
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■儀式失敗!!(音楽失速) 箱からプスンと煙?
マリア様「何? 今度は何?」
学長「・・・そんな」
マリア様「まさか・・・」
学長「失敗です」がくりと膝をつく。

■①が祭壇をトントンっと上って箱に近づく。
■箱を開けて、皆に見せる。
①「見て!バナナよ!!」
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皆「いつの間に!!?」

ストップ。

①「高山君は、実はもう一本、バナナを持っていたのです。
そして、バナナすり替え後に、撃ち殺されてしまった。
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高山君は命に代えて、キリスト復活を阻止したんです。
・・・高山君!」

皆「高山く~~~ん!!」
■皆が高山君に泣く。

■ところが高山がむっくりと起き上がる。
⑤「あれ!」
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①「生きてた!」
⑥「なんで!?」
②「高山君復活!?」
④「あ、助かった。銃弾が、これに当たって、こいつが身代わりに」
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■胸ポケットに入ってた『ビー玉』を取り出すと、割れている。
①「ビー玉!?」
皆「そんなバナナ~~~!!」
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■おわり。ちゃんちゃん(´▽`)
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『ありきたりな、靴下の話』 [読み物・作品]

四次元STAGE 第2回公演で上演した作品の一つ。
一人芝居。 作・演出=岡野陽平  出演=オカピー
   ※上演後の記事→H23.02
       2010年11月 作:岡野陽平  
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

『ありきたりな、靴下の話』

(人間大の靴下。「靴下の着ぐるみ」と言ってよい。)
(その前には、マイクが置いてある。顔の高さに。)
20110130e.jpg
こんにちは。
ボク、靴下です。
こんにちは。靴下です。
大きいけど、巨人の靴下じゃないです。
これの、あ、ボクの、ほんとの大きさは、皆さんが今履いている靴下と同じ大きさだと思ってください。
あ、落ち着いて。争わないで。皆さんの足のサイズは聞いてないので、安心して。
(26でも7でも、どっちでもいいから。)
靴下は基本的にフリーサイズだから、任せて★

今はちょっと拡大してると思って、
ボクのホントの大きさは普通の靴下と同じだってこと。
(具体的にいうとこれくらい。(反対の『足』を出す))

・・・少しボクの話をしてもいいですか?
それとも誰か、今ここで、ボクの代わりにしゃべりたい人います?
いませんよね?良かった。
念のため確認しただけです。
安心しました。靴下にもしゃべる権利があるんだって分かって。
IMG_0047.jpg
ボクの話。
といっても、特別なことはない、ありきたりな、ただの靴下の一生です。

ボクは、誰かに買われるのをずっと待っていました。
伊勢丹の婦人服売り場の棚の上で。誰かの手に取ってもらえる日を、じっと待っていました。
ごめんなさい、嘘つきました。
本当は『イズミヤ』のワゴンの中で、待ってました。

その頃のことはよく覚えてません。人間の赤ちゃんといっしょ。
もちろん工場で作られた頃のことなんて全く。だって生まれる前だもん。
ボクが覚えている、はっきりとした最初の記憶は、
ボクのことをサクラちゃんのお母さんが手にとって、
店員さんがレジでバーコードを読み取った、
『ピっ』という音。
(SE「ピッ」)
そう、この音。
そこからのことはわりとよく覚えています。
あの『ピっ』(SE「ピっ」)という音で目覚めた気がする。
これを『靴下の自我の目覚め』と言います。
値段がいくらだったかは忘れちゃいました。
脳味噌って都合の悪いことは忘れてくれるんだから、すごいですよね。
・・・。(頭を探って)
ボクの脳味噌がどこにあるのかも忘れちゃいました。
(SE「ピっ」店員「200円です」)

ボクとサクラちゃんの出会いに、特別なことなんてありません。
ごく普通の靴下が、ごく普通の女の子に出会って、恋をした。
ある寒い日の午後、ボクはサクラちゃんのお母さんに買われました。
そして、サクラちゃん専用の靴下になったんです★
IMG_0060.jpg
サクラちゃんは19歳♪高校を卒業して一年目。
訳あって大学には行ってません。
訳っていうのは、人間社会のことは難しくてよく分からないんですが、
サクラちゃん曰く、「禿げの面接官のせい」だとか「面接官が禿げてたせい」だとか。
ボクにはよく分かりません。
だって、その時ボクは靴の中だったから。
ボクには面接官の顔が見えなかったんだもん。
頭も見えなかったんだもん。
ふふふ♪
えへへ。
ボク、サクラちゃんが試験とかデートとか大事な日に履く、勝負靴下なんです!

ボクとサクラちゃんは相思相愛♪
誰にも邪魔はさせない!
って、思ってたんですけどー、たまにサクラちゃんのお母さんが履くんですよね。
サクラちゃんに内緒で。

なんで娘に内緒にするのかなー。
っていうか、なんで履くのかなー。娘の靴下なのに。
大人の女性の考えることってよく分かりません。

大人の女性のことでボクが分かるのは、
これはボクの「大人の女性体験」から言えることなんですが、
かかとがガサガサだってこと。
ゴワゴワ? ガサガサ? ゴワゴワ? どっちですか?
IMG_0054.jpg
あ、落ち着いて。争わないで。皆さんのかかとの感触を聞いてるわけではないので、
安心して。


サクラちゃんのかかとは「つるんっ」って「ぷにっ」って感じで大丈夫なんですけど、
お母さんのかかとはちょっと、なんていうか、ソフトな「やすり」?
みたいな。
そんなかかとで履かれると、正直、消耗するんです。
だから、ボクはもう我慢の限界で、ある日、
穴が開いちゃったんです。かかとに。

昔誰かが言ってた気がする、
「靴下が死ぬときは、かかとか親指だ」って。
あと、ここら辺(足首)の糸のほつれ。
※ためいき。

ボクに穴が開いたとき、お母さんが履いてたのに、
お母さんのかかととのランデブーで穴が開いちゃったのに、
お母さんはサクラちゃんに「お洗濯したら穴が開いちゃったわ」って、洗濯機のせいにしたんです。
ボクは皆さんに問いたい。人はなぜ、真実を隠そうとするのでしょうか。
20110130f.jpg
ボクはもう、死んでいく。
ボクはもう、捨てられる。
ボクはもう、サクラちゃんの足を抱きしめることが出来ない!
ボクは、お母さんに、殺されたんだ!

って、思ったんです。あの時は。
でも、よみがえらせてもらったんです、お母さんに。
お母さんが穴をふさいで、また履けるように直してくれたんです!
お母さんが、夜なべをして直してくれたんです。お母さんが、夜なべをして。
お母さん、良いヤツじゃーん♪
って、思ったんです。
でも、よく考えたら、それが『つぐない』ってヤツなんですね。
償い、あるいは『贖罪』。
うん。トウゼンだー。

とにかく直った。穴がふさがった。
これでまたサクラちゃんに履いてもらえるって、ウキウキしてるボクのことを履いたのは、そう、お父さんでした。
サクラちゃんでもなければ、お母さんでもなく、お父さんでした。
おっかしいでしょ!
おじさんがこんな黄色い靴下を履くなんて、おっかしいでしょ!
大人の男性の足は、
これはボクの「大人の男性体験」から言えることですが、
ガサガサでゴワゴワで、その上さらに、『水虫』でした。

ボクはこれはヤバイッって思いました。
家族全体に警鐘を鳴らして、危険を知らせようとしました。
洗面所で、バスマットのヤツがニヤッと笑ったのを見たんです!
でも、とき既に遅く、ひと月もしないうちに家族全員が水虫に。

それからは壮絶な水虫大戦争が繰り広げられました。
みんな痒くてイライラして、お父さんとお母さんは喧嘩するし、
サクラちゃんは勉強に集中できないって言って怒るし、
家の空気がいつもピリピリとしてました。
お父さんは水虫の塗り薬を色々試して、
高い飲み薬も飲んでましたが、
事態はいっこうに終息する気配を見せず・・・。

ある日、サクラちゃんがボクのことを手にとって。
ボクは「もしかしてまた履いてもらえるんじゃないか」
って思って嬉しくってドキドキしたけど、その気持ちを抑えて
心の限りに叫んだ、「ダメだよ!ボクはもう取り替えしがつかないくらい汚れてしまった。汚染されてしまった!サクラちゃんが履いたりしたら、サクラちゃん、ますます汚れちゃうよ!そんなサクラちゃん、ボクは見たくない!」って。
サクラちゃんは、その純粋な瞳でボクのことをジッと見つめて、
そして、その小さくて可愛いクチビルで、こう言ったんだ
「コレが原因ね」って。

その瞬間、
ボクは水虫大戦争のA級戦犯としてゴミ箱行きが決まりました。
「一番悪いのは、バスマットのヤツなんだ!」
って叫んでみたけど、無駄でした。
靴下にはしゃべる権利なんかなかったんです。
処刑はその場で即座に執行されました。

そうやって、彼女はボクを捨てました。
20110130b.JPG
これが、ことの顛末です。
これがボクの人生に起こった、ありきたりでクソったれな出来事です。

今日はどうもありがとうございました。
皆さんに話を聞いていただいて、すっきりしました。
これで心残りなく、燃やされることができます。
最後まで聞いていただいた皆さんと
この発言の場を与えてくださった『日本消費者センター』に、
この場を借りてお礼を言いたいと思います。
ありがとうございました。

(暗転)

あ、次にしゃべるのは誰?
え、バスマット?
あいつも来てたんだー。

(終わり)
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『死の壷』 [読み物・作品]

■くじ引きで選ばれた10のキーワードを(必ず)使って、ストーリーを作る。
 誕生、あの人、光、嘘、カーブ、
 黒電話、ビー玉、鎖骨、爪先、バナナ。
■場所の条件は「囚われた場所」
 物理的にでも、精神的にでも。
 ずっとでも、最初からでも、途中からでも。

以上の条件で、15〜30分の芝居を作る。
という状況で。
二つ企画を出して、残念ながら【落選】したのがこれです。

  2012.08 作:岡野陽平
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
20120824a.jpg
『死の壷』

【あらすじ】
牢獄に品の良い婦人と少年が連れて来られる。
婦人「こんな暗い所に」
看守「別荘でも与えてもらえると思ったかい? そら、早く入れ」
牢獄の入口は、ひと一人がはいつくばって通るような『穴』だ。

ここは『死の壷』。忘れられた牢獄。
暗く、狭く、汚い。光はわずかしか差さない。

牢獄には先客の『囚人』が居た。汚く汚れ、もうずいぶんと長く入っているらしい。
囚人「新入りかい?・・・おっとコレは王妃様じゃございませんか」
二人は王妃とその息子(王子)なのだ。
死刑は免れたが、終身刑でもない。『死の壷』に押し込められて、ただ忘れられていくだけ。

二人はなぜ捕らえられたのか。
国王の弟『公爵』がクーデターを起こし、国王は殺された。
二人は親族という慈悲で死刑は逃れたが、『死の壷』に送られ、
王国中には死んだという嘘が流されている。
王子「母様、どうしましょう」
王妃「ここまで来てしまったら、もうどうもできない。ここで死を待つだけ」
王子「あとは姉様が頼り」
二人にとって最後の希望は、二人とは別に逃げている王女(姫)だ。


ここでは食事の時だけが唯一外界とつながる一瞬。
と言っても、看守が食事を入れるだけ。

看守は囚人の鎖骨を集めるのが趣味で、鎖骨を並べて楽器にしている。悪趣味なヤツだ。
備え付けの黒電話でときどき外と会話している(囚人たちは盗み聞きする)が、
食事を運ぶ時くらいしか来ない。
(食事は汚いからと足で入れるだけ。入口の『穴』から、お盆をつま先で押し入れる)

ある日、姫の「付き人」が『死の壷』に連れてこられた。つまり姫も捕まったのだ。
二人の希望は絶たれる。

先客の『囚人』はビー玉で遊んでいる。
外の様子を質問してくるが、偉そうで、態度はきわめて悪い。やる気もない。
しかし、彼は実は10年前にクーデターを起こして失敗した『国王の伯父』だった。

10年前、国王の父(先王)が亡くなったときに起こった兄弟の跡継ぎ争い。
結局兄が継いで国王となり、弟は『公爵』に甘んじた。
そのときの国の混乱に、『国王の伯父』もチャンスと動いたが、捕まったのだ。

その10年前の跡継ぎ争いが尾を引いての、今回の『公爵』のクーデター。
国王は殺された。
囚人「嘘っぱちでも、『正義』の旗の下に国を作らなくちゃ、国の寿命は長くないぜ」
王子「お前が言うな!」

看守が食事を運んでくる。
看守「今日は新たな国王の就任式と、同時にその新国王と姫(姉)とが結婚する。
王宮では盛大な祝賀会だ。お前らにも後でデザートがあるぜ」
姫は無理やり結婚させられるのだ。新国王の正統性のために。
王子「なんてことだ!」

