『中東の小さな尊厳』 [読み物・作品]

■映像表現として(シナリオ)
■200字x4枚
■イライラする人
という課題で。

映画やドラマのオープニングのようなイメージで。
   2012.05.12 作:岡野陽平
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『中東の小さな尊厳』

人物
フェルファト・セネル(52) 大臣付きの事務官
ハシム・エルゲン(24) 新人の事務官

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◯大臣事務官室
  高級なカーペットや書棚。窓の外は緑豊かな庭。静謐。
  フェルファト・セネル(52)が盆に書状の山を載せて来て、長机に置く。
  盆は脇によけて、椅子に座る。
セネル「1979年度、医師免許状。2482名」
  大型の印鑑を朱肉に浸けて、書状の末尾、大臣名の横に丁寧に押す。

◯大臣事務官室(朝)
  セネルと、緊張した面持ちのハシム・エルゲン(24)が立っている。
エルゲン「今日からよろしくお願いします!」
セネル「うん。ここには多くの仕事があり、これから君に少しずつ覚えてもらうわけですが、その基本として覚えておいてもらいたいのは、我々の仕事は全て、その一つ一つが、大臣をお助けするためのものだ、ということです」
エルゲン「はい」
セネル「では、まず、ここで最も重要で、尊厳のある仕事から始めましょう」
  セネルは長机に2セット用意してある書状と印鑑を示し、二人は座る。
  エルゲンは書状の山を見ながら、予想される単純作業に期待をしぼませ、
エルゲン「これ全部に、印を押すのですか?」
  セネルは明瞭に、おだやかに、
セネル「そうです。・・・1979年度、薬剤師免許状。4995名」
  セネルが丁寧に印を押す。
  エルゲンがそれを見て、同様に印を押す。しかし、どうも雑。
  セネルがチラリと見る。眉間にしわ。
  エルゲンはどんどん押していく。
  セネルの眉間のしわが深まっていき、
セネル「待ちなさい」
  エルゲンは手を止める。


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