『心もヨシ子なら』 [読み物・作品]

2014年 納涼演劇祭のために書き下ろした作品。
何度か、大きく書き直されているので、
  ◎原案《岡野陽平》
  ◎あらすじ《ちゃんこ》&《つるにゃん》
  ◎脚色《岡野陽平》
という感じで完成しました。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜

『心もヨシ子なら』

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 道具:椅子、小机、電気コード、バナナ、珈琲カップ
 衣装:白衣、うさみみ、メイド服
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■紙くずが散らばった部屋。
 明け方、外で鳥がチュンチュン鳴き始めている


博士 「・・・ついに完成したぞ! さあ目覚めよ! 殺人アンドロイドよ!」
■スイッチON(ウサ耳左)
PIC_0220.JPG
■アンドロイド、立ち上がり、なめらかに動き出す。

アン 「おはようございます、博士」
博士 「うむ!早速テストだ! お前の名前は!?」
アン 「良子です」
博士 「今日の日付は!?」
アン 「2014年8月20日水曜日」
博士 「今の時間は!?」
アン 「午前5時32分40秒です」
博士 「今日の天気は!?」
アン 「晴れ時々曇り、最低気温●℃、最高気温は●℃」
博士 「うむ。素晴らしい」
アン 「そんなの携帯見ても分かりますよ」
博士 「そ、そうだな。じゃぁ、良子は占いが好きだったし
     …今日の私の運勢は!」
アン 「小吉。今日は何もしないで家で寝ていましょう。…微妙ですね」
博士 「ラッキーカラーは?」
アン 「黄色です」
博士 「黄色か」
アン 「博士、何か黄色い物はありますか?」
博士 「あ!バナナ買ってある!!よし!! これで今日は上手くいく!」
アン 「ですね♪」

博士 「よし!顔も良子、見た目も声も良子、思考回路もまるごと良子♪
     すばらしい!!」
アン 「炊事、洗濯、掃除、何でもご命令を」
博士 「そんなのはいい!! 復讐を、してもらおう」
PIC_0221.JPG
アン 「復讐?」
博士 「そう、良子のための復讐だ! お前はただの良子じゃない!殺人アンドロイドなんだ!」

■照明切り替わり、暗闇にスポットライト。
 場所がズレてて良い。アンドロイドがスポットに入ってくる。
 入ってから、
PIC_0222.JPG
アン 「ガガーーーーン!! なぜ良子にそんな機能付けたし!
    ・・・ダメ、絶対」

■照明戻る。

アン 「ガガガ・・・フクシュウ・・・フクシュウ」
博士 「そうだ!(むふふ)復讐だ!!(むふふ)」
アン 「昨日の授業は132ページから154ページの10行目まででした」
博士 「そうそう。スゴく難しかったよね。ていうか、何の授業だったっけ?」
アン 「数学です。っていうかそれすらも分かってなかったんですか」
博士 「てへー★ って! その復讐じゃない!学生でもない!
    ていうかネタがベタ過ぎ!」

■無視して、アンドロイドが床に落ちてる服をたたみ出す。

アン 「博士、この服はどこに収納しましょうか?」
博士 「ああ、そこに置いといて。いや~綺麗に片付けてくれてほんと助かるな~って、え、何?服の収納?」
アン 「はい、服の収納でフク・シュウです」
博士 「服の収納はそんな約し方しません!」


アン 「ふっくしゅん、ふっくしゅん・・・」
博士 「え? それ、くしゃみなの??」
アン 「誰かが私の噂をしてる…」
博士 「てか、アンドロイドもくしゃみするの??」
アン 「アンドロイドもくしゃみするの?」
博士 「私が聞いてるんだ!」
アン 「私がきいてるんだ!」
博士 「え?」
アン 「え?」
博士 「なんでマネするんだ!?」
アン 「博士、復唱しろって言ったじゃないですか」
博士 「復唱じゃない!ふくしゅう!」
アン 「・・・」

アン 「ホウホウ・・・ホウホウ・・・ホウホウ・・・」
博士 「何それ? 何、急に??」
アン 「ホウホウ・・・ホウホウ」
博士 「ふくろう?」
アン 「正解です!博士、スゴい!」
博士 「やったー、って、なんでや!!
PIC_0223.JPG
   フクロウとフクシュウって、フクしか同じじゃないじゃん!ヒド過ぎ!
   フク・シュウだ! シュウ!シュウ!シュウ!」

アン  「しゅう・しゅう・しゅう!」

博士 「いい加減にしろ! おまえはなんのために作られたんだ?」
アン 「私は良子として、博士のそばに居るために・・・」
博士 「それだけじゃない!! お前は殺人アンドロイドなんだ!」
アン 「私は良子です。アイム・ヨシコ」