囚人「今、国は揺れている。チャンスだ」
王子「チャンスなもんか!ここから出ることも出来ないくせに!」
囚人「いいや、その気になればいつでも出れる。問題は『いつ出るか』だった」

看守がデザート(もちろんバナナ)を持ってくる。
いつものように足で押し入れる。
その瞬間だ! 『囚人』は看守の足を掴んで、一瞬で足首の骨を折る。
次の瞬間には入口の穴を抜け出して、看守にとどめを刺す。

すぐに『囚人』は黒電話でどこかへ電話をする。昔の仲間・家臣に集合をかけたのだ。
囚人「あんたらも、早く出るんだ」
祝賀会の隙を突き、国の混乱に乗じ、暴れるのだ。
新国王誕生で終わるはずだった跡継ぎ争い。しかし、そう上手くはいかない。
まだまだ何か起こりそうだ・・・。 予感と共に幕が下りる。


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『最強のタコ焼き』 [読み物・作品]

■映像表現として(シナリオ)
■200文字x8枚
■テーマ「別れ」
という課題で。

まぁ、勢いで読んでください。
下書きで課題の8枚を大きくオーバーしていたのですが、
その下書きのまま載せてます。(課題用はちゃんと短縮)
     2012.06.15 作:岡野陽平

201206takoyaki.jpg
『最強のタコ焼き』

人物
 高橋鉄也(26) タコ焼き屋の店長。
 畑山広継(27) タコ焼き屋。店員。
 小林和之(23) タコ焼き屋。店員。
 母親(32)
 少年(6)
 少女(4)
 作業員A


○スーパーの屋外
  入口前のタコ焼きの屋台。高橋、畑山、小林の3人が中にいるが、手は止まって暇そう。人々が前を通り過ぎるだけ。買いそうもない。
小林「暇ですね」
高橋「だね」
小林「なんでですかね」
高橋「なんだろうね」
畑山「・・・」
  小林が客引きの声をかける。
小林「タコ焼きいかがですかー!」
  人々は反応なく、ただ行きかうだけ。
小林「暇ですね」
高橋「だね」
小林「なんでですかね」
高橋「なんだろうね」
  沈黙の3人。畑山がおもむろに、
畑山「・・・それはね」
  他2人は予期してなくて、物凄く驚く。
高橋、小林「それは!?」
高橋「え、何?お前分かるの?分かってたの?分かってたのにずっと黙ってたの?どういうつもり!?」
畑山「・・・」
小林「ちょ、高橋さん、落ち着いて」
高橋「え、あ、うん」
小林「畑山さん、それで?」
畑山「・・・」
  畑山は無言で爪楊枝にサクッとタコ焼きを刺し、ささっと2人の口に放り込む。自分の口にも一つ。
  3人並んでモグモグ、ごっくん。
高橋「で?」
畑山「どうだ?」
高橋「なにが?」
畑山「うまいか?」
高橋「うま・・・い、って程じゃないけど、結構、まぁそこそこ、なんていうか、何とか?」
小林「ギリギリ?」
畑山「不味いよ」
  言っちゃいますかそれを的な唖然。
高橋「ガ、ガーン!ガガーン! ショック! ショックのあまり癌になるガガーン!・・・ふー、急な衝撃は体に悪いよ」
小林「確かに不味いっすね」
高橋「ガーン!小林よ、お前もか!癌転移!」
畑山「今まで言い出せなかったんだよな?」
小林「はい!」
  涙の2人。抱き合う。
高橋「何の感涙だよ、お前ら」
小林「はい!」
高橋「はい、じゃねぇよ」
  高橋が小林の頭をバシッとはたく。
小林「はい!」
  高橋が小林の頭をグーでポカリ!
小林「いて!」
 
畑山「これ、何とかしないとな」
  畑山が高橋を見る。
高橋「ふん。分かってたさ。分かっていたよ俺だって。何!?分かっていたのに黙っていたの俺?どういうつもり!?」
畑山「自らの過ちを直視したくなかったんだろ」
高橋「!!」
  高橋が小林の頭をグーでポカリ!
小林「いて!何で!?」
  高橋と畑山がにらみ合う。
高橋、畑山「・・・」
畑山「・・・そろそろ本気でやろうぜ、高ちゃんよ」
高橋「・・・」
  目の色が急に変わる高橋。
高橋「うおおーーっし!! やったろうじゃん。マジになってやろうじゃんタコ焼きに。最強に美味いタコ焼き作ってやろうじゃん!」
小林「え!?」
  畑山はニヤリ。
高橋「確かに甘かったよ。大阪なんだから適当でもタコ焼き作りゃ食べるだろ大阪人、売れるだろタコ焼き、って思ってたよ」
小林「適当だったんすか!?」
高橋「そうだよ!」
畑山「・・・」
高橋「でもな、もう違う。今からは違う。やってやる。最強のタコ焼き作ってやる!!」
  畑山も小林も目が輝きだす。
高橋「畑ちゃん、何が要る?」
  畑山が指三本(親指~中指)を立てて、
畑山「3つだ。 タコ、生地、ソース」
高橋「おし!話は早い! 俺はタコ、畑ちゃんは生地、小林はソース。それぞれが最強のもん手に入れてこよう!!3人で最強のもん揃えたら、最強のタコ焼きができる!!」
  畑山は強くうなづく。小林は興奮して、
小林「俺もっすか!?俺も!・・・おーし!!」
高橋「そしたら、いつまでとは言わん。最強だと思うもん手に入れたら連絡してくれ。いいか。最強のもんだぞ!半端は要らん。いいな!」
畑山、小林「おう!」

○小さな漁港
  文字「10年後」
  小船が一艘、港に戻ってくる。
  岸から母親(32)と少年(6)が手を振って、
少年「お父ちゃーん!」
  船の上。漁師姿の高橋が現れる。
少年の声「お父ちゃーん!」
  高橋も岸の親子に笑顔で手を振る。
高橋「おーい!」
  高橋がタコを掴んで高く上げる。

○広大な小麦畑
  小麦の収穫期。トラクターが小麦を刈っている。運転しているのは畑山。
  膝に少女(4)を乗せて笑顔の畑山。トラクターのガタガタ音がのどかに続く。

○大規模なソース工場。
  オートメーションの工程と作業員達。
  小林が見回っている。
  作業員Aが小走りに来て、ソースの小皿を小林に渡す。
作業員A「どうですか?」
  味見した小林は小さくうなずいて、
小林「オケーイ!」
  笑顔の2人。

○3人の顔を並べて (漁港、小麦畑、工場)
高橋の声「あの日から俺達3人が再び集まることはなかった。だが、3人とも、今も求め続けている。今も夢見ている・・・」
3人の声「最強のタコ焼きを!!」


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『空港はいつもドラマ』 [読み物・作品]

■映像表現として(シナリオ)
■200文字x7枚
■テーマ「再会」
という課題で。

ちょっとした短編として。
タイトルにひねりがない...
     2012.06.14 作:岡野陽平

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『空港はいつもドラマ』

人物
 長沼健一(39) 母と二人暮らしの男性。
 長沼治子(64) その母。
 佐伯正敏(54) 国際空港の職員。


◯空港内の一室。
  静かで簡素な応接室。
  佐伯正敏(54)は窓際に立ち、長沼健一(39)はソファに。
  窓の外に、旅客機が一機着陸する。
  佐伯がにこやかにふり返って、
佐伯「無事着いたようですよ」
長沼「そうですか」
佐伯「入国手続き等して、もうすぐお会いできますので」
長沼「はい」
  佐伯もソファに座る。長沼の向かい。
佐伯「それでは、確認の続きですが。えー、長沼健一さん、あなたですが、は、先月6月14日に長沼治子さん、あなたのお母さんですね、を連れて、メキシコに、旅行に、行ったわけですねぇ」
  長沼は無反応。佐伯は続けて、
佐伯「メキシコシティに着いたあなたはお母さんを、空港から遠ーい、小さな田舎町に連れていって、で、えー、お母さんをそこに置いたまま、あなた一人帰ってきた、と」
長沼「そうです」
佐伯「で、その置き去りにされちゃったお母さんの方ですけど…。
お金もなし、パスポートもなし、言葉も全く通じない。なんせスペイン語ですから。現地の警察や日本人旅行者を頼って、どうにかこうにか日本大使館に保護されるまでに3週間かかったようです。
で、今日ようやく帰国できた、と」
長沼「うちの母がご迷惑をおかけします」
佐伯「あはは! お母さんがね!」
  長沼も苦笑とも取れる愛想笑いをする。
佐伯「私達も別に警察じゃないですし、親子の問題ですからね。深くは聞きませんけど…なんで、こんなことしたんですか?」
長沼「なんていうか、私、ずっと、『母をたずねて三千里』に憧れてまして…」
佐伯「それ逆ですよね。今回さまよったのは『母』の方なんですけど」
  沈黙。長沼がこめかみを軽く掻いて、
長沼「えーと、そうですね、あの、姥捨て山ってあるじゃないですか? それでね…」
佐伯「あ、もう分かったので続きはいいです」
長沼「分かっちゃいましたか?」
佐伯「だって、そういうことでしょ?」
長沼「…はい」
佐伯「姥捨て山ってのは、メキシコにも失礼なんじゃない?
…。で、それは本当ですか?」
長沼「嘘です」
佐伯「嘘はつかないで下さいね」
長沼「努力します」
佐伯「ぜひ!」
長沼「いや、なんていうか、千尋の谷に我が子を突き落とすライオンのように…」
佐伯「それも逆ですよね? 親子」
長沼「…はい」
佐伯「まぁ、確かにお母さん、随分たくましくなられたようですよ」
  入口に長沼治子(64)が現れる。ブーツ、ハット、日焼け等、すっかりメキシコ人。
  二人が驚きと笑顔で治子を迎える。
長沼「母さん!」
  治子はつかつかっと長沼に歩み寄り、
治子「健一!」
  治子が長沼の顔面にグーでパンチ!
  ぶっ倒れる長沼。驚く佐伯に治子が、
治子「あぁ、どうもすいません。この度はうちのバカ息子がとんだご迷惑を」
佐伯「お母さん、随分たくましくなられたようで!」



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『半歩譲ってみてごらん♪』 [読み物・作品]

■映像表現として(シナリオ)
■200文字x3枚
■「別れのセリフ」というテーマで。
■場所は喫茶店のみetc、他にも色々と条件あり。

タイトルは「メダカの学校」のリズム
で歌って欲しいです♪
    2012.05.19 作: 岡野陽平
~~~~~~~~~
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『半歩譲ってみてごらん♪』

人物
 国見雄吾(24) プロサッカー選手
 藤枝玲奈(22) その恋人

◯喫茶店
  国見雄吾(24)と藤枝玲奈(22)が座るテーブルの上にスポーツ新聞がある。
  一面はサッカー選手・雄吾の雄叫びと「国見マンU移籍!」の文字。
  玲奈は少し寂しさを交えつつ、
玲奈「すごいね雄吾!おめでとう!・・・でも、イギリスでしょ?遠くなっちゃうね」
雄吾「夢は追い続ければ必ず実現するんだ!そして、玲奈も一緒に行こう。つまり、オレと結婚して欲しい!」
玲奈「え!?本当!?・・・嬉しい。私、もう離れ離れになっちゃうのかと」
雄吾「そんなはずないだろ。オレの次の夢は玲奈と幸せな家庭を作ること。そして、子供11人でサッカーチームを作ること!」
玲奈「あはは、11人!?・・・冗談だよね?」
雄吾「本気さ! え?無理なの?」
玲奈「無理!無理に決まってるでしょ!」
雄吾「え。じゃぁ別れよう」
玲奈「何で!? 何でそうなるのよ!」
雄吾「夢は追い続ければ必ず実現するんだ!」
玲奈「アホか!! ねぇ、考え直してよ!!」
雄吾「分かったよ。じゃぁ半歩譲って6、いや5人、産んでくれよ。後の6人は他の娘に頼むから」
玲奈「・・・父親は?」
雄吾「オレだけど?」
  玲奈がコップを掴み、雄吾の顔に水をかける。
  玲奈は怒って出ていく。雄吾は一人ポツリ。




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『中東の小さな尊厳』 [読み物・作品]

■映像表現として(シナリオ)
■200字x4枚
■イライラする人
という課題で。

映画やドラマのオープニングのようなイメージで。
   2012.05.12 作:岡野陽平
~~~~~~~~

『中東の小さな尊厳』

人物
フェルファト・セネル(52) 大臣付きの事務官
ハシム・エルゲン(24) 新人の事務官

P18074738.jpg

◯大臣事務官室
  高級なカーペットや書棚。窓の外は緑豊かな庭。静謐。
  フェルファト・セネル(52)が盆に書状の山を載せて来て、長机に置く。
  盆は脇によけて、椅子に座る。
セネル「1979年度、医師免許状。2482名」
  大型の印鑑を朱肉に浸けて、書状の末尾、大臣名の横に丁寧に押す。

