『桃から生まれた訳じゃない』 [読み物・作品]

2014年5月作成
台本ではありません。ただの読み物です。

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『桃から生まれた訳じゃない』


昔々、あるところに、一組の老夫婦が。
老夫婦は仲良く河へ洗濯へ。

大きな桃が流れてきた。いや、「桃」の段ボール箱が。
喜んでそれを拾うと、中からじいさん。
桃から生まれた桃爺。

おぎゃーおぎゃーじゃなくて、
ふがーふがーと生まれてくる。入れ歯が外れている。

拾った老夫婦よりも年寄り。
高齢者が高齢者を介護。
現代社会のよう。今や当たり前の世の中じゃ。


何年か世話をした後、
桃爺は「旅に出る」という。
老夫婦は思う「天国へ?」「お迎えが近いってことかい?」

ちがう!鬼退治に行ってきます。
とりあえず何でも良いから出て行ってくれるなら嬉しいと、
喜んで送り出す老夫婦。
手に吉備団子を持たせようとするが、
「要らない。のどに団子が詰まると死ぬから。
  あと、入れ歯じゃ噛み切れないから」
代わりに梅干しの壷を持っていく。

桃爺はかなり曖昧な記憶を頼りに鬼が島へ
ぼーっとした時は梅干しで頭スッキリ!


途中で出会う老人3人。
米屋。お茶屋。漬け物屋。
将棋と囲碁とゲートボールで打ち負かし、
さらに梅干しを与えると喜んで仲間になった。


鬼が島の鬼は鬼ばばあ。
桃爺の元妻。
実は、熟年離婚で桃爺は追い出された。
何てこった現代社会。

鬼が島に攻め込むんか?
どうするんじゃい。

4人は鬼が島には攻め込まず、
何と鬼が島の向かいの土地に「お茶漬け屋」を開く。
お茶漬け専門店。

すぐさま評判になり、
元妻の鬼ばばあも食べに来て、
炊事をするようになった桃爺を許してくれる。
でも桃爺は、お金もちゃんと巻き上げられる。

とはいえ、何とか仲直りしたらしい。
めでたしめでたし。


老夫婦のもとに一通の手紙が届く。
桃爺から、現金3万円と
梅干しの注文書が。3万円はただの代金。

おしまい。

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