■照明切り替わり、暗闇にスポットライト。
 場所がズレてて良い。博士がスポットに入ってくる。
 入ってから、

博士 「・・・やっぱり、私が作ったものはこんなもんなのか・・・」
  
■アンドロイドも入ってきて、
_MG_3869.JPG
アン 「博士は天才ですよ。・・・昔から天才です」
博士 「良子・・・」


博士 「いや!! お前は殺人アンドロイドだ!復讐のために作ったんだ!」

■博士が良子を払いのける。 照明戻る。

■ウルトラマンの3分経った時のような音が鳴り出す

アン 「バッテリー残り10パーセント!!!」
博士 「ええ? 電池もちわるーー!」
アン 「バッテリーを交換してください」
博士 「そんなのないよー!!」
アン 「電源ダウンまであと3分」
博士 「あと3分!?・・・あ!コンセント!コンセント!!」
PIC_0224.JPG
■博士、アンドロイドからコードをひっぱりだして、コンセントへ刺す

アン 「充電開始しました」
博士 「ほっ。・・・? ってか、コンセント刺してたら外出れないじゃん!!」

博士 「しょうがない、こうなったら、必殺!ミサイルだ。えい!」

■博士、アンドロイドのウサ耳右のスイッチON!

アン 「ミサイルモードになりました」
     うぃーん、がしょん。うぃーん、がしょん。
     ミサイル発射30秒前」(口からミサイルがでる)
博士 「これで一気にふっ飛ばしてやる」

アン 「20秒前・・・目的地はどちらでしょう?」
博士 「あれ?ちょっとまって。どっちだっけ?」

アン 「10秒前・・・目的地はどちらでしょう?」
博士 「こっち向くな!あっちあっち!」
PIC_0225.JPG
アン 「住所をお願いします!」
博士 「え!? えっと、兵庫県…あ~(尼崎市)」
アン 「郵便番号からお願いします」
博士 「そんなの知らんし!」
アン 「5、4、3・・・」
博士 「うわ! バカ! 止まれーーー!」

■博士アンドロイドの顔を勢いよく殴ってしまう
 バチバチバチバチ!!!ぴかちゅうの電気のような音。

アン 「ミサイルを停止しました。」

博士 「ふう・・・助かった・・・。ていうか、大丈夫か? 壊れてない?」
アン 「何ともないですけど…」
博士 「そうか。…はぁ、なんか疲れたな。ちょっと休憩しよう。良子、コーヒーでも淹れてくれ。」
アン 「は、はい、分かりました」


博士「はぁ。やっぱり私はダメだ。
   幼稚園のお受験でもスキップができずに失敗して、
   小学校入試でも落ちて、中学校入試ではインフルかかるし、
   動物園行けばゴリラにフン投げられるし、
   レタス買ったらだいだい腐ってるし、
   電車並んでてもだいたいおばちゃんに割り込まれるし・・・

■アンドロイドがバナナと珈琲を持ってくる。

アン 「はい、どうぞ」
博士 「…ぶつぶつ」

■アンドロイドがバナナをかじる。

アン 「あ!
博士 「え?」
アン 「博士、朝ごはんも食べてない!」

■バナナを博士のくちにねじ込む

博士 「おい!?」
アン 「あ、博士、顔色がよくない!」
博士 「そうか?てか、バナナそんなにつっこまれたら顔色も悪くなるわ!」
アン 「博士、寝たほうがいい、寝ろ、寝ろ(無理やり)」
博士 「寝てなんていられるか!長年の夢が叶うという時に!!
    てかなんか怒ってない!?」
PIC_0226.JPG
アン 「オマエ、さっきアタマ、殴ったやろ!」
博士 「え!? さっきの?」
アン 「ヨクモ、ナグッタナ、女はな、顔がイノチや!!」
博士 「ごめん!わざとじゃないんだ、・・・てかお前ロボットだろ!!」

アン 「私は良子や!!ネロ、ネロ!永遠にネテロ!!」おそいかかる
博士 「恐い!恐い! めっちゃ良子!! 恐さも良子!」
アン  「そうやでーー!!」

■博士が押し倒される
 アンドロイドが謎の子守唄歌い始める。

アン 「♪(唄)」
博士 「これはっ!催眠攻撃・・グ・・・ぐがー・・・」

■博士そのまま入眠。

博士  「良子・・・絶対、仇は取るからな・・・(むにゃむにゃ)」

■やさしい子守歌のようなオルゴールの音

アン 「ふふふふふ・・・上手くいった。 復讐なんてダメよ、信夫さん」
■上着をかける。散乱した紙くずなどを片付ける

アン 「信夫さん、あなたは本当に天才ね。私、良子だわ。
     まんま良子。心も良子。アイム・良子」
     これからもずっ~と一緒よ」

■照明、F.O。 その消え際に、正面を向いて

アン  「アイム・良子」
_MG_3883.JPG
 ★公演では、暗転後に再びスポットが点いて「アイム・ヨシ子」でした。

(終わり)

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