◯大臣事務官室(朝)
  セネルと、緊張した面持ちのハシム・エルゲン(24)が立っている。
エルゲン「今日からよろしくお願いします!」
セネル「うん。ここには多くの仕事があり、これから君に少しずつ覚えてもらうわけですが、その基本として覚えておいてもらいたいのは、我々の仕事は全て、その一つ一つが、大臣をお助けするためのものだ、ということです」
エルゲン「はい」
セネル「では、まず、ここで最も重要で、尊厳のある仕事から始めましょう」
  セネルは長机に2セット用意してある書状と印鑑を示し、二人は座る。
  エルゲンは書状の山を見ながら、予想される単純作業に期待をしぼませ、
エルゲン「これ全部に、印を押すのですか?」
  セネルは明瞭に、おだやかに、
セネル「そうです。・・・1979年度、薬剤師免許状。4995名」
  セネルが丁寧に印を押す。
  エルゲンがそれを見て、同様に印を押す。しかし、どうも雑。
  セネルがチラリと見る。眉間にしわ。
  エルゲンはどんどん押していく。
  セネルの眉間のしわが深まっていき、
セネル「待ちなさい」
  エルゲンは手を止める。


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『花も散るらむ、美しく。』 [読み物・作品]

■映像表現として(シナリオ)
■200字x3枚
■迷ってる人
という課題で。

やはりCMのイメージで。
「そこに迷って、そこには迷わないのね」なんて
思ってもらえると良いかな~。
   2012.04.28 作:岡野陽平
~~~~~~~~~~~

『花も散るらむ、美しく。』

人物
 レイラ・マクレガー(29) アパレル業界人

IMG_4167.jpg

◯アパートの一室
  一人暮らしの女性の部屋。
  椅子の上につま先立ちする女性の足。
  レイラ・マクレガー(29)が首吊りの縄を天井のパイプに掛け、準備が整う。
  前方の鏡に輪が映る。その輪にレイラが首を通す。泣き腫らした目に、濃いクマ。髪はボサボサ。レイラは鏡に映る自分と目が合い、ショックを受ける。

  クローゼットを漁り出すレイラ。服を投げ散らかす。
  2着のワンピースを選び出し、左右の手に一着ずつ持って大きな姿見の前で合わせる。一つはピンクの可愛いフリル付き、一つは紺色で大人びたドレス風。どちらを着るか迷っている。

  紺色のワンピースを着たレイラが髪をとかす。
  レイラが鏡の前で化粧をする。下地。
  マスカラをたっぷり付ける。
  真紅の口紅を塗る。

  着替えも化粧もバッチリのレイラが姿見の前でセクシーなポーズを取る。自分でも満足の表情。
  再び首吊りのロープ前にレイラが立ち、鏡に映る自分にウインク。
  椅子に登るレイラの足。
  首吊りの縄が重みでしなる。
文字「Enjoy your life at the end★」


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『四十路の恋、はじまっちゃいました。』 [読み物・作品]

■映像表現として(シナリオ)
■200字x2枚
■身辺雑記
という課題で。

身辺を書いても面白くないので( ´▽`)
もちろん課題は無視して創作です。
四十路でもないし♯
CMのイメージで。
     2012.04.21 作:岡野陽平
~~~~~~~~

『四十路の恋、はじまっちゃいました。』

人物
 堀内和広(41) 会社員
 春日美紗(27) その同僚

c7e876023d53b28e756de093b6db5ba86d27071b_m.jpg

◯駅のホーム
  電車待ちのサラリーマンの列の中に、堀内和広(41)も立っている。手に本を開いて、読んでいる。
  本の中身は簡易な英文と和訳、挿絵。
  堀内は本を見つめながら、小声で、
堀内「ソウ、ハウ、ハブユー、ビーン」
  突然、堀内の後ろから春日美紗(27)が顔を出して、本を覗き込みながら、
美紗「お疲れ様です!」
  堀内は慌てて本を閉じ、美紗を見る。
  美紗は堀内に好奇の目を向け、流暢に
美紗「スタディイン、イングリッシュ?」(Studying English?)
  驚いて応えられない堀内に、美紗が、
美紗「ザッツナイス。ドゥ、ユアベスト!」(That's nice. Do your best!)
  言い終わるや美紗は、後ろに来ていた反対方面への電車に飛び乗る。
  発車する電車のドア窓から、美紗が笑顔で、小さく手を振る。
  堀内は方然と、電車を見送り続ける。





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『待ち合わせは、あの木の前で』 [読み物・作品]

