『最強のタコ焼き』 [読み物・作品]

■映像表現として(シナリオ)
■200文字x8枚
■テーマ「別れ」
という課題で。

まぁ、勢いで読んでください。
下書きで課題の8枚を大きくオーバーしていたのですが、
その下書きのまま載せてます。(課題用はちゃんと短縮)
     2012.06.15 作:岡野陽平

201206takoyaki.jpg
『最強のタコ焼き』

人物
 高橋鉄也(26) タコ焼き屋の店長。
 畑山広継(27) タコ焼き屋。店員。
 小林和之(23) タコ焼き屋。店員。
 母親(32)
 少年(6)
 少女(4)
 作業員A


○スーパーの屋外
  入口前のタコ焼きの屋台。高橋、畑山、小林の3人が中にいるが、手は止まって暇そう。人々が前を通り過ぎるだけ。買いそうもない。
小林「暇ですね」
高橋「だね」
小林「なんでですかね」
高橋「なんだろうね」
畑山「・・・」
  小林が客引きの声をかける。
小林「タコ焼きいかがですかー!」
  人々は反応なく、ただ行きかうだけ。
小林「暇ですね」
高橋「だね」
小林「なんでですかね」
高橋「なんだろうね」
  沈黙の3人。畑山がおもむろに、
畑山「・・・それはね」
  他2人は予期してなくて、物凄く驚く。
高橋、小林「それは!?」
高橋「え、何?お前分かるの?分かってたの?分かってたのにずっと黙ってたの?どういうつもり!?」
畑山「・・・」
小林「ちょ、高橋さん、落ち着いて」
高橋「え、あ、うん」
小林「畑山さん、それで?」
畑山「・・・」
  畑山は無言で爪楊枝にサクッとタコ焼きを刺し、ささっと2人の口に放り込む。自分の口にも一つ。
  3人並んでモグモグ、ごっくん。
高橋「で?」
畑山「どうだ?」
高橋「なにが?」
畑山「うまいか?」
高橋「うま・・・い、って程じゃないけど、結構、まぁそこそこ、なんていうか、何とか?」
小林「ギリギリ?」
畑山「不味いよ」
  言っちゃいますかそれを的な唖然。
高橋「ガ、ガーン!ガガーン! ショック! ショックのあまり癌になるガガーン!・・・ふー、急な衝撃は体に悪いよ」
小林「確かに不味いっすね」
高橋「ガーン!小林よ、お前もか!癌転移!」
畑山「今まで言い出せなかったんだよな?」
小林「はい!」
  涙の2人。抱き合う。
高橋「何の感涙だよ、お前ら」
小林「はい!」
高橋「はい、じゃねぇよ」
  高橋が小林の頭をバシッとはたく。
小林「はい!」
  高橋が小林の頭をグーでポカリ!
小林「いて!」
 
畑山「これ、何とかしないとな」
  畑山が高橋を見る。
高橋「ふん。分かってたさ。分かっていたよ俺だって。何!?分かっていたのに黙っていたの俺?どういうつもり!?」
畑山「自らの過ちを直視したくなかったんだろ」
高橋「!!」
  高橋が小林の頭をグーでポカリ!
小林「いて!何で!?」
  高橋と畑山がにらみ合う。
高橋、畑山「・・・」
畑山「・・・そろそろ本気でやろうぜ、高ちゃんよ」
高橋「・・・」
  目の色が急に変わる高橋。
高橋「うおおーーっし!! やったろうじゃん。マジになってやろうじゃんタコ焼きに。最強に美味いタコ焼き作ってやろうじゃん!」
小林「え!?」
  畑山はニヤリ。
高橋「確かに甘かったよ。大阪なんだから適当でもタコ焼き作りゃ食べるだろ大阪人、売れるだろタコ焼き、って思ってたよ」
小林「適当だったんすか!?」
高橋「そうだよ!」
畑山「・・・」
高橋「でもな、もう違う。今からは違う。やってやる。最強のタコ焼き作ってやる!!」
  畑山も小林も目が輝きだす。
高橋「畑ちゃん、何が要る?」
  畑山が指三本(親指~中指)を立てて、
畑山「3つだ。 タコ、生地、ソース」
高橋「おし!話は早い! 俺はタコ、畑ちゃんは生地、小林はソース。それぞれが最強のもん手に入れてこよう!!3人で最強のもん揃えたら、最強のタコ焼きができる!!」
  畑山は強くうなづく。小林は興奮して、
小林「俺もっすか!?俺も!・・・おーし!!」
高橋「そしたら、いつまでとは言わん。最強だと思うもん手に入れたら連絡してくれ。いいか。最強のもんだぞ!半端は要らん。いいな!」
畑山、小林「おう!」

○小さな漁港
  文字「10年後」
  小船が一艘、港に戻ってくる。
  岸から母親(32)と少年(6)が手を振って、
少年「お父ちゃーん!」
  船の上。漁師姿の高橋が現れる。
少年の声「お父ちゃーん!」
  高橋も岸の親子に笑顔で手を振る。
高橋「おーい!」
  高橋がタコを掴んで高く上げる。

○広大な小麦畑
  小麦の収穫期。トラクターが小麦を刈っている。運転しているのは畑山。
  膝に少女(4)を乗せて笑顔の畑山。トラクターのガタガタ音がのどかに続く。

○大規模なソース工場。
  オートメーションの工程と作業員達。
  小林が見回っている。
  作業員Aが小走りに来て、ソースの小皿を小林に渡す。
作業員A「どうですか?」
  味見した小林は小さくうなずいて、
小林「オケーイ!」
  笑顔の2人。

○3人の顔を並べて (漁港、小麦畑、工場)
高橋の声「あの日から俺達3人が再び集まることはなかった。だが、3人とも、今も求め続けている。今も夢見ている・・・」
3人の声「最強のタコ焼きを!!」


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