短編小説、かな。
特に目的はなく、思いつきで書いてみました。
~~~~~~~~~~~~~~~

『待ち合わせは、あの木の前で』  2012.02.09

都会の中の、小さな駅。
駅のすぐ脇には小さな公園があって、
その公園で一番大きな木は、よく待ち合わせの目印にされた。

その場所で彼女と出会ったのは、ある夏の日だった。
彼女も誰かと待ち合わせなのだろうか、ただの時間つぶしなのだろうか。
いずれにせよ、彼女は日差しを避けて木陰にやってきた。

彼女は僕のすぐ目の前に立っていた。
彼女がそこに立っていた15分の間、
僕は全く気にしていなかった。
待ち合わせで、ヒトが前に立つなんてよくあることだ。

敢えて言うが、
とてもとても背の高い僕と、
とてもとても小柄な彼女との位置関係ではあったが、
彼女が視界に入らなかったという訳ではない。


だが、ついに彼女が移動しようとしたその時に、
彼女は真後ろに立っていた僕の足に引っかかって、
思い切り、膝を着くほどに転んでしまった。
彼女はパッと僕を見上げて、恥ずかしがって言った。
「いい歳して、転んじゃった・・・」



彼女は近くの大学の4年生で、
今は就職に困っているという。
こっちで就職するのか、遠い実家に帰るのか。
夢があるわけでもなく、なんとなくこのまま都会での暮らしを続けたいのだが、
就職は決まらないという。
彼女は「夢がないから、なんとなくだから、上手くいかないのだろうか」と
沈んだ顔をすることが多くなったようだ。
そういったことを、僕は半年かけて少しずつ知っていった。


卒業間近の2月になって、
彼女はやっと結論を出した。

つまり、彼女は実家に帰ることに決めたのだ。
実家で、家の手伝いをするという。

それを僕が最初に知ったのは、
彼女の口から直接聞いた訳ではなく、
彼女が携帯電話で実家に打っていたメールを、
偶然見てしまったからだ。

もちろん携帯を勝手に開いたりなんかできるわけがない。
彼女よりも背が高い僕が、偶然後ろから覗き見てしまったのだ。
不可抗力だと言い訳した。
まぁ、こういう偶然は今までに幾度もあったわけだが。



彼女が実家に帰る日。駅の公園で。
僕のそばに立つ彼女は、
急に、黙ったまま僕に寄り添ってきた。

彼女のぬくもりを感じる。
他人の重さを感じる心地よさ。
僕は動揺してめまいがするようだったけど、
同時に温かい気持ちで心が一杯で、
今この時間の全てを感じ取ろうと、必死だった。

彼女がささやくように、
「寒い・・・」と言った言葉が、
今が冬だってことを僕に思い出させた。


僕は彼女を後ろから抱きしめてしまいたかったけれど、
広げた手は、空中で冬の冷たい風に揺れて、行き場を失ったみたいだ。
ちょっと伸びをしたり、節の運動をしただけで、
僕は望みを行動に表すことは出来そうになかった。


さようなら。
彼女は一人で駅に歩いていった。
僕は彼女の後ろ姿を見送った。
僕には、追いかけることは出来ない。
出来ないんだ。

さようなら。
僕にはただ見送ることしか出来ない。


都会の中の、小さな駅。
駅のすぐ脇には小さな公園があって、
公園で一番大きな木が、
僕だ。



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『パンクロッカー・インタビュー』 作:岡野陽平 [読み物・作品]

演劇 四次元STAGE 第1回公演で上演した作品の一つ。
2010年4月 作。
《ホリベエ》の原案に《ふじもん》のアイデアを足して。
       ※上演後の記事→H22.08
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
《登場》
King=ヘビメタ系のド派手なパンク・ロック・ミュージシャン。40歳。
マネ=Kingのマネージャー。事務所直通。業界のヒト。
記者=『ピヨコクラブ』の記者。妙に丁寧なしゃべり。
心理b=Kingの心の中の人格。真面目。冷静なビジネスマン風。
心理y=Kingの心の中の人格。甘えん坊。幼い。純粋。
心理z=Kingの心の中の人格。謎。

20100805u.jpg
■ド派手でイカレた感じのロック歌手Kingがマイクを持って立っている。
ビデオクリップの撮影で、断末魔の叫び声を上げて目玉が飛び出した(!)直後。表情固定。

声(監督)「はい、オッケーィ」
(部屋の明かりが点き、スタッフ達がそれぞれはけて行く)
King「ふぅ」
マネ「お疲れさ~ん。(ペットボトルで飲み物を渡す)いい映像取れたよ、King。バッチリ! あと1シーン撮ったら終了。そしたら、後は映像が編集かけて、最高にイカシたビデオクリップに仕上げてくれるから」
King(給水しながら頷く)「…マネージャー」
マネ「ん?」
King「『イカシた』は古い」
マネ「へいへーい、キツイぜKing」
King「ふふ」(KILLのサイン)
マネ(KILLのサイン)
声(スタッフ)「一時間休憩デース」
マネ「あ、King悪いんだけどさ。休憩入る前に10分だけいいかな? 雑誌のインタビューを一件、お願いしたいんだけどさ。10分だけ。すぐ終わらせるから。ね?」
King(OKのサイン)
マネ「ありがとーKing。(奥へ呼ぶ)おーい!」
King「どこ?」
マネ「え、あぁ、『ピヨコクラブ』」

■場転。Kingの脳内。
by「ピヨコクラブ~~!!?」
y「ピヨコクラブだってさピヨコクラブ」
b「・・・(思案中)」
y「ねぇ、ピヨコだよ? ピヨコ? なんでなんで? 何でピヨコ? ピヨピヨぴぴぴぴぴぴ」
b「うるさい!」
y「だ~ってピヨコクラブって子育て雑誌だよ。そっち系の雑誌の超大御所だよ」
b「知ってます」
y「何で僕のところにインタビューしに来るわけ?」
b「知りません」
y「知りませんじゃ困っちゃうよー」
201008kll.jpg
b「私だって困ってます! 主婦向け子育て雑誌が、パンクロックバンド『D・N・D・N』(ディーネヌディーエヌ)のボーカルに何の用なのか」
y「インタビューだよ」
b「何を聞きたいのか!」
y「さぁ」
b「今一生懸命考えているのです。雛鳥のさえずりピヨピヨピーヨコクラブが、この私、泣く子も黙るCawDevilKing(カウ・デビル・キング)様に、一体何の用なのか」
y「インタビューだよ」
b「何が聞きたいのか!」
y「さぁ」
b「輝く宝をその腕に抱いて幸せの絶頂にいる母親・父親たちが、血の海から這い出てきた不幸の使者CawDevilKing、略してCDK、あるいはKingに、何用なのか」
y「インタビューだよ」
b「それは分かってますよ!」
y「『分かってる』って分かってる」
b「そりゃ分かってるでしょうよ。私は私で、僕は僕なんだ。それは分かりきってるんですから、分かってないことを分かるためにあれこれと考える時間をいただけますか!? 今ここで自分の内面分析してる場合じゃないので!」
y「まぁ落ち着きなよ、僕」
b「ムカつく」
z「(今まで奥の隅っこで我関せずお茶を飲んでいたが)もしもし」
y「やや! なんだいもう一人の僕」
b「なんですか、もう一人の私」
z「あたくし、先月初めて、40にして初めて、子が生まれましたけれども」
by「そうだよそうだよ!」
y「僕、娘が生まれたばっかりじゃないか」
b「私、まさに今、子育て真っ最中ですよ」
y「はい、来ましたコレ! だからかピヨコ! 納得ー!」
b「いや、でも、ですよ」
y「何?」
b「おかしいですよ。そんなはずない」
y「何が?」
b「娘が生まれたことは、世間は知らないはずです」
y「そうだ。事務所から止められてる」
b「うん。恐怖の帝王CawDevilKing様が愛娘にデレデレだなんて」
y「赤ちゃん言葉で『ミルクでちゅよー』なんて、あやしてるなんて」
b「『お風呂に入りまちょうねー』」
y「『あらあら。うんち出ちゃいまちたねー』」
b「『昨日競馬で8万円も負けちゃったことは、ママには内緒でちゅよー』」
y「『オバマ大統領がノーベル平和賞ってどういうことでちゅかー?』」
b「だからピヨコはありえません」
y「じゃぁ何でピヨコ来たのー?」
b「分かりませんって!」
y「何で何で何でー」
b「知りません知りません知りません!」

■場転。リアル世界。
King「娘・・・」
マネ「ん? あ、もちろん娘さんのことは(内緒のサイン)だからね」
記者「どうもですー。ピヨコクラブですー。(名詞代わりに雑誌を渡す)よろしくお願いいたしますですー。このたびピヨコクラブの読者アンケートでですね、『D・N・D・N』さんがベストアーティストに選ばれましてですね。つまりは、Kingさんの歌声がですね、『赤ちゃんの夜鳴きに聞く』ということでですね、子育てに奮闘するお母さんたちから絶大な人気なわけなんですーNow」
マネ「時間無いから、サクッとやっちゃって」
記者「あ、はいー! では早速ですね。えー、まず、うちの雑誌は読まれたことありますでしょうか?」
201008kur.jpg
■場転。Kingの脳内。
y「ありまーーす! ありますありまーす!」
b(yの口を押さえて)
y「モガモガ」
b「ダメですって言ってるでしょ」
y「分かってるけどさー。だって、娘が生まれる前から読んでるじゃない」
b「娘がいるってバレたらダメ」
y「分かってるけどさー。子供が出来たって分かってからだから・・・」
b「9ヶ月分」
y「そう。もう9冊も読んでるよ?」
b「たくさん読んでるからって、言っちゃダメなんです」
y「『たまこクラブ』も8冊読んでるから」
b「今『たまこ』は関係ない!」
y「仲間じゃん。姉妹雑誌じゃん。」
b「ここで余計な義理立てしないで」
y「えー、じゃぁどうするの?」
b「・・・」
y「なんて答えるのー?」
b「私も考えろよ!」
y「お・・・。じゃーねー、じゃーねー。『占いのページなら読んだことある』」
b「微妙。ってか“妙”です。妙に乙女チックすぎ」
y「じゃーねー、じゃーねー。『電車で隣の席のヒトが読んでたのを盗み見た』」
b「せこい。小市民すぎます」
y「じゃーねー、じゃーねー」
b「そもそも『読んでた』と答えようという、その方向性が間違っていますよ。Kingとして」
y「だって17冊も読んでるんだよ?」
b「(一瞬考えて)だから、『たまこ』を計算に入れるな!」
z「(奥の隅っこで我関せずお茶を飲んでいたが)もしもし」
y「やや! なんだいもう一人の僕」
b「なんですか、もう一人の私」
z「あたくし、ピヨコクラブの今月号、先週発売されたばかりの今月号、読めなかったんですけれども」
by「そうだよそうだよ!」
y「僕、今月号読めなかったじゃないか」
b「私、今月号まだ読んでないんですよ」
by「くぅ・・・(泣く)」
y「お母さん・・・」
b「お母さん・・・」
y「なんで燃やしちゃうかなーお母さん」
b「聞いてくれますか?」
y「うん。聞くよ。もう知ってるけど」
b「聞いてくれますか?」
y「うん。聞くよ。自分のことだから、よく知ってるけど。」
b「うちの実家、超ど田舎なんで、まだお風呂が五右衛門風呂なんですよね」
y「うんうん」
b「うちの母親が、薪が足りなかったからって・・・」
y「うんうん」
b「ピヨコ燃やしちゃったんです」
y「・・・その表現は残酷に聞こえる」
b「・・・」
y「別の意味で残酷に聞こえる」
b「ピヨコ、燃やしちゃっ・・・た」
y「残酷にしか聞こえない」
b「・・・そうですね」
y「うん」
b「うん」
y「ま、娘を産湯に入れれたし、いっか」
b「ま、いっか」
y「新しいのもらったから、いっか♪」
b「ま、いっか♪」(いつしかラップ調に)
y「だよねー♪」
b「だよねー♪」
y「だよねー♪」
b「だよねー♪」
y「なんかイイ感じ♪」
b「だよねー♪」
・・・FADE OUT

■場転。リアル世界。
記者「あの・・・うちの雑誌を読まれたことは・・・?」
King「・・・燃やした」
記者「燃やした!! 燃やしちゃったんですか!?」
King「・・・」
記者「・・・燃やして、しまちゃって、ございました」
King「・・・」
記者「おぉぉ! すごい! さすがKing! 流石(さすが)でございます! 子育て雑誌相手でも容赦しないこの回答。この切れ味。これは期待できる!」(メモ書き込み)
マネ(Goodのサイン)
King「・・・」(無反応。脳内思案中)
記者「ではでは、次の質問ですー。えー、ご自分のご幼少時代はどんなでしたでしょうか?」

■場転。Kingの脳内。
y「幼少時代かー」
b「牛ですねー」
y「牛だねー」
b「実家が牧場農家でしたからねー私」
y「牛しかいないよねー」
b「鶏や犬や猫もいましたけどねー」
y「そういう意味じゃなくってさー」
b「すいません、分かってます」
y「牛だよねー」
b「牧場農家の長男ですからねー私」
y「10歳までは妹も生まれてなくて」
b「動物たちがいましたけどねー」
y「いつも手伝ってたよねー」
b「学校ではいじめられてましたけどねー」
y「家に帰ると、動物たちが僕のことを待っていて」
b「あの頃は良かったなー」
20100805s.jpg
y「でも・・・悲しいこともあった」
b(ドナドナを歌いだす)「あ~る~晴れた~」
y「(悲しく)僕が10歳のある日、僕が一番大切にしていた牝牛の・・・あぁ、一番大切にしていた牝牛の・・・」
b「(中略)子牛を・・・牝牛を乗せ~てゆく~」
y「牝牛の『牛魔王』が。『牛魔王』が・・・売られていっちゃった・・・それにしても、子供のネーミングセンスってすごいな。牛魔王は無いよな。メスだしな。・・・売られちゃった・・・大きな大きな、冷凍ハンバーグ工場に出荷されちゃった」
b「(中略)ドナドナド~ナ~ド~ナ~」
y「・・・軽トラに揺られて」
b「荷・・・軽トラ揺~れ~る~」
by(ハミングでドナドナのメロディーが続く)
・・・FADE OUT

■場転。リアル世界。
記者「あの・・・ご幼少の頃は・・・?」
King「・・・歌ってた」
記者「う、歌ってた!? 歌を歌っていらっしゃった!?」
King「・・・」
記者「おぉぉ! すごい! さすがKing! 流石(さすが)でございます! ちっちゃな頃から歌ってた! 幼少のころからミュージシャンとしての才能の片鱗が。CawDevilKingになるべくしてなったのですね」(メモ書き込み)
マネ(Goodのサイン)
King「・・・」(無反応。脳内思案中)
記者「ではでは、次の質問ですー。え~、昨今は『男性の育児休暇』を認める会社も増えつつある時代ですけれどもですね、え~、『子育てをする男性』についてKingはどう思われますか?」

■場転。Kingの脳内。
y「(すでにbに口を抑えられている)モンガ、モンガ―!(賛成賛成―!)」
b「くっ」
y「モンガガ!(賛成!)」
b「確かに私は今まさに楽しく子育てをしているけれども、それを言うわけにはいかないんです」
y「モンガ!(賛成―!)」
b「男親が積極的に子育てをすることは子供のために妻のために」
y「モンガ!(賛成―!)」
b「すばらしいことかもしれないけれど、いや、当然のこととおっしゃる方もいるかもしれないけれど」
y「モンガ!(賛成―!)」
b「それを言ってしまったらKingというキャラクターが全て崩壊してしまうんです! 崩れてしまうんです!」
y「・・・(暴れなくなる)」
b「(察知してゆるめる)KingがKingであるために。戦っているんです、私たちは。心の中で。目まぐるしく葛藤しているんです」
y「・・・」
b「ね。分かってくれましたよね」
y「・・・(ポツリと)賛成」
b「だまれ」
y「じゃぁ反対」
b「(ちょっと考えて)いや! 反対ではないんです!」
y「ややこしいなーもう」
b「大事なことです!」
y「じゃぁ反対の反対」
b「!」
y「の反対」
b「!」
z「(奥の隅っこで我関せず寝転んでいたが)もしもし」
y「やや! なんだいもう一人の僕」
b「なんですか、もう一人の私」
z「あたくし、の、あたくしの、妹の、桃子は、妹の桃子は元気でしょうか?」
201008kru.jpg
y「桃子のことは今関係、なくない!!(急変)」
b「え!?」
y「ぬがー(怒)」
b「あ、怒り出した」
y「桃子~!」
b「自家発電中」
y「あんな男は殺してしまえばいいんだ、桃子~!」
b「殺人誘導ですよ」
y「聞いてくれますか」
b「いやです」
y「聞いてくれますか」
b「いやです」
y「聞いてくれますか」
b「いやです」
y「なんでだよ~~(悲)」
b「妹の桃子が付き合ってる男との間に子供ができたから、妊娠したからって言って結婚を迫ったら男がビビッて逃げちゃって、しかも桃子の妊娠もただの勘違いだった、っていう話ですよね」
y「・・・うん」
b「・・・うん」
y「・・・うん」
b「・・・うん」

■場転。リアル世界。
記者「あの・・・『子育てする男性』について・・・?」
King「殺してしまえ」
記者「殺す!! 殺しちゃうんですか!?」
マネ(ハラハラ)
King「・・・」
記者「おぉぉ! すごい! つまりはKingは、子育てするような男は軟弱だというお考えなんでございますね! いやー、ここまで言い切っていただけると痛快です! 記事になりますです」(メモ書き込み)
マネ(Goodのサイン)
King「・・・」(無反応。脳内思案中)
記者「ではでは、最後の質問ですー。えー、その素顔だけでなく、あらゆるプロフィールが謎に包まれているKingさん。ズバリ! お子さんはいらっしゃるんですか?」

■場転。Kingの脳内。
b「いまーす! いまーす! いまーす!」
y「・・・」
b「可愛い可愛い愛娘(まなむすめ)がいまーす!」
y「・・・」
b「生まれたばっかりでーす!」
y「おい」
b「え?」
y「おい」
b「可愛いよ?」
y「知っっってるよ!」
b「あ、そう♪」
y「あのさ・・・」
z「もしもし」
by「早!!」
y「なんだいなんだいもう一人の僕」
b「なんですか、もう一人の私」
z「あたくし思いますに、キャラクター逆じゃないですか?」
y「それ今僕が言おうとしてたことだけど!」
b「まぁまぁ落ち着いて」
y「けどさ!」
b「けどじゃない」
y「でも!」
b「でもじゃない」
y「ちゃうねん!」
b「違わない」
y「いやな!」
b「いやじゃない」
y「なんで???」
b「私もね、分かっているんですよ、Kingとして言っちゃいけないってことは」
y「事務所に止められてるんだからねーだ!(へへーん!)」
b「そう、事務所にね。でもね、私もね、本当は言いたくて言いたくて仕方がないんです。自分の子供のことを、その存在を、世界に誇りたい。『娘がいる』と大声で言いたい!! 少なくとも『いる』のに『いない』なんて言えません!」
y「じゃぁ、言おう! 言っちゃおう!」
b「(冷たく)事務所に止められてますから」
y「結局どっちなんだよ!?」
b「悩んでるんです!」
y「心のままに生きるんだよ!」
b「理性を失ったら人間じゃない!」
y「事務所がなんだ!」
b「雇い主です!」
y「もっともなことを言うな!」
b「お給料くれるヒトです!」
y「お金がなんだ! 自由のほうが大事だ!」
・・・FADE OUT
201008kdrt.jpg
■リアル世界
記者「あの、ズバリ! ズバリ! ・・・あの・・・お子さんは?」
King「事務所に・・・いる・・・」
記者「え!?」
マネ「え!?」
記者「いる!? お子さんいらっしゃるんですね!?」
マネ「いないいないいない!」
記者「事務所に遊びに来てるんですか?」
マネ「来てない来てない来てない!」
201008pnk01.jpg
記者「どういうことですか!? あ、もしかして二世タレント!」
マネ「えぇ!?」
記者「あ! そうなんですね!」
マネ「話飛躍(ひやく)しすぎだからさ、落ち着こうよ」
記者「特ダネだーー! ありがとうございますー。失礼しますですー」(去る)
マネ「ちょっとー!」(追う)
King「・・・(ちょっと嬉しげ)」

■オワリ。

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『小さな村の郵便屋さん』 作:岡野陽平 [読み物・作品]

四次元STAGE 第2回公演で上演した作品の一つ。
2010年10月 作。  二人芝居。
   ※上演後の記事→H23.02
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

登場=郵便屋(ケビン)、レイルさん
  ※【SE】=効果音

20110130c-b1d0d.jpg
■郵便屋の一人語り。
郵便屋「ボクはこの村のポストマン。この村の誰かが出す手紙は全部ボクが都会の本局まで運びます。この村の誰かに届く手紙は全部ボクが持ってくるんです。おばあちゃんが孫娘に出す手紙も、出稼ぎのお父さんが家族に送った手紙も。お届けします、あなたの想いを。それがボクの仕事です!」
■暗転。

■明転。のどかな山村。【SE】ピヨピヨ・チチチ。広い青空。花と緑に囲まれた小屋。
■レイルさん(♀)が手紙を書いている。
郵便屋「こんにちは!」
レイル「あら、郵便屋さん、こんにちは。どうぞ、上がって」
■郵便屋はペコリと頭を下げて部屋にin。
■レイルはテーブルの上のポットからカップにお茶を注ぐ。
レイル「ちょうど今、手紙を書き終えたところなの」
郵便屋「それは良かった」
レイル「(焦らず封をして)はい、お願いね(手紙と銀貨一枚を渡す)」
郵便屋「はい!お届けします、あなたの想いを。それがボクの仕事です!」
■郵便屋は部屋を出て上手にout。見送ったレイルはお茶をゆっくり飲んでいる。
■上手袖中から【SE】風→嵐→たつまき→樹木がメキメキ!「うわ~~!」
■郵便屋が戻ってくる。服が少しボロボロ。木っ端・葉っぱが服や帽子にくっついて。
郵便屋「こんにちは!」
レイル「あら、郵便屋さん、こんにちは。どうぞ、上がって」
郵便屋「(上がらず)あの・・・すいません。実はこのまえ預かったお手紙・・・風に飛ばされちゃって」
レイル「あら・・・そうなの?」
郵便屋「ごめんなさい!!」
レイル「・・・。いいわ。また書くわ!また書けばいいだけよ。ね?」
■レイルが手紙を書く。サラサラと。
■郵便屋はお茶を飲んで待っている。
レイル「書けた」
郵便屋「(ホッとして)あ」
レイル「(封に入れて)はい、お願いね(手紙を渡す)」
20110130d-9390b.jpg
郵便屋「はい!お届けします、あなたの想いを。それがボクの仕事です!」
■郵便屋は部屋を出て上手にout。見送ったレイルはお茶をゆっくり飲んでいる。
■上手袖中から【SE】ヤギの鳴き声。メーメーメー。段々と大群に。
郵便屋「(焦って)あ~、黒ヤギが!あっ、白ヤギが!あ~~!」
■郵便屋が戻ってくる。服がさらにボロボロ。ヤギの噛み痕や足跡が。
郵便屋「こんにちは!」
レイル「あら、郵便屋さん、こんにちは」
郵便屋「あの・・・すいません。実はこのまえ預かったお手紙が、ヤギに襲われちゃって」
レイル「あら・・・そうなの?」
郵便屋「ごめんなさい!!」
レイル「・・・。いいわ。また書くわ」
■レイルが手紙を書く。びゃ~~っと。
■郵便屋はお茶を飲んで待っている。
レイル「書けた」
郵便屋「(ホッとして)あ」
レイル「(封に入れて)はい、お願いね(手紙を渡す)」
郵便屋「はい!」
■郵便屋は部屋を出て上手にout。見送ったレイルはお茶をゆっくり飲んでいる。
■上手袖中から【SE】車の走行音・ブ~ン。キキーッ!ドン!「きゃー!」
     どたどた・がやがや。警察の笛・ピピピピーー。「おい、大丈夫か!?」
■郵便屋が戻ってくる。服がさらにボロボロ。包帯?足を引きずって杖で。
郵便屋「あの、すいません。お手紙が、ちょっと交通事情でやぶけちゃって!」
レイル「あら・・・そうなの?」
20110130z.jpg
郵便屋「ごめんなさい!!」
レイル「・・・。いいわ。また書くわ」
■レイルが手紙を書く。ガシガシと!
■郵便屋はお茶を飲んで待っている。
レイル「書けた」
郵便屋「(ホッとして)あ」
レイル「(封に入れて)はい、お願いね(手紙を渡す)」
郵便屋「はい!」
■郵便屋は部屋を出て上手にout。見送ったレイルはお茶をゆっくり飲んでいる。
■上手袖中から【SE】猫がニャーニャー。郵「あ、猫だ~。かわいいな~」
           ニャーニャー、ガオ!(ライオン)
■郵便屋が戻ってくる。服が裂け、頬に爪あと。血?
郵便屋「あの、すいません。お手紙を猫が咥えて逃げちゃって・・・。ホントもう、お魚じゃないんだから」
レイル「あら。いいわ、また書くわ」
■レイルが手紙を書く。グイグイと!
■郵便屋はお茶を飲んで待っている。
レイル「(封に入れて)はい、お願いね(手紙を渡す)」
郵便屋「はい!」
■上手袖中から【SE】雨がポツポツ。ザーザー大雨。ゴーゴー台風。
ドドドドドドーっと増水、河の氾濫。「わ~、人が流されたぞー」
■郵便屋が戻ってくる。びしょびしょ。泥まみれで。
郵便屋「あの、すいません。手紙をちょっと雨で濡らしてしまって」
レイル「あら。いいわ、(すでに出来上がっている手紙を)はい、お願いね(渡す)」
郵便屋「はい!」(上手にout)
■上手袖中から【SE】UFOの飛来音。ヒュイーン、ヒュイーン。ピポピポパポ。
「何だ、あれは!?」ポワワワワーン。郵「うわ~、吸い込まれる~!」
牛モ~。樹木メキメキ。
■郵便屋が戻ってくる。
郵便屋「あの、すいません。えっと、あの、ちょっと、昨日の記憶がなくって・・・。えっと」
レイル「はい(手紙を渡す)」
郵便屋「はい!」(上手にout)
■上手袖中から【SE】雷。ぴしゃ!ゴロゴロゴロー!!
■郵便屋が戻ってくる。
郵便屋「あの、すいませーん!」
レイル「はい(手紙を渡す)」
郵便屋「はい!」(上手にout)
■上手袖中から【SE】飛行機の墜落音。キ~~~ン、ドガーーン!
■郵便屋が戻ってくる。
郵便屋「あの、すいませーん!」
レイル「はい(手紙を渡す)」
郵便屋「はい!」(上手にout)
■上手袖中から【SE】銃声・バババババーン!
ラッパ音・パッパラッパパパ、ラッパパッパパッパー。馬・ヒヒ~~ン。(戦場)
■郵便屋が戻ってくる。
郵便屋「すいませーん!」
レイル「はい(手紙を渡す)」
郵便屋「はい!」(上手にout)
■上手袖中から【SE】(人がぶつかる音)ドン。
ヤクザ「何やワレ? おう、どこに眼~つけとんじゃ!」
■郵便屋が戻ってくる。ヨロヨロと。
郵便屋「す、すみま・・・」
■郵便屋は小屋の前で力尽きて倒れる。
■レイルが出てきて。
レイル「あら、生きてる?」
20110130w.jpg
郵便屋「(頑張って起き上がって)あの、お届けモノです。お手紙のお返事が」
レイル「え・・・嘘?」
郵便屋「ホントです!ほら!」
レイル「困るのよね、返事が来ちゃうと。(封を開けて、軽く目を通すとクシャクシャ、ポイ)
だってこれ、不幸の手紙なんですもの」
郵便屋「え!!(手紙を拾って)『この手紙を受け取った人は、三日以内に5人の人に同じ内容の手紙を送らないと不幸になります』」
レイル「ね?」
郵便屋「・・・」
■END。


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『オリンピック選手の筋トレ』 作:岡野陽平 [読み物・作品]

四次元STAGE 第2回公演で上演した作品の一つ。
2010年10月 作。  一人芝居。
呼吸を乱すための教材として。
         ※上演後の記事→H23.02
~~~~~~~~~~~~~~~~~

■スポーツ選手のトレーニング。
■腕立てをしている。かなり素早く。しかし、丁寧に。本格的に。
「・・・、83、84、85、86、87、88、89、90」
「ラスト10回!」
「91、92、93、94、95、96、97、98、99、200打倒シロチェンコ!」
「はー、はー、ぜはー」
「コーチ、次は何ですか?」
「え? いや、休んでなんかいられませんよ。次やりましょう」
「休んでたら、シロチェンコの奴には勝てません。休んだ分だけ、奴に置いてかれる気がするんです」
「焦ってません。焦ってるんじゃないんです・・・」
「それにコーチのトレーニング・メニューは完璧だから。上半身の次はBODYと下半身ですよね。スピード、スロー、スピード、スローの交互だから、次はスロー・メニューでしょ。今の俺にはスロー・メニューは休みみたいなもんですよ」
「はい。20回と50回を、4セットですね」
■スロー・スクワットを始める。
20110130h.jpg
「1~、2~、3~、4~、オリンピックの舞台で、シロチェンコの奴に。また負けるなんて、絶対に許せない。4年前の北京の、雪辱を果たします。8~。9~」
「この4年間、毎日、奴を倒すことを目標に。ずっとトレーニングしてきたんです、血反吐を吐くような。トレーニングを受けてきたんです、コーチ、あなたからね、13~、14~」
「もうオリンピックは来月です、そう、あと3週間で開幕。俺は楽しみなんです、『ホワイトベアー』シロチェンコの奴に、俺の4年間の特訓の成果をぶつけるのが、ね。徹底した食事管理と科学的な筋力アップ・トレーニングによる、肉体改造! 毎日のドリルによる基礎スキルのアップ! 技の幅を広げて新たな武器も手に入れました~20! キープ! 1、2、3、4、5、6、7、8、9、打倒シロチェンコ!」
「はー、はー、ぷはー」
■やや休憩。次への構え。
「はー、はー」
「はい、50回」
■腹筋を始める。素早く、左右に捻りを入れて本格的に。
「・・・、10、・・・」
■コーチ以外にもう一人、アシスタントコーチが慌ててやってきた。
■二人のひそひそ話を気にしながら。
「・・・21、22、・・・30」
■二人の会話が終わり、コーチが戻ってくる。
「何かあったんすか?」
「え!!? シロチェンコが怪我!? アキレス腱断裂って・・・マジすか!?・・・ホワイトベアーの牙が折れた・・・」
「・・・。そりゃそうでしょうけど、オリンピックどころか、シロチェンコ、年齢から言って、引退じゃないですか? そんな・・・」
「シロチェンコの奴。この4年間、どんなトレーニングをしてたんでしょうかね。俺が強くなったように、きっと奴もさらに強くなってたはず。でも、それでも、俺が勝つ。オリンピックの舞台で、4年前とは反対の結果を! オリンピックの舞台で、もう一度シロチェンコと戦って、打ち破るのが俺の夢だったんだ!」
「なんて、言うと思いましたか?」
■再び腹筋を再開。ハイペースに。
「31、32、・・・40・・・50! 打倒シロチェンコ!」
「あ、つい癖で。・・・まいったな、フィニッシュ変えないと」
「え? 休みませんって。無理してませんって。まだ1セット目ですよ。あと3セット」
■スロー・スクワットを始める。
「1~、2~、3~・・・」
「コーチ。トレーニングはハードですが、コーチに一番鍛えてもらったのは、フィジカルよりもメンタルです。戦いに勝つ、勝者のメンタリティー。・・・勝てばいいんですよ。勝てればいいんですよ、何だって。金メダルさえ手に入れれば。シロチェンコがいなくなれば、俺が金メダルを手にする可能性がグッと高くなる。そうでしょ?・・・オリンピックの決勝でライバルと4年越しの対決。激闘の末に勝利!なんて、そんな漫画みたいな話は浦沢直樹の『YA・WA・RA!』だけで十分です」
「それに、世界には、シロチェンコだけじゃない。手強い奴らが五万といるんだ」
「北京大会で銅メダルだったフランスのボーボワ。4位の、トルコの・・・若手の・・・」
「ベネズエラのヴァスケスや、アフリカ勢も脅威です。ムトンボ。ボル。アジアでは韓国のパク・何とか。中国のワン・ジジ。トルコの、4位の・・・」
「シロチェンコを失ってもウクライナ勢は強い。国を挙げて強化策をとってますからね。きっと、フェセンコが出てきますよ」
「それでも、勝つのは俺です」
「それに、誰が敵かは問題じゃない。いや、それは確かに言いすぎですけど、シロチェンコは強敵でしたけど、・・・もう過去の人間です。他にも、トルコの・・・4位の・・・」
「いや、言いたい事は、最も大事な問題は、いつだって自分との戦いだってことです。自分を鍛えて、前へ進むこと。BESTを尽くすこと。言葉で言うほど簡単じゃないって、俺自身がよく分かってますよ、20!」
「キープ!1、2、3、4、5、6、7、8、9、打倒トルコ人!」
「あ、何だかトルコ人全員を敵に回しそうな言い方しちゃいましたね」
「まぁ、いいか。敵は、デカい程、燃えますからね!」
20110130r.jpg
「とにかく、オリンピックはもう来月なんです。誰が相手だろうと、自分のBESTを尽くすのみです。
世界『知恵の輪』オリンピックで、金メダルを! 俺の流星のような指技で、必ず『知恵の輪』の世界チャンピオンになってみせます。」
「そのために、黙々と特訓を続けるだけです」
■腹筋を始める。2セット目。
「1、2、3、4、5~」
■暗転。
「うあ!!痛っ!・・・っ!  足攣った、足攣った」


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『自分日記帳』 作:岡野陽平 [読み物・作品]

2011年3月、よんすて内部発表会にて発表。
一人芝居。

「 」の中は声を出し、( )は声に出さないで表現。
  ※ケース・バイ・ケースで。 全部読んでもよい。
~~~~~~~~~~~~~~~

■神社。

「明日のセンター試験、上手くいきますように!」
 (目標78%。東アジア大学に一発合格できますように!)
「ふ~。」
 (気分転換に神社まで合格祈願に来てみたけど、来て良かった。
  なんかホッとした。さ、帰ってまた勉強しよ)

「帰ろうとした矢先に、声をかけられました。
 『落としましたよ』と言って渡された手帳に、見覚えはなかったのですが、
 なぜか自分の物だという確かな感覚を覚え、
 受け取ってしまいました」

「あ。ありがとうございます」
■首をかしげる。

(これ、なんだっけ)
■1,2ページ目を開く。

「生まれ、1993年」
 (2月10日 午前3時45分。 
 兵庫県立西宮病院 産婦人科にて 生まれる)
「ナニコレ?」
 (俺と同じ誕生日じゃん。母子手帳?」
「父」 (シンイチ)
「母」 (タカミ)
「え! 俺の!?」
■サッと1ページ目を見るが分からず、カバーを外して表紙を確認する。
 そこには自分の名前が書いてあった。

 (俺の名前。俺のだ。 俺の、母子手帳?)
■数ページ確認する。
 (違う)
「なんだこれ!」
■この手帳には自分の人生のことが事細かに書いてあった。
「6歳。幼稚園の年長。にじ組。
 初恋のサナエ先生が担任。
 子供の無邪気さを武器に、サナエ先生の胸に飛び込むケンタロウ君に嫉妬する」

「おいおーい! 何だこれ!?」

「小学校4年、同じクラスのユミちゃんのことが好きで、
 放課後こっそりユミちゃんの席に座ったり、
 たて笛を吹いたりすると言っていたケンタロウ君に嫉妬する」

「えぇぇ! ・・・やめてよケンタロウ君・・・」

「ていうか、何でこれ、俺の秘密が全部書いてあるんだ!?」
 (誰が書いたんだコレ!?)
 (・・・イヤ、これ、俺の人生が書いてあるんだ・・・なんで、こんなモノが)

■後半のページを開いて。
「2036年・・・!!!」
■恐れてバッと閉じる。
「やばい。これ、全部書いてある」 (全部、未来のことも全部)

■見たいような、見てはいけないような。恐怖。
 (これは一つの誘惑ですね)
「あ、明日のことだけ」 (見よう。) 「明日の」
20110324r2.JPG
「2011年1月・・・センター試験」 (は・・・5教科700点満点で574点。82%!)
「すごいいいじゃーん!」

「あ。世界史が」 (65点は) 「悪いな。」 (特に悪い)
「帰って勉強しよ!」
■急いで帰ろうとするが・・・
 (いや、もうしなくていいのか。未来は決まっているのだから)

「いや~でも」 (574点か~。) 「良いね。うん」
 (頑張ったじゃん俺。これなら国立の本試験も大丈夫そうだな)

■ページを進める。
「あ・・・」
■動揺。不安。慌てて先のページを見る。
「よし!」
 (よかった~。滑り止めのジャパン大学、受かってる。)
「よかった~」

「びっくりさせるなよ。
 ちょっとセンター試験良かったからって、第一志望上げるなよな~」
 (もう、調子乗りすぎなんだよ~。まったく~)

「え、星田佳代子と付き合うの?
 ホシカヨと? マジで!?
 あ、同じ大学に行くんだ~。
え~、俺、ホシカヨと一回もしゃべったことないよ」

「明日試験会場で会うよな。困ったな、え~、どうしよ」

「・・・とりあえずホッカイロ持ってってやろ。」

「『良かったら、使って』。 違うな。『寒いだろ。ほらよ』
 ちょっと冷たいかな。
 クールなのは良くないよな。寒いんだから。ホットにいかなくちゃ。
・・・明日がんばろうな、佳代子。」

「就職・・・よ~し!」
「お~、ホシカヨと結婚かー! 佳代子―!」

「さらに続きを読みました。
 45歳のときに発明した『痛くない鼻毛抜き器』で一財産を築き、
 その後も人生山あり谷あり、
 88歳の米寿のお祝いで12人の孫に囲まれ、
 翌年の正月、喉に餅を詰まらせて死んだときは感無量でした。
 最後まで読みきって、満足して眠りにつきました」

「そして、センター試験当日!」

■寝ている。起きて時計を見る。
「やっべ、え、」 (もう昼じゃん! センター試験、とっくに始まってる!)

「え、何で?」 (574点は?)

「え、浪人? 佳代子とも結婚してないし」

「10年後、アメリカで寿司職人になってる・・・」


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鹿の思い出:『毛玉ライフ』 [読み物・作品]

2008年07月01
~~~~~~~~

猫とは、小さくてカワユき者なり。
はふはふの毛玉なり。

窓辺に鎮座ましまして、外を眺むる。
その眼の無垢なることこの上なし。

不意に部屋の虚空を睨み、
何をか捕らえんと欲す。
その瞳にてヒトの見えざる者を見る。

毛繕いに余念なきは猫の嗜み。
小さきベロを懸命に振るい、
時に爪を噛み整える。
毛玉溜まれば吐けば良し。
その心意気や明快。

甘えるにこつと頭をぶつけ、
顎を撫でらるるに喉を鳴らす。
慕うかに思わるれども、
常はそと寄り来るが見もせず。
これぞ美人。

髭のぴょんと伸びたる。、
恐れて耳のへたる。
すぅと寝入る寝顔。時にベロの拝す。
愛くるしいことこの上なし。

食べちゃいたいほどカワユきに、
咥えてみれば唾液に毛の絡まるの難。
真に猫とは、
はふはふの毛玉なり。

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物語 『3匹の子豚』 [読み物・作品]

2011年11月に書きました。
特に推敲してません~書いたまま。

あちこち「つっこみ」が書いてあったのですが、
全部書けてないので、
それは削除しちゃいました(´∀`)

~~~~~~~~~~~~~
20110525p.JPG
『3匹の子豚』

【第1話】
昔々あるところに、3匹の子豚が・・・いませんでした。
もう食べられちゃったから。

でも、別のところに別の3匹の子豚がいました。
別のところにも別の3匹の子豚がいました。
あっちにも、こっちにも。
世界中には子豚はうじゃうじゃいます。

なので、どこかの3匹にフォーカスしてお伝えすることは正直困難です。
うじゃうじゃいる世界の子豚の中から無作為に3匹を選んで、
調査を開始しようとしたところ、
我々が現地に着いた時点ですでに2匹が食べられていて1匹しかいませんでした。

これでは話になりません。
我々は「これじゃ話にならない!」と妙に的を射たような文句を言って帰ってきました。

そうはいっても、お話ができないと世界中の子供がブーブーと文句を言って、
子豚の大群よりもうっとうしい状態になるので、
また別の3匹の子豚にフォーカスして、何とかお話を始めることができました。

昔々、じゃなくてごく最近。3週間くらい前。
ヨーロッパの小さな国の、じゃなくて日本の、どこかの農園で。

3匹の子豚のお父さん豚は、
200匹の母豚に1000匹の子豚を産ませた、立派な種豚で、
いろんな意味で精根尽き果ててポックリ死んで幾年月。

3匹の子豚は、その父豚が死んだときにはまだ母豚のお腹の中で、
ある綺麗な満月の夜にオギャァ、じゃなくてブヒィと生まれたという
なんとも奇妙な、よくある話。

そんな境遇にあった3匹の子豚は、
「いつか立派な豚カツになるぞ!」と大志を抱くわけでもなく、
のほほんと無目的に育ちまくり、
みんなプヨプヨと皮下脂肪を蓄えていきました。
自分達の未来に何が待ち構えているかも知らずに。

ある日、母豚は言いました。
「あなたたちはもう立派な大人・・・には見えないけど一応大人なんだから、いつまでも親の豚足かじってないで自立しなさい!」
そういって母豚は笑顔で出荷されていきました。

母豚がトラックの荷台でゆれながら、今年の流行歌『私の彼はボンレスハム』を
鼻歌でブウブウ歌う姿を、仔豚達は見えなくなるまで見送りました。
とさ、おしまい。


【第2話】
本人達の意思とは関係なく、自立せざるを得なくなった3匹の子豚は、
母豚の残した財産がどれだけあったのかは知りませんが、
税金対策のために家を立てることにしました。

「立派な豚肉になってくれるなら」という条件で農家のおじさんの許可を取り、
牧草地の一角を借りて、めいめいに家を建てることにしました。

「めいめいに」と言ってもヤギや羊じゃありません。
・・・分からないなら結構!(怒)

長男豚はわらで家を作りました。
ふかふかでとても気持ちの良い家でしたが、
一週間もすると、すっかり跡形もなく消えて無くなっていました。
お腹が空いて食べちゃったからです。

次男豚は木で家を作りました。
しっかりとしていて、暖かい家でしたが、
牧草地を囲っていた柵を勝手に壊して使ったので、
農家のおじさんに怒られてしまいました。
裁判沙汰にまで発展し、結局家は取り壊されてしまいました。

三男豚はレンガで家を作ろうとしましたが、
レンガを焼くなんて高度な文明を豚が持っている訳もなく
仕方がないので、土を掘って穴の中に住みました。

狭くて、暗くて、湿っぽくて、体が汚れやすいけど、
家の中にいるとなぜか安心しました。

長男と次男も結局三男の家に転がり込み、
前と同じように3匹どろんこになって暮らしました。
とさ、おしまい。


【第3話】
ある日、農園にオオカミが入り込みました。
次男が壊した柵の隙間から入ってきたのです。

オオカミは3匹の子豚の家の前で言いました。
「僕は柴犬です。オオカミじゃありません」
仔豚達は「絶対ウソだ!」
と、声を揃えて叫びました。

「犬を見かけで判断するなんて酷いじゃないですか」
とオオカミは言いました。

長男豚は
「ドーベルマンの姿をした犬に、『僕、チワワ』と言われても信じられない」
と反論しました。
次男豚も
「土佐犬が、『僕、半分パグの血が混じってるんだよね』とか言っても信じない」
と反論しました。

オオカミはマジ悲しくなって涙ぐみましたが、
三男豚が
「まぁまぁ彼はまだ名乗っただけじゃないか。そこまで言うのは可愛そうだよ」
と言ってくれたので、なんだか救われた気持ちになりました。
思わず心の中で「僕、オオカミに生まれてきても良かったんだ」
とさえ思いました。
何かにつけ感受性豊かなオオカミでした。

オオカミ「確かに僕はオオカミかもしれない」
3匹「かもじゃねぇよ」
オオカミ「でもね、僕はちょっと君達が住んでいるこのステキナ家の作り方を教えてもらいたいなと思っただけさ。僕達オオカミも大自然の中で雨に打たれ、風に吹かれて寒い夜を外で過ごすのはいかがなものか、と」

オオカミ「そんな訳で、君達の素敵な家の中を、ちょと覗かせてもらっていいですか?
今日は『住まいの参観日』ですか?」
長男「ダメ」次男「ヤダ」三男「いいよ」
オオカミ「やっぱりダメですかそうですか・・・あれ?」
三男「いいですよ」
オオカミ「本当に!? わぁ、ありがとう!」
三男「どうぞどうぞ」
オオカミは嬉しそうに入ってきました。

大喜びのオオカミは鼻歌を歌いながら入ってきました。
その歌はなんと『私の彼はボンレスハム』じゃありませんか。
子豚達は「お前が歌うと洒落にならねんだよ」
と思いながら、裏口の穴から外に出ました。

家の中に入ってきたオオカミは、
「いやー、やっぱり素敵なお家ですね。僕にはちょっと狭いけど、あったかいや」
「本当にありがとう。この家を参考に、帰って早速、素敵なマイホームを作ります。
素敵な家庭を作ります」
オオカミは本当に感謝していました。

ところが、
3匹「えい!」ドサドサ!
3匹の子豚は力を合わせて、兄弟らしい絶妙の連係プレーで、
家の入口と裏口に土を被せて出口を塞いでしまい、
オオカミは生き埋めにされてしまいました。

こうして日本オオカミは絶滅したのです。
おしまい。


【第4話】
この話には後日談があります。
生き埋めにされたオオカミは、穴の中で3日間生き続けました。
食べ物も飲み物もなく、それでもマイホームを夢に見て、
必死で生きようとしました。
疲れ果てて目を閉じたオオカミの顔に光が当たり、
その光の先には農家のおじさんがいました。
農家のおじさんは何と、オオカミを助けに来たのです。

おじさんが言うには、
つい先ほど3匹の子豚は出荷されることになり、
出荷を逃れようと泣き、わめき、命乞いをし、あること無いこと懺悔した子豚達は
オオカミを生き埋めにしたことを、おじさんに告げました。
優しいおじさんはすぐにオオカミを助けにきてくれたのです!

オオカミが助けられた後すぐに、
3匹の子豚は出荷されてしまいました。
オオカミはおじさんの家で、
柴犬としていつまでも幸せに暮らしましたとさ。
おしまい。



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『自分日記帳』 作:岡野陽平 [読み物・作品]

2011年3月、よんすて内部発表会にて発表。
一人芝居。

「 」の中は声を出し、( )は声に出さないで表現。
  ※ケース・バイ・ケースで。 全部読んでもよい。
~~~~~~~~~~~~~~~

■神社。

「明日のセンター試験、上手くいきますように!」
 (目標78%。東アジア大学に一発合格できますように!)
「ふ~。」
 (気分転換に神社まで合格祈願に来てみたけど、来て良かった。
  なんかホッとした。さ、帰ってまた勉強しよ)

「帰ろうとした矢先に、声をかけられました。
 『落としましたよ』と言って渡された手帳に、見覚えはなかったのですが、
 なぜか自分の物だという確かな感覚を覚え、
 受け取ってしまいました」

「あ。ありがとうございます」
■首をかしげる。

(これ、なんだっけ)
■1,2ページ目を開く。

「生まれ、1993年」
 (2月10日 午前3時45分。 
 兵庫県立西宮病院 産婦人科にて 生まれる)
「ナニコレ?」
 (俺と同じ誕生日じゃん。母子手帳?」
「父」 (シンイチ)
「母」 (タカミ)
「え! 俺の!?」
■サッと1ページ目を見るが分からず、カバーを外して表紙を確認する。
 そこには自分の名前が書いてあった。

 (俺の名前。俺のだ。 俺の、母子手帳?)
■数ページ確認する。
 (違う)
「なんだこれ!」
■この手帳には自分の人生のことが事細かに書いてあった。
「6歳。幼稚園の年長。にじ組。
 初恋のサナエ先生が担任。
 子供の無邪気さを武器に、サナエ先生の胸に飛び込むケンタロウ君に嫉妬する」

「おいおーい! 何だこれ!?」

「小学校4年、同じクラスのユミちゃんのことが好きで、
 放課後こっそりユミちゃんの席に座ったり、
 たて笛を吹いたりすると言っていたケンタロウ君に嫉妬する」

「えぇぇ! ・・・やめてよケンタロウ君・・・」

「ていうか、何でこれ、俺の秘密が全部書いてあるんだ!?」
 (誰が書いたんだコレ!?)
 (・・・イヤ、これ、俺の人生が書いてあるんだ・・・なんで、こんなモノが)

■後半のページを開いて。
「2036年・・・!!!」
■恐れてバッと閉じる。
「やばい。これ、全部書いてある」 (全部、未来のことも全部)

■見たいような、見てはいけないような。恐怖。
 (これは一つの誘惑ですね)
「あ、明日のことだけ」 (見よう。) 「明日の」
20110324r2.JPG
「2011年1月・・・センター試験」 (は・・・5教科700点満点で574点。82%!)
「すごいいいじゃーん!」

「あ。世界史が」 (65点は) 「悪いな。」 (特に悪い)
「帰って勉強しよ!」
■急いで帰ろうとするが・・・
 (いや、もうしなくていいのか。未来は決まっているのだから)

「いや~でも」 (574点か~。) 「良いね。うん」
 (頑張ったじゃん俺。これなら国立の本試験も大丈夫そうだな)

■ページを進める。
「あ・・・」
■動揺。不安。慌てて先のページを見る。
「よし!」
 (よかった~。滑り止めのジャパン大学、受かってる。)
「よかった~」

「びっくりさせるなよ。
 ちょっとセンター試験良かったからって、第一志望上げるなよな~」
 (もう、調子乗りすぎなんだよ~。まったく~)

「え、星田佳代子と付き合うの?
 ホシカヨと? マジで!?
 あ、同じ大学に行くんだ~。
え~、俺、ホシカヨと一回もしゃべったことないよ」

「明日試験会場で会うよな。困ったな、え~、どうしよ」

「・・・とりあえずホッカイロ持ってってやろ。」

「『良かったら、使って』。 違うな。『寒いだろ。ほらよ』
 ちょっと冷たいかな。
 クールなのは良くないよな。寒いんだから。ホットにいかなくちゃ。
・・・明日がんばろうな、佳代子。」

「就職・・・よ~し!」
「お~、ホシカヨと結婚かー! 佳代子―!」

「さらに続きを読みました。
 45歳のときに発明した『痛くない鼻毛抜き器』で一財産を築き、
 その後も人生山あり谷あり、
 88歳の米寿のお祝いで12人の孫に囲まれ、
 翌年の正月、喉に餅を詰まらせて死んだときは感無量でした。
 最後まで読みきって、満足して眠りにつきました」

「そして、センター試験当日!」

■寝ている。起きて時計を見る。
「やっべ、え、」 (もう昼じゃん! センター試験、とっくに始まってる!)

「え、何で?」 (574点は?)

「え、浪人? 佳代子とも結婚してないし」

「10年後、アメリカで寿司職人になってる・・・」


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【ラジオドラマ】 第3弾 [読み物・作品]

『おじいちゃんのゆめ』
原案=ふじもん
作=まっそ
声=おかぴー。まっそ。ちゃんこ。古さん。

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遅くなりましたが、ラジオドラマ第3弾です!
色々な国の音が入っていて、
まさにラジオドラマ向けの作品でしょう★
場所の移動も多いし(笑)

おじいちゃんがメインなのが、
また独特の雰囲気で(´∀`)



以下、台本の文章です。
ラジオドラマを聴いた後に、どうぞ#
~~~~~~~~~~~~~~

『おじいちゃんのゆめ』

(登場人物)
おじいちゃん     
幸介(こーちゃん)
アオネコ(妖精?)
幸介のお母さん


○おじいちゃんの家の前。
杖をついたおじいちゃんと、孫の幸介、そしてお母さんがいる。

お母さん   それじゃあお養父さん、具合が悪くなったときはすぐに連絡してくださいね。
おじいちゃん ああ、ありがとう。
幸介     (元気よく)おじいちゃん、ばいばーい!
おじいちゃん またいつでも遊びにおいで。
幸介     うん! またね~!
おじいちゃん 気をつけて帰るんだよ。
お母さん   (車に乗り込む)ほら、こうちゃん。(おじいちゃんに)また来週、連れて来ますね。
おじいちゃん 楽しみにしているよ。
幸介     ばいばーい!
おじいちゃん (微笑んで)ばいばい。

車が走っていく。ガラガラと引き戸を開け、おじいちゃんは家へ。

○家の中。部屋の隅に、青い猫のぬいぐるみが落ちている。

おじいちゃん おや? 何か青いものが…。(近づいて)ああ、幸介が持っていたぬいぐるみじゃないか。忘れていってしまったんだな。よいしょ…
アオネコ   (驚いて)な、なんにゃ! 誰にゃ!
おじいちゃん おやおや、最近のおもちゃはよくできているねえ。
アオネコ   (ムっとして)おもちゃじゃないにゃ! ボクはアオネコ、立派な妖精にゃ。
おじいちゃん (感心して)ほお、おしゃべりもできるんだねえ。こりゃあ本当によくできている…
アオネコ   だから、おもちゃじゃないって言ってるのにゃ…、(気付いて)はっ、あれ…こーちゃんはどこにゃ!?
おじいちゃん 幸介なら、さっき帰ってしまったよ。
アオネコ   ええっ! しまったにゃ…お昼寝している間に…。
おじいちゃん 届けてあげられたらいいんだけどねえ、ワシはこのとおり足が悪くて…。すまないねえ。また次の日曜日には遊びに来るから、それまでここで待っているといい。
アオネコ   うむむ…仕方がないにゃ。そうさせてもらうにゃ。
おじいちゃん (微笑んで)ああ、ゆっくりしておいで。
アオネコ   ……。
おじいちゃん どうしたんだい?
アオネコ   じいちゃん、「こーちゃんのおじいちゃん」にゃ?
おじいちゃん ああ、そうだよ。
アオネコ   (少し考えてから)よーし。「いっしゅくいっぱんのおんぎ」にゃ。じいちゃんのゆめを、なんでも叶えてあげるにゃ。
おじいちゃん 夢?
アオネコ   お金持ちになりたいとか、世界一周してみたいとか、何でもいいのにゃ。
おじいちゃん そうさなぁ…。世界一周も、楽しそうだのう。
アオネコ   そうかにゃ! 世界一周したいのかにゃ!
おじいちゃん でもねぇ…ワシは目も悪いし、こんな足じゃあねえ…
アオネコ   それなら心配ないにゃ! このポシェットから…(ポシェットをごそごそ)じゃじゃーん!妖精の羽。これを貸してあげるにゃ。これを背中に…(ペタ、とおじいちゃんの背中に貼る)
おじいちゃん ん? おお…浮いとる! 
アオネコ   (胸を張って)エヘン。この魔法のポシェットがあれば何だってできるんだにゃ。
おじいちゃん これはすごいのう。もしかして、本当に妖精さんだったのかい。
アオネコ   だからそう言ってるにゃー!
おじいちゃん (笑って)ごめんよ。(少し残念そうに)だけどね…せっかく連れて行ってもらっても見えないんじゃあ申し訳ないね…。
アオネコ   でもじいちゃん、お耳は元気にゃ。世界には色んな音があるのにゃ、きっと楽しんでもらえると思うにゃ!
おじいちゃん (わらって)そうか、そうだねえ。それじゃあ、お願いしようかな。
アオネコ   まかせるにゃ! 出発進行~!

空を飛んでいく二人。
遠くから音楽が聞こえてくる。

○中国
中国の音楽、人のざわめき。

アオネコ   じいちゃん、聞こえるかにゃ?
おじいちゃん ああ、聞こえているとも。これは…お隣の国、中国かな?
アオネコ   正解にゃ!

○インド。宮廷音楽(?)

アオネコ   へんなカタチの建物がいっぱいなのにゃ。
おじいちゃん おや…美味しそうな匂いもするね。
アオネコ   か、カレー食べたくなってきたのにゃ…

○スコットランド。バグパイプの音色が聞こえる。

おじいちゃん 面白い音だねえ。
アオネコ   バグパイプって言うのにゃ。うわ、スカート穿いたおじさんが一杯いるのにゃ!
おじいちゃん (笑って)それは民族衣装じゃないかな?
アオネコ   なんだか面白い国だにゃ。

○オーストリア。バッハの音楽が聞こえる。

アオネコ   おおっ、なんかすごいのにゃ。
おじいちゃん 演奏会か何かかな?
アオネコ   そうみたいにゃ。

○ブラジル。サンバのリズム、人々の声。

おじいちゃん お祭りかい?
アオネコ   なんだか楽しそうにゃ!
おじいちゃん 本当だねえ。

音楽、遠のいていく。

アオネコ   さて、次はどこがいいかにゃ?
おじいちゃん (少し考えて)富士山に行きたいのう。
アオネコ   富士山? それじゃ日本にもどっちゃうにゃ。
おじいちゃん この羽があれば、どんな山だって登れるだろう?
アオネコ   もちろんにゃ。富士山の上だって飛べちゃうにゃよ。
おじいちゃん (うれしそうに)そりゃあいい。定年したら、ゆっくり登りたいと思っていたんだが…、その前に足を痛めてしまってねえ。せっかく素敵な羽を貸してもらったんだ。一度行ってみたいんだよ。
アオネコ   もちろんいいけど、世界一周、まだ終わってないにゃよ?
おじいちゃん 大丈夫、十分楽しませてもらったよ。そうだ、富士山を見たら、帰ってお茶にしよう。美味しいお菓子もあるからね。
アオネコ   お菓子…! わかったにゃ。

○富士山。ちらほらと登山者の姿が見える。
少し離れた場所から、登山者の声がかすかに聞こえている。

アオネコ   (怖がって)ふ、ふじさんてこんな高かったのかにゃ…こ、怖くなんてないにゃ…
おじいちゃん (微笑んで)おやおや…。(一息ついて)ふう。少しくたびれてしまったよ。座ってもいいかな?
アオネコ   いいにゃ。

少し沈黙。

アオネコ   夕焼け、きれいだにゃ。
おじいちゃん 本当に。綺麗だねえ。
アオネコ   じいちゃん。
おじいちゃん ん?
アオネコ   元気出たかにゃ。
おじいちゃん もちろんだとも。今日は本当に楽しかったよ。ありがとう。
アオネコ   (照れて)そ、そうかにゃ。
おじいちゃん アオネコくん、
アオネコ   (まだ照れたまま)なんにゃ?
おじいちゃん (何か言いかけて)いや…、そろそろ、帰ろうか。
アオネコ   うん、そうだにゃ。(ぼそりと)…お菓子も待ってるしにゃ。
おじいちゃん (愉快そうに)ははは。

○おじいちゃんの家。新聞屋さんがポストに新聞を入れ、バイクが遠ざかっていく。
イスに座っているおじいちゃん。膝には青い猫のぬいぐるみが乗っている。

おじいちゃん (目を覚まして)ん…うーん…。おや、眠ってしまったのか…。

おじいちゃん、ゆったりとイスに背を預けて。

おじいちゃん (嬉しそうに、再び眠りに落ちていく)楽しい旅だったのう…。

イスのきしむ音。おじいちゃんの寝息。


○いつか、どこかの幸介とアオネコ。(ほんの少しだけ、声が響く感じで)

幸介     ゆめ?
アオネコ   そうにゃ。なんだって叶えてあげるにゃ。なんてたって、こーちゃんはボクの友達だからにゃ!
幸介     じゃあ、じゃあねえ! おじいちゃんをげんきにして!
アオネコ   おじいちゃん?
幸介     うん。なんだかね、おじいちゃんいつもよりげんきがないんだ。だから、げんきにしてあげてほしいの。
アオネコ   ふむふむ。「こーちゃんのおじいちゃん」を元気にしてあげたらいいのにゃ?
幸介     うん!
アオネコ   よしっ! 任せるにゃ。なんてたってボクは、幸せの青いネコなんだからにゃ!



おしまい。
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【ラジオドラマ】 第2弾 [読み物・作品]

『友達100人できるかな?』
 作=岡野陽平
 声=チャンコ(少年)、他大勢★


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チャンコは最初と最後も含め、100連続で録音。
一発目で成功!そのまま使ってます。
チャンコお疲れ様でした♪

ネットに上げるために音質が落ちていたり、
荒い完成で申し訳ありません。
もっともっとコダワリたいところですが、
今回は時間の都合もあり、このクオリティーで終了とします。


以下、台本の文章です。
ラジオドラマを聴いた後に、どうぞ#
 ※エクセルで作成したため、読みづらいですが。
~~~~~~~~~~~~~~


『友達100人できるかな?』

最初 少年 「高校入学の朝。ボクは思った。 頑張って、友達100人作るぞ!」
01 少年 「友達になろうよ!」 → 「いいよ」
02 少年 「友達になろうよ!」 → 「うん。よろしくね」
03 少年 「友達になろうよ!」 → 「おっけー!」
04 少年 「友達になろうよ!」 → 「うん」
05 少年 「友達になろうよ!」 → 「え、いいけど?」
06 少年 「友達になろうよ!」 → mixi 「マイミク申請しときますね」
07 少年 「友達になろうよ!」 → 「YES.」
08 少年 「友達になろうよ!」 → 「はい。よろしくお願いします」
09 少年 「友達になろうよ!」 → 部長 「入部希望か。よーし!」
10 少年 「友達になろうよ!」 → 「おう!任せろ!」
11 少年 「友達になろうよ!」 → タモリ 「いいとも!」
12 少年 「友達になろうよ!」 → たじろぎ 「う、うん」
13 少年 「友達になろうよ!」 → クール 「え、いいけど」
14 少年 「友達になろうよ!」 → 「はい。かまいませんよ」
15 少年 「友達になろうよ!」 → 女の子ツンデレ「なってあげてもいいわよ」
16 少年 「友達になろうよ!」 → 女の子 「そうですね、お友達からなら」
17 少年 「友達になろうよ!」 → 女 「浮気しちゃ嫌よ♪」
18 少年 「友達になろうよ!」 → オカマ 「いいわよ。可愛がってあげる」
19 少年 「友達になろうよ!」 → フランス人 「Oui (ウイ)」
20 少年 「友達になろうよ!」 → 執事 「かしこまりました」
21 少年 「友達になろうよ!」 → 医療 「はい、お大事に~」
22 少年 「友達になろうよ!」 → 軽い 「いっすよ」
23 少年 「友達になろうよ!」 → コンビニ 「(ピッ)630円になります。暖めますか?」
24 少年 「友達になろうよ!」 → 保険 「あ、じゃぁこちらにサインをいただけますか?」
25 少年 「友達になろうよ!」 → 郵便 「あ、じゃぁこちらにハンコをお願いします」
26 少年 「友達になろうよ!」 → 「つぼ買ってくれる?」
27 少年 「友達になろうよ!」 → 「お金貸してくれる?」
28 少年 「友達になろうよ!」 → 先生 「よし。悩みがあるならいつでも先生のところに来なさい」
29 少年 「友達になろうよ!」 → 先生 「よし!夕日に向かって走ろう!」
30 少年 「友達になろうよ!」 → 先生 「分かった、分かったから、な?飛び降りなんてやめなさい」
31 少年 「友達になろうよ!」 → 飲み屋 「はい、喜んでー!」
32 少年 「友達になろうよ!」 → パーティー 「オッケー!新しい友人に乾杯~!」
33 少年 「友達になろうよ!」 → よっぱらい 「え?世界人類、皆、おっトモダチよー♪」
34 少年 「友達になろうよ!」 → DJ 「イ、イ、イ、イ、イイヨ~」
35 少年 「友達になろうよ!」 → 女 「誰でもいいわよ。相手してあげる♪」
36 少年 「友達になろうよ!」 → 女 「もう。ダ・イ・タ・ン♪」
37 少年 「友達になろうよ!」 → 女 「もう、エッチなんだから♪」
38 少年 「友達になろうよ!」 → へらへら 「アタボーよ!俺たちマブダチっつうか、親友だろ? なぁ兄弟?」
39 少年 「友達になろうよ!」 → 「よし、吸ってみろ」
40 少年 「友達になろうよ!」 → オヤブン 「杯(さかずき)を交わそうか」
41 少年 「友達になろうよ!」 → 「分かった、分かったから、撃たないでくれ。殺さないでー!」
42 少年 「友達になろうよ!」 → 「何でも言うこときくから。お願い!もう許してちょだい!」
43 少年 「友達になろうよ!」 → 救急 「ご家族の方ですか?いっしょに救急車に乗ってください」
44 少年 「友達になろうよ!」 → 警察 「じゃぁ電話番号教えてくれるかな? 親御さんに連絡取るから」
45 少年 「友達になろうよ!」 → 弁護人 「任せて下さい。私が必ず無罪を証明してみせますから」
46 少年 「友達になろうよ!」 → 安い囚人 「いいぜ、新入り。俺がムショのルールを教えてやるよ」
47 少年 「友達になろうよ!」 → 看守 「独房に入れられてずいぶんと従順になったじゃないか。よーし、今出してやる」
48 少年 「友達になろうよ!」 → 軍人 「Yes,Ser!」
49 少年 「友達になろうよ!」 → 神父 「では、ともに祈りましょう」
50 少年 「友達になろうよ!」 → 囚人 「出所が決まったんだってな、おめでとさん」
51 少年 「友達になろうよ!」 → 大物囚人 「ok。シャバに出たら俺の親父を訪ねるんだ」
52 少年 「友達になろうよ!」 → 刑務所のおじちゃん「分かった。だがすぐに戻ってくるんじゃーないぞ」
53 少年 「友達になろうよ!」 → 「パンを恵んでくださるのか」
54 少年 「友達になろうよ!」 → ホームレス 「え、そのダンボール分けてくれんの? 悪いね」
55 少年 「友達になろうよ!」 → 配給 「はい、ちゃんと人数分の炊き出しを用意してますから、並んでくださいね」
56 少年 「友達になろうよ!」 → ホームレス 「それもらっちまったら、あんちゃんの晩飯がなくなっちまうけど、良いのかい?」
57 少年 「友達になろうよ!」 → 貧乏神 「え?いいんですか? ボク、貧乏神ですけど」
58 少年 「友達になろうよ!」 → 砂漠 「み、みず~」
59 少年 「友達になろうよ!」 → マッチ売り 「マッチ買ってくれるの?♪」
60 少年 「友達になろうよ!」 → 社長 「そのやる気! 採用!」
61 少年 「友達になろうよ!」 → ビッグ・イシュ「はいよ。頑張って一冊でも多く売ってきな。『ビッグ・イシュー』」
62 少年 「友達になろうよ!」 → ビッグ・イシュ買い「じゃぁ、一冊ください」
63 少年 「友達になろうよ!」 → なわばり 「ここはオラっちの縄張りだけども、まぁ、今日は勘弁してやらー」
64 少年 「友達になろうよ!」 → もぎり 「チケット持ってるなら入りな」
65 少年 「友達になろうよ!」 → ファン 「あなたもブルズ・ファンなの?じゃぁ一緒に応援しよ!」
66 少年 「友達になろうよ!」 → コーチ 「よーし、あいつを止めてこい!」
67 少年 「友達になろうよ!」 → 味方選手 「頼むぜルーキー。お前にかかってるんだ!」
68 少年 「友達になろうよ!」 → 敵選手 「あん?俺のディフェンスはお前かい? いいぜ」
69 少年 「友達になろうよ!」 → インタビューアー「ありがとうございます。本日のヒーローインタビューでした」
70 少年 「友達になろうよ!」 → ジェネラルマネージャー「よし。1年300万ドルで契約だ!」
71 少年 「友達になろうよ!」 → 不動産会社「そうしましたら、来月いっぴ(一日)からご入居ということで」
72 少年 「友達になろうよ!」 → 引越し業者「あ、どうも~。じゃ、タンスはここ置いていいっすか?」
73 少年 「友達になろうよ!」 → 隣人 「どうも~ご丁寧に。でも、私も先週引っ越してきたばかりなんですよー」
74 少年 「友達になろうよ!」 → 新聞勧誘 「はい、今なら洗剤ついてます」
75 少年 「友達になろうよ!」 → 隣のおばちゃん「はい、お醤油」
76 少年 「友達になろうよ!」 → 魔女の宅急便「あたしキキ! こっちは黒猫のジジって言うの!」
77 少年 「友達になろうよ!」 → もも 「え? きび団子は要らないの?」
78 少年 「友達になろうよ!」 → 悪代官 「黄金(こがね)色のお菓子か。お主も悪よのう」
79 少年 「友達になろうよ!」 → 侍 「助太刀くださるのか!ありがたい!」
80 少年 「友達になろうよ!」 → 三国志 「我ら生まれた日は違えども、願わくば同年同月同日に死なん!」
81 少年 「友達になろうよ!」 → 殿 「苦しゅうない、もっと近こう寄れ」
82 少年 「友達になろうよ!」 → 妻 「ふつつか者ではございますが」
83 少年 「友達になろうよ!」 → 殿 「よきに計らえ」
84 少年 「友達になろうよ!」 → 家臣 「御意」
85 少年 「友達になろうよ!」 → 信長 「是非に及ばず」
86 少年 「友達になろうよ!」 → 村の戦士 「私がいけにえになったら、この村は見逃してくれるのだな?」
87 少年 「友達になろうよ!」 → 師匠 「弟子を持つのも悪くないのー」
88 少年 「友達になろうよ!」 → ケンシロウ 「お前はもう、友達だ、ホアタッ!」
89 少年 「友達になろうよ!」 → リポD 「イッパーツ!! 違うよ、君がファイトー!って言ったら俺が・・・まぁいいや・・・」
90 少年 「友達になろうよ!」 → ジェダイ 「フォースの共にあらんことを」
91 少年 「友達になろうよ!」 → 双子の兄弟「いいよ! 兄と? 弟と?」
92 少年 「友達になろうよ!」 → 双子の兄弟
93 少年 「友達になろうよ!」 → 双子の姉妹「いいよ! 姉と? 妹と?」
94 少年 「友達になろうよ!」 → 双子の姉妹
95 少年 「友達になろうよ!」 → おばあさん 「えぇ、えぇ、そうですねぇ、おじいさん」
96 少年 「友達になろうよ!」 → おじいさん 「あぁ、そうじゃのう、ばあさん」
97 少年 「友達になろうよ!」 → 犬 「ガウガウ!」
98 少年 「友達になろうよ!」 → 猫 「ニャー」
99 少年 「友達になろうよ!」 → ET 「オートーモーダーチー」
100 少年 「友達になろうよ!」 → ドラクエ 「返事が無い。ただの屍のようだ」
最後 少年 「あ~あ、100人目で失敗。 友達100人作れなかった。
最初に決めた目標も達成できないなんて、ボクって何てダメなヤツなんだろう」
全員 「十分スゴイよ!」


(終わり)
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